【市民法務:契約書の作り方・一般的な契約書の概要】~行政書士試験合格者が解説~

市民法務関係

前回の記事から引き続き、行政書士の市民法務業務について書いていきたいと思います。行政書士の業務には、権利義務に関する書類の作成とその代理・相談というものがあります。その権利義務に関する書類の中で、契約書の作成と内容証明書についての記事を書いていきます。行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、市民法務分野に興味がある方に向けて記事を書いていきます。今回は契約書の実際的な概要についての記事を書きたいと思います。この記事を読むことで契約書のイメージを持つことが出来ます。

契約書とは

契約書とは、原則として契約の存在書や内容を証する書面のことをいいます。 すなわち契約の証拠書面=契約書というものです。契約を見えるように証拠化したのが契約書なのです。

契約書の題名

契約書の題名は、どのようなもので あっても、契約書となり得ます。「念書」「覚書」「協定書」「確認書」「合意書」 「示談書」などの題名であっても、契約書という題名をつけたものと変わりはないのが原則です。極端にいえば、題名が記載されていなくてもかまいません。契約の証拠書面であれば、すべて契約書ということになります。また題名によって、契約書間で適用関係や優劣が決まるわけでもありませ ん。なぜなら、契約書が効力を発揮するのではなく、あくまで契約書が証明するところの契約が効力を発揮するものであるからです。例えば、覚書と合意書のどちらが優先するかといえば 覚書が証明する契約と、 合意書が証明する契約という契約同士の優劣が問題 になります。そして、 最終的には後に、 締結された契約の内容が(相互に矛盾 する事柄については)優先することになります。
なお「仮契約書」という契約書がありますが、「仮」という題名が付けられていても、契約の成立の証明力がないわけでも、証明する契約が効力を有さないわけでもありません。「この契約 は法的拘束力を有さない」旨が記載されていない限り、通常の契約書と変わりがありません。

前文

契約書の題名のすぐ後に、「○○株 式会社と××株式会社は、●●契約を 締結する」といった文章が記載されている部分があります。その後に「第1 条」から始まる契約書の本体部分が記載されます。このように題名のすぐ後で、本体たる契約書の条項の前に記載されている文章は、「前文」と呼ばれています。
前文は、契約書における必要的記載事項ではありません。このため、題名の後にすぐに「第1条………………………」とい うように、契約書の本体である条項を 記載しはじめてもかまいません。ただ 実際には日本の多くの契約書において、 前文を記載していることが通常です。
実務的に重要な点は、誰が契約の当事者であって、この契約当事者にどのような略語を用いるか、という点になります。
誰が契約当事者であるのかという記載は、契約書末尾における記名押印ま たは署名する契約当事者の記載と同一であることが必要です。また、略語に ついては、「甲」「乙」「丙」「丁」を用いることが一般的です。

契約書の前文に記載されていることは、契約の合意内容そのものではないため、前文と本体たる各条項との間でどちらが優先するかといえば、 本体たる各条項が優先することになり ます。もっとも、各条項の記載内容を解釈するにあたって、契約の前文に記載されている内容が解釈の1つの指針となることはあり得るため、注意が必 要です。

通数

契約書を作成・締結するにあたり、 その原本を何通つくるのかについての決まりはありません。何通つくろうとも当事者の自由となります。もっとも通常は契約当事者が、それぞれ1つの原本を持っていたいと思うことから、契約当事者の数だけ原本をつくるのが一般的です。例えば二当事者間の契約書であれば、契約書の原本を2通つくることになります。ただし契約書を作成・締結した場合に印紙税がかかることもあり、節税のために原本は1通として、それ以外はコピーで対応するというやり方が実務で取られることもあります(例えば、同じ内容の契約書を多数の相手方と締結する場合や、印紙税の額が高額となる不動産の売買契約書を締結する場合など)。ただし、契約書の原本が1通しかない場合には、その原本が紛失等した際には、契約の内容が後に証明できなくなるリスクがあることに留意しておきましょう。

日付

本来、契約書に記載すべき日付は、契約書を実際に作成・締結した日です。もっとも、実際に契約書に記載され契約が成立した日、または、契約書の証する契約の効力発生日であることが多いです。その理由は、取引開始後に契約書を作成・締結することも多いものの、取引開始時点から契約書が作成・締結された外形を残しておきたいという要請があるからと考えられます。
日付を契約書に記載している場合、実際に契約書を作成・締 結した日とは異なる日付が記載されて いることになります。ただし、このように誤った日付の記載がなされていたとしても、それ自体で、契約書が契約を証明する証拠能力を失ったり、この契約書が証明する契約が無効になったりはしません。単に当事者において、作成日付が間違っている契約書を作成・締結したという事実が残るに過ぎません。

契約書に記載する日付とは別に、 契約書に確定日付を付与することができます。具体的には、公証役場に請求し、公証人が締結された契約書に確定日付印を押印することによって、 契約書に確定日付が付与されます。こ れにより締結された契約書が、少なくともその確定日付印が押印された日付に存在したことが公に証明されることになります。ただし、確定日付はあ くまで「日付」を確定するものであって、契約書の内容等を証明するものではありません。

記名押印、署名

契約書には、契約当事者が記名押印または署名をするのが、一般的な契約書の形式です。この記名押印または署名をする際の契約の当事者の表示は、個人の場合には名前だけではなく住所を記載するのが一般的なルールです。同姓同名の人がいた場合に、契約当事者を特定するために住所を記載します。したがって必ずしも住民票上の住所でなければならないというものではなく、実際の居住地の住所でも大丈夫です。
同様に法人の場合においても、法人 名だけでなく特定のために住所の記載が必要となりますが、これも同じ名前の法人の中で契約当事者を特定するためです。よって、商業登記簿上の本店所在地でなく、法人の事務所などがある場所の住所でもよいことになっています。

まとめ

今回の記事を読むことで、何となく契約書のイメージができたのではないでしょうか。次回は契約書に必要な収入印紙や押印についてのことを解説していきます。また今後、さまざまな契約書の様式についてもご紹介していきますので、是非ご覧ください。

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