今回の記事も現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。今回からの記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、市民法務分野に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。福祉事業の就労継続支援B型の事業について詳しく解説していこうと思います。この記事を読むことで福祉事業の就労継続支援B型の施設運営に必要なことを知ることが出来ます。
就労継続支援B型(非雇用型)
通常の事業所に雇用されることが困難な障害者のうち通常の事業所に雇用されていた障害者であってその年齢、心身の状態その他の事情により引き続き当該事業所に雇用されることが困難となった者、就労移行支援によっても通常の事業所に雇用されるに至らなかった者その他の通常の事業所に雇用されることが困難な者につき、生産活動その他の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を行います。
利用者には工賃を支払う
「就労継続支援B型」サービスは、一般企業などに雇用されることが 困難な障がいのある方に対して、生産活動などの機会の提供、知識およ び能力の向上のために必要な訓練などを行ないます。利用者に行なってもらう「仕事」を用意することが必要になります。就労継続支援A型とは異なり、雇用契約は締結しませんが、工賃の支払いが必要になります。
どんな仕事を行なうのか
就労継続支援B型サービスでは、就労継続支援A型と同じく、事業所で利用者が行なう仕事を用意する必要がありますが、製造関係や内職系の仕事を受注する場合が多いと思われます。就労継続支援B型サービスは利用者の工賃については原則として就労継続支援B型の事業収入から充当する必要があります。この工賃は法律上、月額3,000円以上とされているので運営が難しいわけではありません。ただし、「平均工賃月額」に応じた報酬体系をとっている場合は、報酬の算定額について前年度の工賃額で決まります。
最低定員
20名です(多機能型の場合は、この限りではありません。指定権者に確認してください)。
人員配置
就労継続支援B型を運営するには、管理者、サービス管理責任者、職業指導員、生活支援員が必要です。
人員配置基準
就労継続支援B型の人員配置基準は、利用者と従業員(職業指導員、生活支援員)の比率により、2パターンあります。
利用者と従業員の比率 | 必要な職員数 |
---|---|
7.5:1の場合 | 利用者7.5名に対して職員(職業指導員、生活支援員)1名の配置が必要 |
10:1の場合 | 利用者10名に対して職員(職業指導員、生活支援員)1名の配置が必要 |
職種 | 配置人数 | 常勤の有無 |
---|---|---|
管理者 | 1名 ※兼務可 | なし |
サービス管理責任者(サビ管) | 利用者数60名以下:1名以上 利用者数61名以上:1名+60名を超えて40またはその端数を増すごとに1名増 | あり ※1名以上 |
職業指導員 | 各1名以上常勤換算で利用者10人(7.5人)につき1名必要 | あり ※1名以上 |
生活支援員 |
利用者数が100名まではサビ管2名でよいですが、101名になったらサビ管は3名必要となります。
就労継続支援B型サービスの設備基準
訓練・作業室:
・サービス提供に支障のない広さを備えること(利用者1 人当たりの面積が3.3㎡必要な指定権者もあるので、その場合、最低定員が20名であることから訓練・指導室の 最低面積は66㎡必要)
・訓練、作業に必要な機械などを備えること
相談室:プライバシーに配慮できる空間にすること
多目的室:相談室と兼用とすることも可能
洗面所・トイレ:
・利用者の特性に応じたものである必要がある
・トイレ手洗いと洗面所の兼用は不可の指定権者が多い
事務室:
・設備基準上は不要だが、指定権者によっては必要な場合 がある(運用上ないと作業効率が非常に悪い)
・カギ付き書庫を求める指定権者が多い
就労継続支援B型サービスの対象者
就労継続支援B型サービスを利用できる対象者は、以下にあげるとおとりです。
①就労経験があるものの、年齢や体力の面で一般企業に雇用されること が困難となった者
②50歳に達している者または障害基礎年金の1級受給者(65歳以上でも可能です)
③上記①、②に該当せず、就労移行支援事業者などがアセスメントを行ない、就労継続支援B型サービスが妥当と判断された者
まとめ
今回は障害者施設でイメージされやすい作業所、就労継続支援B型についてご紹介しました。解説に必要な部分について解説しているためご参考になればと思います。