【市民法務:契約書の作成/契約書にのせる一般条項】~行政書士試験合格者が解説~

市民法務関係

今回の記事も行政書士の市民法務業務について書いていきたいと思います。行政書士の業務には、権利義務に関する書類の作成とその代理・相談というものがあります。その権利義務に関する書類の中で、契約書の作成と内容証明書についての記事を書いていきます。行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、市民法務分野に興味がある方に向けて記事を書いていきます。今回は、契約書で最後に書かれている一般条項について記事を書きたいと思います。この記事を読むことで契約書の作成の仕方が分かります。

一般条項とは

契約の種類や具体的な内容に関係なく、多くの契約書において定められることの多い標準的な条項を(契約書に おける) 一般条項といいます。多くは契約書の一番最後の部分に記載されて います。ではさっそくいくつか具体例を見ていきましょう。

合意管轄条項

裁判所の管轄とは、当事者間で民事裁判を行う場合、どこの裁判所で行うのかということをいいます。法定管轄指定管轄応訴管轄、そして合意管轄の4種類があります。
法定管轄とは当事者の合意等がなくとも、法律の規定により特定の裁判所の管轄権が生じることをいいます。 当事者の合意等がなければ被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所となります。指定管轄とは、①管轄裁判所が法律上または事実上裁判権を行使できないとき、あるいは②裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときに、上級裁判所が定めることに よって発生します。応訴管轄とは、被告が第一審裁判所において管轄違いの抗弁を提出しないで本案について弁論をし、または弁論 準備手続において申述をしたときにその裁判所に認められます。
合意管轄とは、当事者間で合意により決定した管轄のことをいいます。合意管轄によって、法定管轄が認めたれない裁判所であっても民事裁判を行うことが出来、手続きの遂行や労力を削減することができます。

例:専属的合意管轄
本契約に関して生じた紛争については、甲の本店所在地を管轄する地方裁判所 を、第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

権利の移転禁止条項

契約の当事者が、契約上の権利や義務、あるいは契約上の地位を第三者に渡す場合があります。例えば、お金を貸した人が、利息や返済を受ける権利を誰かに売るなどすることができます。
当事者間で権利等の移転を禁止する合意がない場合には、法律の原則に基づいて考えることになります。契約上の権利や義務を移転する方法としては、 ①債権譲渡、②債務引受、③契約上の地位の移転が挙げられます。①の債権譲渡は、債務者としては自らが関与しないところで、予期せず契約上の債務(権利)が債権者から第三者に移転される可能性があります。債務の履行相手がわからない、移転先の第三者が信頼できないといった事態を防ぐために、権利等の移転を禁止する条項を設けておくことは効果的です。
一方、②債務引受や③契約上の地位の移転は、原則が相手方の承諾(当事者間の合意)がなければ行うことができないため、同様の条項を定めても法律上の規定の確認的な意味しかありません。

例:権利等の譲渡禁止
甲及び乙は、相手方当事者の事前の書面による承諾なくして、本契約上の地位 を移転し、または本契約により生じた自己の権利義務の全部若しくは一部を第三 者に譲渡し、第三者の担保に供してはならない。

誠実義務を定める条項

契約書において特に合意していない事項や、契約書上で合意した事項の解釈に相違が生じた場合に備え、当事者間で、別途、誠実に協議・検討・対応する旨の義務(誠実義務)を定める条項を設けることがあります。明確に決まっているわけではありませんが、 一般的には契約書の最後の方に条項が設けられることが多いです。
誠実義務を定める条項は、法律上は具体的な義務を課すものではないと一般的に解釈されています。その理由は 2つあります。
1つ目は「別途・・・定めるものとする」という部分です。契約合意である以上、別途に合意すれば、契約を変更したり、契約の内容を付け加えたりすることができるのは当たり前のことといえます。契約書に書くことに法律上の意味はありません。
2つめは「誠実に…する」という部分です。「誠実」という用語は日本語としてはともかく、法律的な意味からすれば、何が誠実で何が不誠実かの基準が不明確です。いかなる行為が必要とされるのかが明らかでなく、具体的な義務を課すものではないからです。
しかし、契約書の条項だけでは判断できないことが生じた際、契約当事者間で協議・検討を行うための1つの 「手がかり」になることがまったくな いとはいえないため、実務的には定められることが多いのです。

例:誠実義務
本契約に定めのない事項及び本契約の内容の解釈につき相違のある事項につ いては、本契約の趣旨に従い、別途、甲乙間で誠実に協議して、これを定めるものとする。

まとめ

今回は一般条項の一部をご紹介しました。もしご自身で何らかの契約書をお持ちの場合は、どんなことが書かれているか見てみるのもいいかもしれません。一般条項は必ずつけなければいけないことはありませんし、契約内容で変わるため幅広い分野となっています。

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