会社から解雇された、勢い余って辞表を出してしまったそんな経験ありませんか?会社を急に辞めてしまった場合、次の仕事がすぐに見つかれば良いのですがそう上手くはいかず、貯めていた預貯金を使って生活しないといけないなんてことも…。そんな求職活動中に生活費を給付してもらえる制度が「失業手当」です。失業手当は就労時に雇用保険に加入している場合にもらえる制度で、加入期間等の細かい支給要件があるため、今回は失業手当について概要を説明していこうと思います。
この記事を読むことで仕事を辞めてしまって次の仕事を探すまでの生活費の給付制度「失業手当」について知ることが出来ます。
失業手当とは
失業手当(失業保険)とは、求職者が安定した生活を送りつつ1日でも早く再就職するための支援として給付されるものです。制度上の正式名称は基本手当ですが、一般的には失業手当や失業保険と呼ばれます。
支給要件
失業手当を受け取るためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
・雇用保険に加入し、保険料を支払っている
・離職の日以前2年間に12カ月以上の雇用保険の被保険者期間がある(特定受給資格者等の場合は離職の日以前1年間に6カ月以上)職の日以前2年間に12カ月以上の雇用保険の被保険者期間がある(特定受給資格者等の場合は離職の日以前1年間に6カ月以上)
・就労の意志と能力があり、求職活動を行っている
退職してすぐに転職する人や就職する意思がない人、ケガや病気、妊娠・出産などですぐに就職することが困難な方は、失業手当の受給をすることが出来ません。
支給期間と金額
失業保険の支給が始まるタイミングは待機期間の満了後です。
待機期間とは、失業保険の支給を受けられない期間のことを指します。期間は受給資格決定日(求職の申し込み・離職票を提出した日)から7日間で、待機期間を満了しても失業状態が続いている場合は失業保険支給の対象とみなされます。
待機期間の満了後にいつから支給が始まるかは、「一般の離職者」と「特定受給資格者・特定理由離職者」のうちどれに該当するかで変わります。
一般の離職者の場合
自己都合退職をした一般の離職者の方は、待機期間の満了日の翌日から2ヵ月間、給付制限が設けられます。そのため、失業保険の支給が始まるのは最短でも2ヵ月と7日後です。
また、過去5年間で2回以上自己都合で退職している場合は、給付制限が2ヵ月から3ヵ月に伸びるので注意してください。
特定受給資格者・特定理由離職者の場合
解雇・倒産・正当な理由で離職した特定受給資格者や特定理由離職者の方は、一般の離職者と違って給付制限がありません。そのため、待機期間の満了日の翌日から失業保険の支給が始まります。
失業保険の給付日数は、一般の離職者と特定受給資格者・特定理由離職者で異なります。一般の離職者の給付日数は下記のとおりです。
<一般の離職者の給付日数>
<特定受給資格者・特定理由離職者の給付日数>
なお、就職が困難な状態にあると判断された方は、最大で360日の給付日数が設けられます。
支給金額
①賃金日額=退職前6ヶ月間の給料の合計(ボーナスは除く)を180で割った額
②基本手当日額=この賃金日額の60~80%(高齢者で収入の多い人の場合は50%の場合もある)
③もらえる基本手当ての総額=賃金日額×所定給付日数
簡単に言うと会社でもらっていた給料を1日当たりの平均額に換算して、その6~8割ということです。ただし、基本手当日額は年齢別に上限額があります。
上限は毎年変更があるので、都度確認する必要があります。
申請方法
失業して失業手当(失業給付)を受給する場合、以下の流れで手続きを進めます。
1. 離職票と個人番号確認書類などを持ってハローワークで求職の申し込みをする(離職票とは退職者に対して会社から交付される書類で、退職後に届きます )
2. 受給資格の決定を受けたら雇用保険受給者初回説明会に出席する
3. 求職活動をする
4. 失業の認定を受けて失業手当(失業給付)を受け取る
ハローワークで求職の申し込みをして離職票等を提出し、失業手当(失業給付)を受給する資格があると確認できれば、受給者初回説明会の日時が決まります。
説明会に参加した後、ハローワークの窓口で職業相談や職業紹介を受けるなどして求職活動を行い、失業の認定を受けると失業手当を受給可能です。
なお、引き続き受給するには原則として4週間に一度、指定された日に管轄のハローワークに行き、失業の認定を受けなければなりません。
再就職手当について
失業手当(失業保険の基本手当)の受給中に再就職をした場合、一定の条件を満たすと再就職手当(お祝い金)がもらえます。再就職手当は、「失業手当を満額もらうまで再就職しないようにしよう」と考え失業期間が長くなってしまうようなケースを防ぎ、早期の再就職を促すために設けられた制度です。
再就職手当は、失業手当の所定給付日数の3分の1以上の支給日数を残して安定した職業に就き、以下の8つの要件すべてを満たした場合に支給されます。
再就職手当の受給要件
- 就職日の前日までの失業の認定を受けた後の基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること
- 7日間の待期期間満了後の就職であること
- 1年を超えて勤務することが確実であると認められること
- 再就職先が前職と関係ないこと(前職の関連企業や取引先なども含む)
- 離職理由による給付制限を受けた場合は、待期満了後1カ月間については、ハローワークまたは許可・届け出のある職業紹介事業者の紹介により就職したものであること
- 過去3年以内に、再就職手当や常用就職支度手当の支給を受けていないこと
- 失業手当の受給資格決定前から内定していた再就職先でないこと
- 雇用保険の被保険者であること
再就職手当の受給額
再就職手当の受給額は、失業手当の支給残日数によって変わります。
<失業手当の支給残日数が3分の2以上の場合>
再就職手当 = 基本手当日額 × 所定給付日数の残日数 × 70%
<失業手当の支給残日数が3分の1以上の場合>
再就職手当 = 基本手当日額 × 所定給付日数の残日数 × 60%
まとめ
失業した際に次の仕事を探すまでの間の生活費保障として失業手当があります。しかし、自己都合退職の場合は2か月間待期期間や給付期間の短さがあるため、計画的な退職を心掛けた方が良さそうです。失業手当は65歳未満の方が対象であるため、65歳以上の方には高年齢求職者給付金がありますので、次回ご紹介します。
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