【福祉事業を始める準備②】~行政書士試験合格者が解説~

福祉業務

今回の記事も現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。今回からの記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、市民法務分野に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。前回、開業するための要件(法人格、人員要件)を説明しました。今回も引き続き、物件選びとその他の検討事項について記事を書いていきます。この記事を読むことで福祉事業解説のイメージがつくと思います。

物件選び

物件選びを誤ると、指定が取れなくなる、予想以上の出費を強いられる、利用者が来ない事業所になる可能性があるため注意が必要です。物件の選び方のみに限定すると、「訪問系・相談支援系のサービス」 と「就労系・児童系・居住系などのそれ以外のサービス」とに分けることができます。
たとえば、訪問系・相談支援系のサービスでは、基本的に利用者が来訪することが少ないので、消防法上のハードルは低いといえます。
今回は、利用者が事業所に訪れる「日中活動系・就労系・居 住系・障がい児通所系」のサービス(放課後等デイサービス、就労継続 支援A・B型、就労移行、生活介護、共同生活援助などのサービス)の 物件選びについて説明していきます。

物件選びの基本

利用者が事業所に訪れる「日中活動系・就労系・ 居住系・障がい児通所系」などのサービスの場合では、都市計画法、建築基準法、消防法、障害者総合支援法、児童福祉法、条例、規則、ガイドラインなどに適合させ、各種条例にも適合している物件である必要があります。

都市計画法

大前提として、障がい福祉事業は原則として、市街化調整区域では開業できません。市街化調整区域とは、原則として開発行為を行なわず、 都市施設の整備も原則として行なわれない地域です。

建築基準法

ルや戸建てのどちらにするにしても、使用面積が200㎡未満の物件にしなければ、原則として建築基準法上の用途変更の手続きが必要になります。その手続きにあわせて工事が必要となる場合もあり、そ うなると数か月単位の期間と多額のお金を費やすことになります。
また、建築基準法が求める「建築確認申請を受けていること」「検査済証の交付を受けていること」のうち、最低でも「建築確認申請を受けていること」が必要です。平成になってから建築された建物は、「建築確認」「検査済証」ともに受けていることが多いです。ちなみに、「検査済証」がある物件は、家賃が高い傾向にあります。

消防法(条例を含む)

障がい福祉事業の指定申請時には、必ず消防の「防火対象物使用開始届」(指定権者によっては「消防済書」)を提出する必要があります。これらの文書は、消防法や関係条例の要求する設備が設置されているかどうかを管轄の消防署員が現地確認を行なった後にしか提出できません。物件によっては、この設備要件のレベルが高く、設備設置費用が高価になる場合があります。
消防法は非常に複雑な法律なので、消防設備の設置工事を行なう前に、管轄の消防署へ事前相談することは必要です。よく設置する消防設備には、「消火器」「誘導灯」「自動火災報知機」「スプリンクラー」「避難器具」などがあげられます。 なお、消火器の設置や誘導灯の工事を行なう場合、面積が大きくなければ、それほど費用は高いわけではありません。しかし、自動火災報知 機やスプリンクラーは、建物全体に工事を行なう必要があるので、費用 は高額になります(共同生活援助サービスなどについては、自動火災報知機は原則として必須です)。

条例(まちづくり条例やバリアフリー条例など)

各都道府県、市町村で制定されている条例に沿った物件である必要があり、物件によっては改修が必要になる場合もあります。改修となれば、条例に従うようにしなければならないので、地元で条例をよく理解している建築士さんに依頼するほうが良い場合もあるでしょう。

障害者総合支援法、児童福祉法、条例、規則、ガイドラインなど

各サービスによって違いがあるため確認しておきましょう。

その他の要件

スムーズに開業するために必要な事項を何点かご紹介します。

近隣の住民への説明

戸建てで、かつ住宅街で指定を受ける場合は、しっかりとした住民説明を行なう必要があります。社会の偏見などもないとはいえないので、法人代表者や管理者が、先頭に立って説明をする必要あるかもしれません。

車が駐車できるスペースがあること

障がい福祉事業所で、送迎サービスを行なう場合は、送迎車を駐車で きるスペースが必要になります。送迎時に利用者が安全に乗降できるよ うなスペースも確保したいところです。

利用者の通所、従業員の通勤のことも考えた立地

利用者が毎日通うことができる立地を選ぶことも重要です。また、従業員の通勤としての立地も検討しましょう。

災害のことを考えた立地

ハザードマップなどで確認し て、川や海から少し離れた立地のほうが、安全に事業継続していくことが出来るでしょう。また、浸水想定区域と土砂災害警戒区域を確認したうえで、この区域内に事 業所がある場合は、「避難確保計画の作成」と「避難訓練の実施」が必要です。

まとめ

今回は福祉事業を始める際に重要な物件選びとその他の検討事項をご紹介しました。参考にしていただければと思います。

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