【会社法:設立時について】~行政書士試験合格者が解説~

会社設立業務

今回の記事も会社設立業務について記事を書いていきます。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。今回は会社設立時の会社法で決まっている事項について説明していきたいと思います。この記事を読むことで会社法の設立業務を知ることが出来ます。

会社法とは

会社法とは、会社の設立・運営・清算などのルールや手続を定める法律です。今回は会社法の株式会社を中心に設立業務をみていきましょう。

設立の方法

株式会社を設立する方法には、以下の2種類があります。

・発起設立 (25条1項1号):発起人が設立の際に発行する株式(設立時発行株式)のすべてを引き受け、会社成立後当初の株主となる設立方法
・募集設立 (25条1項2号):発起人が設立時発行株式の一部を引き受け、残りにつき株式を引き受ける者を募集する設立方法

設立手続

株式会社は、①定款の作成→②株主の確定→③出資の履行→ ④設立時役員等の選任→⑤設立の登記といった手続を経て設立されます。

定款の作成

原始定款

株式会社の設立の第1段階として、発起人が定款を作成します(26条)。ここで作成される定款を原始定款といいます。原始定款は、 公証人の認証を受けることによってその効力を生じます(30条1項)。

定款に記載する事項

定款に記載する事項は、①絶対的記載事項、②相対的記載事 項、③任意的記載事項の3種類に分類されます。

絶対的記載事項:必ず定款に定めなければならない事項であって、 定めておかないと定款自体が無効となるもの

①目的②商号③本店の所在地④設立に際して出資される財産の価 額又はその最低額⑤発起人の氏名・名称・住所⑥発行可能株式総数

相対的記載事項:定款に定めがなくても定款自体の効力に影響はないものの、定めがない場合にはその効力が認められない事項

①変態設立事項(28条)②株式の内容・種類株式の定め (107条、108条)

任意的記載事項:強行法規・公序良俗に反しなければ自由に定めることができる事項

①取締役の員数、②定時株主総会の開催時期

変態設立事項

変態設立事項とは、28条に規定されている4つの事項のことであり、 会社の財産的基盤を危うくするおそれのある事項のことです。変態設立事項には、以下の4種類があります。

現物出資、財産引受、発起人の報酬 その他の特別利益、設立費用

変態設立事項については、所定の事項を原始定款に記載し (28条)、 裁判所から選任される検査役の調査を受けなければなりません (33条1項)。なお、現物出資と財産引受については、以下の場合に、検査役の調査が不要とされます (33条10項)。

① 定款に記載・記録された価額の総額が500万円を超えない場合
②市場価格のある有価証券について定款に記載・記録された価額が当該有価証券の市場価格として法務省令で定める方法により算定されるものを超えない場合
③定款に記載・記録された価額が相当であることについて弁護士等の証明を受けた場合(現物出資財産等が不動産である場合、不動産鑑 定士の鑑定評価も必要)

株主の確定

株式の割当て

発起人は、株主を確定させるため、設立時発行株式するする事項及び株主となる者(株式引受人)を決定します。これを株式の割当てといいます。

株式発行事項の決定

設立時発行株式に関する事項のうち、設立に際して出資され る財産の価額又はその最低額は、定款で定める必要があります。(27条4号)

出資の履行

全額払込主義

発起人は、設立時発行株式の引受後遅滞なく、募集設立における募集株式の引受人は、発起人が定めた払込期日又は払込期間中に、引き受けた株式につき全額の払込み又は全部の給付(出資の履行)をしなければなりません(34条1項本文、63条1項)

失権手続

発起人のうち出資を履行しない者がいる場合、発起人は、失権予告付で払込みを催告し、払込みがなければ失権することになります(36条1項、3項)。これに対して、発起人以外の引受人の不履行の場合、当然に失権することになります。

払込取扱場所・払込取扱機関による保管証明

発起人の不正行為等(横領・詐取)を防止するため、払込みは、銀行・信託会社等の払込取扱機関の払込取扱場所においてしなければなりません (34条2項)。そして、募集設立の場合には、発起人は、払込取扱機関に対して、払込金の保管証明書の交付を請求することができます。(64条1項)。

創立総会

創立総会とは、設立時株主によって構成され、設立中の会社の意思を決定するための機関のことです。募集設立の場合、発起人は、設立時募集株式の払込期日又は 払込期間の末日のうち最も遅い日以後、遅滞なく、創立総会を招集しなければなりません(65条1項)。

設立時役員等の選任方法

設立時役員等の選任方法は、発起設立と募集設立で異なります。

・発起設立:発起人が1株につき1個の議決権を有し、その議決権の過半数で選任する (40条1項、2項本文)
・募集設立:創立総会の決議によって選任する (88条1項)

設立時取締役の職務・権限等

設立時取締役が選任された後でも、設立事務を行うのは発起人です。設立時取締役は、設立事項(現物出資等について定款記載価額が相当であるか、出資の履行が完了しているか、設立手続に法令や定款違反がないか等)の調査を行う権限のみを有します (46条1項、93条1項)。そして、調査の結果、法令・定款違反等があれば、発起設立の場合は各発起人に通知し (46条2項)、募集設立の場合は創立総会へ報告しなければなりません(93条2項)。

設立時役員等の解任

設立時役員等は、会社が成立するまでの間、解任することができます。設立時役員等の解任方法は、発起設立と募集設立で異なります。

発起設立:発起人の議決権の過半数(設立時監査等委員である設立時取締役又は設立時監査役を解任する場合は、3分の2以上の多数)によって解任する (43条1項)
募集設立:創立総会の決議によって解任する(91条)

設立の登記

株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立します(49条)。

まとめ

今回は会社法を中心に会社の設立について確認しました。次回は会社の設立が上手くいかなかった場合について会社法をもとに説明していきます。

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