【家庭裁判所の報告業務について】~行政書士試験合格者が解説~

成年後見制度

今回の記事も成年後見制度についての知識について書いていきます。成年後見事務知識の記事になります。行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、成年後見業務に興味がある方に向けて記事を書いていきます。
今回の記事は、成年後見制度の業務では財産管理と身上保護に次いで、家庭裁判所への報告業務があります。今回の記事では家庭裁判所の報告業務について解説していきます。
今回の記事を読むことで成年後見業務の1つ、家庭裁判所の報告業務について知ることが出来ます。

家庭裁判所への報告義務

家庭裁判所への報告は就任時には初回報告として、提出期限までに成年被後見人等はどのうな財産があり、誰がどのように管理しているのか、現在どのような生活を送っているのかを明らかにし、財産目録・年間収支予定表を提出する必要があります。民法や家庭裁判所手続規則で定められています。

民法
第八百六十三条 後見監督人又は家庭裁判所は、いつでも、後見人に対し後見の事務の報告若しくは財産の目録の提出を求め、又は後見の事務若しくは被後見人の財産の状況を調査することができる。

家事事件手続規則
第八一条  家庭裁判所は、いつでも成年後見人に対し。成年被後見人の療養監護及び財産の管理その他の成年後見の事務に関し相当と認める時効を指示することができる

とされています。これは家庭裁判所の後見監督といいます。これからも分かるように、家庭裁判所は基本的に必要と判断した場合にはいつでも報告を求めることができます。その職務が適正に行われていることを証明する書類や記録などを適切に残して置かなくてはなりません。ではどのような準備が必要であるかいくつか挙げておきます。

後見事務報告書

①身上保護に関する事項:本人の居所、本人の心身状況の変化、療養監護の問題点
②財産管理に関する事項:本人の財産の変動と財産管理の方針
③その他の事務:家庭裁判所への連絡事項

財産目録

①財産の動きや収支がかわる年間収支状況報告書、金銭出納長
②直近の残高が記載された預貯金通帳の写し
③株式売買報告書、保険証書、登記簿謄本の写し
④領収書などの出金に関する証拠書類の写し

などです。さらには成年後見等は、本人死亡時の裁判所へ報告を、成年被後見人等が亡くなった日から2週間以内に行います。また、成年後見人等が相続人でない場合には2か月以内に行います。その後、6ヵ月以内に本人の財産を相続人に引き継ぎ、相続人から受領した引き継ぎ書を家庭裁判所に提出します。

後見等事務報告書

後見等事務報告書の中でも身上保護の報告内容についてご紹介します。身上保護と財産保護は一体的に行う必要があります。具体的に一体的に行うとは現在の生活の状況と収支のバランスを考えていく、今後の予想として生計と療養看護を考え生涯設計をする、そして本人の生活の質の改善や本人の希望の実現のために、財産を積極的に活用していくとういことです。

身上保護の報告内容

①本人の心身の状況

以前と比べて変化はないか、現在の心身の状況はどうか、そして今後はどのように予想されるかについて

②本人の生活状況

・在宅から施設などへの移動、入退院、施設変更など成年被後見人等の生活環境の変化について
・現在はどのような生活状況であるか、どのような療養看護状況であるか、成年後見人等のための支援ができるかについて
・本人の生活の場の決定について。生活の場所の決定は本人にとって重要な影響を与える場面です。本人による自己決定が困難と思われる場合には本人の意思を尊重して決定できるように成年後見人等は意思決定支援を行い、その結果をプロセスについて「後見事務のガイドライン」の様式などを活用して資料として提出することも必要です。

③本人の生活費や療養費

成年被後見人等の生活費や療養費がどのくらいかかるか、支出もついてどのように財産から支出しているか、赤字か黒字かについて

④今後の支出の見通し

年金や預貯金で賄えるか、不動産などの処理は必要かどうかについて

家庭裁判所に報告を必要とする事項

成年後見人には、成年被後見人の意思を十分に尊重し、本人の心身の保護を図る義務があります。成年後見人は家庭裁判所へ上申書・連絡票を使って報告していますが、必要なるのは以下の通りです、

(1)成年被後見人等又は成年後見人等が転居した場合
(2)成年被後見人または成年後見人等が死亡した時
(3)初回報告(財産目録・年間収支予定表・添付資料等)または定期報告(後見事務報告書・財産目録、添付資料等)の提出が遅れるとき
(4)大きな財産(不動産)を処分するとき
(5)遺産分割協議や相続放棄をするとき
(6)不動産売却代金、遺産、保険金などの多額の財産を受領したとき
(7)高額商品を購入するとき(1件50万円以上の商品やサービス)
(8)債務の返済
(9)立替金の精算

などです。

まとめ

今回は成年後見事務の重要な報告業務についての内容をご紹介しました。報告をすることで、成年後見業務が適切に行われているかを第三者の目で確認することができ、成年被後見人も安心して任せれることになりますね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました