【後見開始前の保全処分】~行政書士試験合格者が解説~

成年後見制度

今回の記事も成年後見制度についての知識について書いていきます。成年後見事務知識の記事になります。行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、成年後見業務に興味がある方に向けて記事を書いていきます。
今回の記事は、成年後見制度の審判中に、被後見人の大事な資産を守る保全処分について説明したいと思います。。今回の記事では後見開始前の保全処分って何?といったことを知ることが出来ます。
今回の記事を読むことで成年後見申立て中の大事な資産を守る保全処分について知ることが出来ます。

保全処分とは

後見等の開始の審判の申立てをしても、審判が確定するまでに、財産の保存管理をしたり、身上監護についての判断をしなければ、本人にとって取り返しのつかない損害が生じてしまう場合や、日常生活を十分に送ることができないような場合があります。このような状況に対し、家庭裁判所は、審判前の保全処分として、財産の管理者の選任や、関係人に対する本人の財産管理または監護に関する指示および後見・保佐・補助命令を発令できることになっています。
 後見、保佐、補助のいずれの申立てに対しても、保全処分は認められていますが、保全処分のみを行うことはできず、後見等開始の本案の申立てがなされていることが条件となります。

申立てが出来る人

審判前の保全処分の申立てができる人は、成年後見開始(保佐開始・補助開始)の申立てをした「申立人」です。成年後見開始(保佐開始・補助開始)の申立と同時に申し立てることができます。

保全処分の要件

保全処分は、申立てによっても、職権によっても行うことができますが、以下の要件をみたす必要があります。

①後見等開始の審判の申立てがあり、未だ審判の効力が発していないこと
審判前の保全処分は、審判が効力を発するまでの暫定処置の性質を持つため、審判の審理が係属していることが必要です。
②後見等開始の審判の申立てが認容される蓋然性が高いこと
後見開始、保佐開始、補助開始の申立てが認容される見込みがなければなりません。本人の判断能力がその審判に該当するくらい低下していることの疎明が必要です。
③必要性があること
本人が財産を失うような行為をしたり、第三者に財産を騙し取られてしまいそうであるなど、本人の財産の管理または本人の監護のために、早急な対応が必要であることが必要です。

審理手続き

管轄は、本案の審判事件が係属している家庭裁判所です(家事事件手続法126条)。
申立人は、申立ての理由、申立要件の具備について疎明することとなり、書記官、調査官の事情聴取、審判官の面接審問により、保全処分の要件や内容が検討されます。しかし、後見や保佐の開始の審判では必要とされる精神状況の鑑定も本人陳述の聴取も必要とはされていません。必要性が高ければ、保全処分と本案の審判を同時に出すこともあります。
保全処分は、財産の管理者に選任される者に告知されることによって効力を生じます。

効果

保全処分が認められると以下の処分が告知されます。

① 後見開始の審判事件を本案とする保全処分(家事事件手続法126条)
② 保佐開始の審判事件を本案とする保全処分(家事事件手続法134条)
③ 補助開始の審判事件を本案とする保全処分(家事事件手続法143条)

保全の内容

① 財産の管理者の選任
財産の管理人の選任をすることができます。財産管理者の権限は、原則として財産の保存、管理の範囲内で代理権を有するに過ぎないため、後見人のようは広範な権限はありません。
また、財産の管理者が選任されたとしても、本人の財産管理権限は失われません。
② 本人の財産管理、監護に関する事項の指示
関係者に対し、成年被後見人等となるべき者の生活、療養看護、もしくは、財産の管理に関する事項を指示することができます。
③ 後見命令、保佐命令、補助命令
成年被後見人等となるべき者の財産保全のため特に必要があるときには、当該申立てをした者の申立てにより、後見開始等の申立てについて審判が効力を生じるまでの間、成年被後見人等となるべき者の財産上の行為について、財産の管理者の後見、保佐、補助を受けることを命じることができます(後見命令、保佐命令、補助命令、家事事件手続法126条2項、134条2項、143条2項)。
財産管理者の選任があったとしても、本人は財産管理権を有するため、本人が判断能力が不十分なまま財産処分や契約締結を行う危険性が存在します。そこで、本人や財産管理者に取消権、同意権などの付与するための保全命令が定められています。
・後見命令の審判の対象となる財産上の行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為は、除かれています。
 また、成年被後見人となるべき者、財産の管理者は成年被後見人となるべき者がした財産上の行為を取り消すことができます(家事事件手続法126条7項)。
・保佐命令の審判の対象となる財産上の行為は、民法13条1項の行為に限られ、範囲を拡張することはできません。民法9条但書に規定する行為は含まれません。
・補助命令の審判の対象となる財産上の行為は、補助人の同意を要する行為の定めの審判の申立てがなされたものに限られ、民法9条但書の日用品の購入その他日常生活に関する行為は除かれます。
 保佐命令、補助命令の審判があったときは、財産管理者の同意を得ないでした財産上の行為を取り消すことができます(家事事件手続法134条5項、143条5項)。

費用

審判前の保全処分の申立ての手数料は不要ですが、登記手数料として登記印紙2,000円および郵便切手などが必要です。

まとめ

今回は後見開始前の保全処分について解説しました。正式に成年後見人(保佐人・補助人)が決まるまでの仮の対応です。最近は、後見等の本案の審判が出るまでの時間が短縮されているため、保全処分の申立てをしても、その審判の必要がなくなる場合もあるようです。念のため、こんな方法もあるのだと頭に入れておきましょう。

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