【福祉系行政書士とは】~行政書士試験合格者が解説~

福祉業務

今回の記事から現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。今回からの記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、市民法務分野に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。今回は福祉系行政書士とは?について紹介したいと思います。

行政書士とは

まず初めに、行政書士は、行政書士法(昭和26年2月22日法律第4号)に基づく国家資格者で、他人の依頼を受け報酬を得て、役所に提出する許認可等の申請書類の作成並びに提出手続代理、遺言書等の権利義務、事実証明及び契約書の作成等を行うことを仕事としています。
福祉と行政書士というとまったく別のジャンルのもののように思えるかもしれませんが、行政書士という仕事の根本的な内容は行政と民間の橋渡しです。これを福祉という分野に当てはめれば、福祉サービスを提供している行政と福祉サービスを使いたいと思っている障害のある方、または高齢の方の間を取り持つことです。このように見てみると福祉と行政書士は決して関係ないもの同士ではないのです。

相談内容について

行政書士は、役所に申請・提出する書類を作成・申請代行したり、契約書の作成をしたりできる専門家です。そのため、福祉事業所を開設、運営する際に必要となる起業のための手続きや融資、事業を始めるための許認可をお手伝いすることが可能となります。

  • 会社設立
  • 資金調達
  • 建設業の許可申請
  • 障害福祉サービスの開設・指定申請
  • 補助金申請
  • 配置基準や指導監査の対応・相談
  • その他、法務相談

開業支援では、障害者総合支援や児童福祉法を根拠とした人員基準や設置基準といったルールに基づいた指定申請が必要になり、建築基準法や消防法などの関係法令の適合性も求められます。
また、運営支援では、運営基準や人員基準を守りながら収益を上げていかなくてはなりません。さらには、頻繁に法改正がある業界のため、情報を常に追いかけていかなければなりません。行政の実地指導や監査もありますので、それらにも対応できるような運営をしていかなければなりません。そのため障がい福祉サービス事業専門の当事務所を障がい福祉サービス事業の経営パートナーとして行政書士が役立つ機会が多いと思われます。
その他、行政書士は経営者へのコンサルティングも同時に行います。福祉業界に限った話ではありませんが、事業運営上の様々な課題についてコンサルティングする業務は行政書士の仕事の一つです。こうしたコンサルティング業務は独占業務ではありませんが、各種書類作成や役所との交渉事に長けた行政書士なら、的確なアドバイスができます。

成年後見制度に関連する業務

行政書士の福祉関係の業務において、成年後見制度に関連する業務もできます。行政書士が実施できる成年後見業務の関連業務としては、「成年後見を考えている依頼者の相談に応じる」「成年後見人への就任」などがあります。※成年後見申立書面の作成自体は弁護士・司法書士の独占業務です。
成年後見制度は判断能力が衰えてしまった方がいる場合、周囲の方が後見人になって財産を不当な契約から守ることができる制度です。障害のある方、特に精神障害のある方や認知症状が出始めている場合に法律にくわしい行政書士が、本人の家族の方も後見人に就任すれば安心なのではないでしょうか。

成年被後見人は「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者で、家庭裁判所から後見開始の審判を受けたもの」です。
被保佐人は「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分な者で家庭裁判所から保佐開始の審判を受けた者」です。
被補助人とは「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な者で、家庭裁判所の補助開始の審判を受けた者」です。
これらに該当する方の財産を保護する制度で家庭裁判所が選任された後見人(保佐人、補助人)が財産を管理します。

相続業務

相続とは、ある人が死亡すると、その人に属していた財産上の権利義務が他の人に包括的に受け継がれることになります。権利義務を受け継がれる人を被相続人といい、権利義務を受け継ぐ人を相続人といいます。また、失踪宣告がなされても失踪者が死亡したとみなされるため相続が開始します。相続と言えば、財産の取得をイメージしやすいですが、実は負債などの債務も対象であるため、注意が必要です。
この相続業務はどんな方にもいずれは必要となりますが、例えば障害者の方が亡くなられた場合や、その家族が亡くなってしまって相続手続きが必要な場合、または高齢者福祉業務であれば対象者が亡くなってしまった場合にも必要になる相続手続きとなります。そのため、専門の行政書士がついていることでアドバイスをもらえたり、代理で相続業務を依頼することも可能となります。

まとめ

今回は福祉系行政書士がどのような業務が可能になるのかについてご紹介しました。今回ご紹介した業務を全てできるかは行政書士の専門分野にもよるため、必ずしも出来るとは限りませんのでご注意下さい。

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