【成年後見申立ての不服申し立て】~行政書士試験合格者が解説~

成年後見制度

今回の記事も成年後見制度についての知識について書いていきます。成年後見事務知識の記事になります。行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、成年後見業務に興味がある方に向けて記事を書いていきます。
今回の記事は、成年後見制度の審判が終わると告知が送られてくるのですが、その審判内容に不服がある場合には不服申し立てができます。今回の記事ではその不服申し立てについて焦点を当て解説していきたいと思います。
今回の記事を読むことで成年後見制度の申し立て業務について知ることが出来ます。

成年後見人の選任通知が届く

家庭裁判所が審判をすると、それを告知するため、「審判書」という書面が特別送達郵便で成年後見人(保佐人・補助人)に送達されます。この時点ではまだ確定してないため不服申し立てが可能となります。
成年後見人に審判書が送達されたとき(保佐や補助の場合は、本人と保佐人・補助人の両方に送達されたとき)から2週間が経過すれば審判が確定します。審判が確定した段階で、正式に後見人等に就任したことになります。

不服申し立て

成年後見に関する家庭裁判所の審判に対する不服申し立ての手続きは、審判をした家庭裁判所の管轄区域を所管する高等裁判所に対する「即時抗告」です。
即時抗告の期間は、即時抗告をすることができる者が家庭裁判所から審判についての告知を受けてから2週間です(家事事件手続法第86条)。法定後見の開始の審判については審判を受ける者に告知があった日および成年後見人等に選任される者に対する告知があった日のうち、最も遅い日の2週間となります(家事事件手続法第123条第2項)。

補足:即時抗告は抗告(裁判所の決定に対する不服申し立て)の一種ですが、迅速に確定されることが必要な決定について認められます。何がそれに当たるかは法律で定められています。

今回は成年後見についての解説を行います。(保佐、補助を除いています。)

正式に告知される者

・申立人(家事74Ⅰ)
・ご本人には告知されず、通知に留まります
・成年後見人に選任される者(家事122Ⅲ)
・後見開始により終了する任意後見人、任意後見監督人(家事122Ⅲ)

即時抗告できる者

・本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官(家事123Ⅰ①、民7)
・任意後見受任者、任意後見人又は任意後見監督人(家事123Ⅰ①、任意後見契約法10Ⅱ)
・申立人を除く(家事123Ⅰ柱書)。

即時抗告期間

・2週間(家事86)
・審判の告知を受ける者でない者による後見開始の審判に対する即時抗告の期間は、民法第843条第1項の規定により成年後見人に選任される者が審判の告知を受けた日(2以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。(家事123Ⅱ)

審判確定日

・成年後見人候補者が告知を受けた日(2以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から2週間
ご本人が通知を受けた日は関係がない

即時抗告の場所

審判をした家庭裁判所を管轄する高等裁判所

即時抗告に必要な物

即時抗告申立書(即時抗告の抗告状)を提出する方法により行います。即時抗告申立書の書式は家庭裁判所のホームページからダウンロードするなどしても取得できます。
即時抗告申立書には、申し立ての趣旨および即時抗告の理由を明確に記載し、証拠書類がある場合には、その写しを添付します。

不服申し立ての注意点

後見開始決定がなされたことに対する異議(即時抗告)は可能ですが、後見人の人選への異議、報酬および後見制度支援信託・支援預貯金契約の締結については(即時抗告)は認められません。
被保佐人、被補助人には「正式に告知」されるのに対して、成年被後見人に対しては「通知だけ」に留まるのが、留意点です。これにより審判確定日が異なります。すなわち、保佐・補助の場合には、「ご本人が告知を受け取った日」又は「(保佐人若しくは補助人の)候補者が告知を受け取った日」の遅い方から2週間です。
一方、後見の場合には「後見人候補者が告知を受け取った日」から2週間となり、ご本人が通知を受け取った日は関係がありません。

不服申し立ての事例

Aには長男Bと長女Cがいる。
長男Bは、Aの判断能力が落ちて自分で通帳の管理などができないため、自分が後見人になってAのかわりに財産管理をしようと考え、Aについて後見開始の審判を申立てたところ家庭裁判所は後見開始の審判をした。
しかし長女Cは、Aの判断能力はまだ十分で自分で通帳の管理などはできると考えていたので、そもそもBが成年後見の申立てをすることには反対しており、家庭裁判所が後見開始の審判をしたことにも驚いた。このような場合、長女Cは「家庭裁判所の判断は間違っていると思うので、高等裁判所でもういちど審理してほしい」と即時抗告をすることができます。

まとめ

今回は成年後見の審判が終わった後の不服申し立てについて解説しました。成年後見の不服申し立ては、家庭裁判所の審判の中で、後見、保佐、補助の判断が違うのではないかといった部分について不服申し立てできる制度となっています。そのため、選任された後見人を変えたいや、報酬に不服があるなどの不服申し立てができない点に注意が必要です。家庭裁判所の審判としては、医師の診断書と面談により後見・保佐・補助と判断しているため、判断を覆すのは難しいかもしれませんね。

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