【成年被後見人が所有する不動産管理】~行政書士試験合格者が解説~

成年後見制度

今回の記事も成年後見制度についての知識について書いていきます。成年後見事務知識の記事になります。行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、成年後見業務に興味がある方に向けて記事を書いていきます。
今回の記事も、成年後見人の業務内容について解説します。成年後見人の業務の中で財産管理がありますが、被後見人の所有する不動産がある場合、適切な管理が必要となります。
今回の記事を読むことで成年後見人の業務の一つ財産管理の不動産について管理する際の注意点などを知ることが出来ます。

不動産管理の全般

不動産の管理全般に通じることですが、 成年後見人等が就任の初めに行う財産目録作成の段階で、申立書類に不動産登記簿謄本が添付されていない場合は取り寄せます。 不動産登記簿謄本は、その不動産の所在地を管轄する法務局で取得します。 登記簿謄本の取得には、交付申請書に必要事項を記載して、窓口へ行った者が記名・捺印すれば 誰でもその交付申請をすることが出来ます。また、法務局が遠隔地の場合や直接行く 時間がない場合などは、郵送でも取り寄せることができます。
この謄本を取得することによって、所有名義人、 抵当権等の存在など必要な情報が得られます。
次に、固定資産税・都市計画税などの税金の支払状況を地元自治体の固定資産税担当部署などに確認します。また、抵当権が設定されている場合は、その被担保債権で ある借入金などの返済が滞っていないかどうかも確認します。火災保険や地震保険な どについて、加入状況の確認や更新手続きを忘れずに行いましょう。
不動産と言っても様々な種類があるため、可能な範囲で解説します。

自己所有の不動産を自己が使用している場合

家屋

家屋の管理関係で必要な視点としては、家屋としての価値の維持です。①修理すべき箇所はないか、②修理が必要となった場合の資金手当、③工事業者の選定、④壁紙や床材・タイルなどの 選択のほか、⑤使用目的に合わせた建替や、⑥買換えなどを念頭においてください。しかし、あまり大規模な改築や買換えは、成年被後見人等の情緒を不安定にするおそれもありますので十分に注意が必要です。居宅の処分には家庭裁判所の許可も必要です。

敷地、庭

居住する建物の敷地や庭の維持管理も必要です。雑草や不用品が敷地内に放置してあると火災やゴミ集積の原因にもなりかねないので、成年被後見人等と 相談して業者に委託するなどして除草や撤去清掃を行います。

マンション

自己所有のマンションなどの集合住宅に居住している場合は、 管理組合等の建物全体の維持管理に協力する必要があります。 規約を確認し、 建物全体の維持管理に協力する必要があります。管理費や大規模修繕の積立金の未納がないか、 消防点検や排水管清掃の協力義務は果たしているか、ゴミ出しや共有スペースのルールを守っているか等を確認し、建物全体の価値の維持に努めます。

自己所有の土地または建物を賃貸している場合

成年被後見人等の所有する不動産を他人に賃貸している場合は、賃貸借契約書で借主が誰か、賃貸借期間がいつ満了するか確認します。また、これまでの賃料の収受状況の確認も必要です。未払いが続いているようなら催告しなければなりません。それでも支払ってもらえない場合は契約を解除して土地や家屋を明け渡してもらう必要があるかもしれません。専門家に相談しておくと良いかもしれません。
駐車場経営の場合、その管理態様の把握が必要です。月極なのか、時間貸しな のか、企業などに一括まとめ貸しなのかによって管理の方法が違います。契約をしていない車両の不法駐車に対する措置や、機器の損壊、駐車料の不払いの場合 の対応、契約更新の問題などが予想されます。
成年被後見人等が貸家や貸駐車場をたくさんもっている場合など、成年後見人 等が管理することが困難な場合もあります。これらの事務は煩雑でいろいろな調 整も必要なため、近くの信頼できる不動産業者に管理委託することも検討しま しょう。この場合、管理にどのくらいの費用がかかるか、事前にしっかりチェッ クしてください。
なお、賃料については、確定申告が必要になる場合がありますが、成年被後見 人の代理人として成年後見人が税申告することになります。

田畑、山林等を所有している場合

成年被後見人等が田畑や山林、雑種地等を所有している場合もあります。成年被後見人自身が耕作や栽培を行い土地活用している場合は、たとえ収入につなが らなくとも趣味生きがいを支援するため、成年後見人等の身上保護の一環として本人の活動を見守り、土地の維持管理に努めましょう。活用されず荒地となって いる田畑・山林・雑種地等を所有している場合は、維持管理費、固定資産税の負担も考慮に入れて、本人・親族・専門家の意見を聞きつつ小作活用 策を考えることも検討しましょう。

安全、衛生対策

成年被後見人等が所有している不動産について、 留意すべきことはゴミの処理、 雑草問題です。有者責任において、火災予防・悪臭防止を講じることは近隣との関係所を良好に保つためにも必要ですので、 常に環境改善に留意しましょう。

まとめ

今回は成年後見人の財産管理の一つ不動産の管理について、具体的な解説をしてみました。参考になれば幸いです。

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