今回の記事も現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。今回からの記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、市民法務分野に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。福祉事業の居宅介護:家事援助について詳しく解説していこうと思います。この記事を読むことで福祉事業の家事援助の事業運営に必要なことを知ることが出来ます。
居宅介護
居宅において、入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助を行います。基本的に居宅介護では下記4つのサービスを提供します。
- 身体介護
- 家事援助
- 通院等介助
- 通院等乗降介助
今回は③④家事援助についてご紹介します。
自治体独自の制度が移動支援です。病院・クリニックの受診については、移動支援での利用ができない自治体があります。
通院等介助の範囲
通院介助の範囲は、以下のようなところが該当します。
- 病院やクリニックへの通院
- 公的手続きや相談のために官公署へ行く
- 委託相談支援事業所・指定特定相談支援事業所・指定一般相談支援事業所へ相談に行く
買い物などの通常の外出や転院手続きなどは通院介助の範囲外です。
通院等介助では、医療機関における院内介助の算定ができません。
これは院内の対応は「病院側のスタッフが行うべき」とされているからです。ただし、医療機関のスタッフによる対応が難しく、市町村が院内介助の必要性を認めた場合に限り、下記の算定が可能です。
- 知的・精神障害などにより常時見守りが必要な場合の待ち時間の見守り
- 院内の移動に介助が必要な場合の移動介助
- 排せつ介助を必要とする場合の院内のトイレ等での排せつ介助
対象者
通院等介助(身体介護を伴う)、通院等介助(身体介護を伴わない)があります。障害支援区分1以上の方を対象としており、それを満たしている方であれば通院等介助(身体介護を伴わない)の支給決定を受けられます。対して、通院等介助(身体介護を伴う)の支給決定を受けるためには、以下(1)(2)のどちらにも該当する必要があります。
(1) 障害支援区分が区分2以上に該当していること
(2) 障害支援区分の認定調査項目のうち、次に掲げる状態のいずれか一つ以上に認定されていること
・「歩行」「全面的な支援が必要」
・「移乗」「見守り等の支援が必要」、「部分的な支援が必要」または「全面的な支援が必要」
・「移動」「見守り等の支援が必要」、「部分的な支援が必要」または「全面的な支援が必要」
・「排尿」「部分的な支援が必要」または「全面的な支援が必要」
・「排便」「部分的な支援が必要」または「全面的な支援が必要」
通院等介助の単位数
通院等介助の単位数は、身体介護を伴う・伴わないで異なります。
以下、単位数表を参考にしてください。
通院等介助 (身体介護を伴う場合) | 通院0.5(30分未満の場合) | 225単位 |
通院1.0(30分以上1時間未満) | 402単位 | |
通院1.5(1時間以上1時間30分未満) | 584単位 | |
通院2.0(1時間30分以上2時間未満) | 666単位 | |
通院2.5(2時間以上2時間30分未満) | 750単位 | |
通院3.0(2時間30分以上3時間未満) | 833単位 | |
通院3.5(3時間以上3時間30分未満) | 916単位 (※以降は30分増すごとに83単位を加算した単位数) | |
通院等介助 (身体介護を伴わない場合) | 通院0.5(30分未満の場合) | 105単位 |
通院1.0(30分以上1時間未満) | 196単位 | |
通院1.5(1時間以上1時間30分未満) | 274単位 | |
通院2.0(1時間30分以上2時間未満) | 343単位 (※以降は30分増すごとに69単位を加算した単位数) |
通院等介助と通院等乗降介助の違いは?
通院等介助とよく似たサービスに、「通院等乗降介助」があります。通院等乗降介助とは、訪問ヘルパーが自分が運転する車を使って通院や官公署を訪れる際、乗車・降車の介助と乗車前または降車後の屋内外での介助にかかる時間が20分以内の場合に適応されるサービスです。訪問ヘルパーと利用者が電車やバスなど公共交通機関を利用する場合や、訪問ヘルパーが自分で車を運転した場合でも、乗車・降車の介助などが20分以上になる場合は通院等介助サービスの利用となります。
※別途介護タクシーの許可が必要な事業です。
人的要件
人的要件は居宅介護に分類されるため、管理者1人、サービス提供責任者は、1人以上、従事者は、常勤換算で2.5人以上必要です。
設備
設備は訪問サービスであるため特にありません。そのため事業の運営を行なうための事務室や事業に必要な設備・備品の設置してあれば問題ありません。
まとめ
移動支援の中でも通院に関しては通院等介助が必要となります。また、通院に同行してもらうだけなのか、車で送迎してもらうのかによっても違いがあったり、病院の中での付添いについても自治体の許可が必要になるなど、制度が難しく分かれている部分です。