【後見開始の手続きの流れ】~行政書士試験合格者が解説~

成年後見制度

今回の記事も成年後見制度についての知識について書いていきます。成年後見事務知識の記事になります。行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、成年後見業務に興味がある方に向けて記事を書いていきます。
今回は以前の記事で成年後見人になって欲しいと頼まれたら?という内容で成年後見申立ての手続きや費用負担についての記事を書きましたが、その内容をさらに深くした記事の内容となります。なお、今回紹介するのは法定成年後見人についてになります。
成年後見制度の手続きの流れを把握し、スムーズな申請手続きをしましょう。

法定後見の申立ての流れ

申し立てできる人や、何処に申し立てるのか、必要な物などを順にご紹介します。

成年後見制度の申立てできる人

申立人の資格は法律で決められています。本人または本人の四親等以内の親族(配偶者、子、孫、両親、兄弟姉妹、従兄弟、甥、姪など)が、申し立てを行うのが一般的です。
申立人は必要書類を揃えて、家庭裁判所に申し立てを行います。申立書のひな形、必要書類の一覧表などの資料は、家庭裁判所のWEBサイトから入手できます。各家庭裁判所により申立書のひな形や必要書類が異なっていたり、申し立て時期によっては必要書類が変更となる場合があります。必ず事前に、申立を予定している家庭裁判所のWEBサイトを確認するか、又は家庭裁判所に置いてある資料を入手してください。

申立てをする家庭裁判所

申立人が申立書を作成し、必要書類、手数料の印紙、郵便切手などの準備が整ったら、それらを家庭裁判所に持ち込むか郵送します。家庭裁判所は各地にありますが、申し立てができるのは本人の住所地を管轄する家庭裁判所です。

成年後見制度申立てに必要な物

申立ての際は,一覧表の書類(3か月以内のもの)をご用意ください。
なお,手続費用については,申立人が負担することが原則ですが,この手続を行うことが本人の保護となりその利益になると考えられることから,東京家庭裁判所では,申立手数料,後見登記手数料,送達・送付費用及び鑑定費用について,本人負担とする裁判をする運用です。審判確定後,選任された後見人等に対し,本人の財産の中から本人負担とされた手続費用の償還を求めることができます。

家庭裁判所では、申立書やそのほかの必要書類をチェックします。明らかな場合を除いて、家庭裁判所の調査官が本人や関係者と面談を行い、申立書に記載された内容をもとに、本人の状況などについて確認を行います。この面談は、原則として家庭裁判所で行われます。しかし本人が入院や歩行困難などの事情により、家庭裁判所まで出向くことができない場合には、家庭裁判所の調査官が出張して面談を行うこともあります。

家庭裁判所の調査官が、本人との面談を通して、判断能力を確認します。さらに、申立時に提出した診断書とは別に、裁判所が依頼する形で医師が本人の精神状態を鑑定します。もっとも明らかに鑑定の必要がないと判断された場合には、医師の鑑定が行われないこともあります。法定後見の申立時には、医師の診断書をもとに、後見、保佐、補助のどの類型かを決めて申し立てを行いますが、医師の鑑定の結果によっては、申し立てと異なる類型の判断となる場合もあります。

家庭裁判所は、本人の心身状態並びに、生活や財産の状況、成年後見人候補者の職業や経歴、さらに成年被後見人との利害関係の有無、成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮して、後見人の選任を行います。したがって、申立時に後見人の候補者を立てたとしても、必ずしも候補者が選任されるとは限りません。さらに、家庭裁判所が必要と認めた場合には、後見人を監督する「後見監督人」が選任される場合もあります。

後見人選任の事例(法務局民事局から抜粋)

本人は2年前に統合失調症を発症し、半年前から幻覚や妄想等の症状が悪化したため、入院していま す。本人の家構成は母一人子一人であったところ、その2か月前に死亡しました。唯一の親族である叔母は、引き続き本人が生活に必要な医療や福祉サービスを受けられるようにしたり、本人が亡母から相続した自宅の登記手続づきや自動車の処分等を行えるようにしたりするため、後見開始の審判の申立てをしました。家庭裁判所の審理を経て、本人について後見が開始されました。そして、叔母は遠方に居住していることから成年後見人になることは困難であり、後見事務として、不動産の登記手続づき等が想定されたことから、司法書士が成年後見人に選任されました。本人は、退院後は住み慣れた自宅で引き続き生活をしたいという意向を有していたため、成年後見人は、その意向を尊重し、自宅は売却せずに、維持費のかかる自動車だけを売却することにしました。

このように親族が家庭裁判所に申し立てを行い、家庭裁判所が適切な成年後見人の選任し、必要な財産管理を行ってくれる制度となっています。

まとめ

今回は成年後見人制度の手続きについてご紹介しました。以前の記事でも紹介した内容ではありますが、再度確認しておきましょう。

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