【福祉事業について】~行政書士試験合格者が解説~

福祉業務

今回の記事から現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。今回からの記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、市民法務分野に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。今回は福祉系行政書士に必要となる福祉事業とは?について紹介したいと思います。

障害福祉事業とは

「障害福祉事業」とは、障がいのある方や特定の難病のある方が、地域で生活を続けていけるように支援する事業(サービス)のことです。 障がい福祉事業では、障がいのある方が個人として尊重され、共生す る社会を実現することを目的としています。
また、障がいのある方は事業者との対等な関係にあり、障がいのある方(保護者なども含む)が、サービスを選択し、障がい福祉事業所と契約によりサービスを利用するしくみとなっています。

根拠法令

障がい福祉事業を行なうために根拠となる法律は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(以下「障害者総合支援法」)と「児童福祉法」です。

障害者総合支援法
この法律は、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の基本的な理念にのっとり、身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)、知的障害者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)その他障害者及び障害児の福祉に関する法律と相まって、障害者及び障害児が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付、地域生活支援事業その他の支援を総合的に行い、もって障害者及び障害児の福祉の増進を図るとともに、障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

児童福祉法
全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのつとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。

「障害者総合支援法」は障がい者 (18歳以上) のサービス、「児童福祉法」は障がい児(18歳未満、児童)のサービスを規定している、この二つの法律が関係しています。(※例外はあります)
また、障がい福祉事業を行なうためには、法律にもとづく許可が必要で、この許可を「指定」といい、指定を取ることで、行政から給付(介護給付費や訓練給付費など)を受けることができます。この「指定」を取ることが、障がい福祉事業のスタートラインといえ ます。

障がい福祉事業を利用する人とは?

障がい福祉事業を利用できるのは、「障がいのある方や特定の難病のある方」ですが、具体的には次の4つに分けられます。

①身体障がい者(身体障がい児) ②知的障がい者(知的障がい児) ③精神障がい者(精神障がい児/発達障がい、高次脳機能障がいを含む) ④難病患者難病(国の定める疾病によるものが対象)については、2017年4月1 日改正の障害者総合支援法で対象となったのは358疾病です。また、障がい福祉事業を利用する障がい者のことを「利用者」といいます。

「障がい福祉」と「介護」の違い

障がい福祉と介護は、「福祉」という大きな枠組みとして扱われることが多く、同じものと考える方が多いことから、「障がい福祉サービス 」と「介護サービス」の違いを簡単に確認しておきましょう。

【障がい福祉サービス】(児童福祉を含む)

・「障害者総合支援法」と「児童福祉法」の2つの法律が根拠
・主に65歳未満の方を対象(例外あり)
・利用者は、決められた「上限管理額」までの範囲で自己負担
・原資は、公費と利用者の自己負担額

【介護サービス】

・「介護保険法」が根拠
・原則として65歳以上の方が対象(例外あり)
・利用者は、原則として1割の自己負担額が発生
・原資は、公費、介護保険料と利用者の自己負担額

このように65歳以上か、未満かで利用できる施設やサービスが変わってきます。また、どちらの制度を利用するのかについてはケースバイケースですので市役所に相談する必要があります。例えば、65歳未満でも、特定疾病がある場合は介護2号保険が優先されたり、65歳以上でも障害サービスにしかないものは利用できたりします。

まとめ

今回は障害福祉事業所の大枠の流れを解説しました。次回の記事からは、法律についての解説となります。法律を知らなければ、施設の目的や対象者、サービス提供に問題が生じますので学んでいきましょう。

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