【地域自立支援協議会について】~行政書士試験合格者が解説~

福祉業務

今回の記事も現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。今回からの記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、市民法務分野に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。今回は障害者総合支援法にある地域移行支援について説明していこうと思います。地域移行支援は、障害者支援の中で重要なキーワードです。今回の記事も知識の紹介記事となります。

地域自立支援協議会とは

障害者自立支援法等の一部改正により、平成24年4月から法定化された地域自立支援協議会は、地域の関係者が集まり、個別の相談支援の事例を通じて明らかになった地域の課題を共有し、その課題を踏まえて、地域の サービス基盤の整備を着実に進めていくことを目的としています。

法的根拠

障害者自立支援法施行規則第65条の10(地域生活支援事業として省令で定める便宜)に、「地域における障害福祉に関する関係者による連携及び支援の体制に関する協議を行うための会議の設置」が規定されています。
また、平成18年8月1日付け障発第0801002号「地域生活支援事業の実施について」(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)の地域生活支援事業実施要綱に、「地域自立支援協議会」を設置するとされています。

地方公共団体は、関係機関、関係団体及び障害者等の福祉、医療、教育または雇用に関連する職務に従事するものその他の関係者により構成される自立支援協議会を置くことができます。自立支援協議会では、これらの関係機関等が相互の連絡を図ることにより、地域における障害者等への支援体制に関する課題について情報を共有し、関係機 関等の連携の緊密化を図るとともに、地域の実情に応じた体制の整備について協議することになります。自立支援協議会には、都道府県を単位とする都道府県自立支援協議会 と市町村単位や市町村共同で設置されている地域自立支援協議会があります。

地域自立支援協議会の目的

「共通の目的」
・障害者自立支援法が目指す 「障害のある人が普通に暮らせる地域づくり」全員が大きな共通認識を常にもちながら参加する。
「情報の共有」
・ 地域の実態や課題等の情報を集約し全員が共有する。原点は個別の支援会議。
「具体的に協働する」
・ 参加者が抱える実際のケースや地域の課題を持ち寄り(個別の支援会議が重要)、制度や誰かのせいにするのではなく、全員が自らの課題として受け止め、ともに解決しよう、自分のところで は何ができるか、一歩でも前進しようというスタンスで協働していく。お客さんや評論家は不要。
「地域の関係者によるネットワーク」
・ 利用者が抱える様々なニーズに対応していくためには、保健、医療、福祉、教育、就労等の多分
野・多職種による多様な支援を一体的かつ継続的に用意することが必要。
・ サービスに裏打ちされない相談は意味がない。また、一事業所だけで用意できる支援には限界がある。そのことに気づけば、自ずと顔が見えるネットワークの必要性がわかるはず。 ・官と民が協働するシステムの構築。

地域自立支援協議会の機能

地域自立支援協議会には、大きく分けて 6 つの機能(1情報機能、2調整機能、3開 発機能、4教育機能、5権利擁護機能、6評価機能)があります。地域自立支援協議会 は、共通の目的である障害のある人が普通に暮らせる地域づくりを目指して、情報を共有して、具体的に協働することで、地域の支援体制のレベルアップを図っていくことに なります。

情報機能

・地域の現状・課題等の情報共有と情報発信

調整機能

・地域の関係機関によるネットワーク構築 ・困難事例への対応のあり方に対する協議、調整

開発機能

・地域の社会資源の開発、改善

教育機能

・構成員の資質向上の場としての活用

権利擁護機能

・権利擁護に関する取り組みを展開する

評価機能

・中立・公平性を確保する観点から、委託相談支援事業者の運営評価 ・サービス利用計画作成費対象者、重度包括支援事業等の評価 ・市町村相談支援機能強化事業及び都道府県相談支援体制整備事業の活用

構成メンバー

構成メンバー 相談支援事業者、障害福祉サービス事業者、保健・医療関係者、教育・雇用関係機関、企業、学識経験者、各区協議会、専門機関、行政機関など、障害者福祉の関係者が幅広く参加しています。

部会の具体例(都道府県:大阪府)

ケアマネジメント推進部会障がい者の地域生活を支援するための障がい者ケアマネジメント体制にかかる調査審議に関する事務
高次脳機能障がい相談支援体制連携調整部会高次脳機能障がいにかかる専門相談や関係機関とのネットワークの充実など支援体制にかかる調査審議に関する事務
就労支援部会障がい者の就労支援施策や関係機関のネットワークの充実等にかかる調査審議に関する事務
障がい者虐待防止推進部会障がい者虐待の防止及び障がい福祉サービス等の改善にかかる調査審議に関する事務
地域支援推進部会障がい者が安心、安定した地域生活が送れる地域生活支援システムの構築にかかる調査審議に関する事務
発達障がい児者支援体制整備検討部会発達障がいにかかる早期発見、早期療育及び就労支援など支援体制にかかる調査審議に関する事務
医療的ケアを要する重症心身障がい児者等支援部会医療的ケアを要する重症心身障がい児等が安心して地域生活を送れるよう関係機関との支援にかかる調査審議に関する事務
大阪府ホームページ参照

各自治体によって様々な地域問題を話し合う部会が存在します。

まとめ

障害がある方の支援は、目の前にいるその時だけに限りません。家族や地域などの環境も含めて考えないと、その時だけの限定的なサポートになったり、支援の方向性を間違う恐れもあります。困ったことだけに目を向け支援するのではなく、困ってしまう原因に目を向けていくことが大切です。良い地域を目指すためには、自立支援協議会という協議の場は欠かせません。自分たちの地域の協議会を知って、参加してみんなが暮らしやすい地域を実現しましょう。

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