今回の記事も会社設立業務について記事を書いていきます。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。今回は会社設立時の会社法で決まっている事項について説明していきたいと思います。この記事を読むことで会社法の設立業務を知ることが出来ます。
会社法とは
会社法とは、会社の設立・運営・清算などのルールや手続を定める法律です。今回は会社法の株式会社を中心に設立業務の中で、会社が成立しなかった場合の責任はどのように規定されているのかをみていきましょう。
設立の瑕疵
設立無効
設立の登記が完了したとしても、設立手続に瑕疵があった場合には、設立は無効となります。 本来、無効であれば、いつでも誰でもその主張をすることができるはずです。しかし、会社の設立の場合、すでに会社が成立したものとして活動を開始し、 多数の関係者が登場しています。そこで、設立無効は、訴えによってのみ主張することができます(828条1項柱書)。
設立無効の訴えの提訴期間は会社成立の日から2年以内に限られ(828条1項1号)、提訴権者も株主・取締役・執行役・監査役・清算人に限定されています(828条2項1号)。そして、設立無効判決により、会社の設立は、将来に向かってその効力を失います(839条)。
会社の不成立
会社の不成立とは、会社の設立が途中で挫折し、設立の登記に至らなかった場合のことです。この場合、発起人は、連帯して、設立に関してした行為についてその責任を負い、設立に関して支出した費用を負担します (56条)。
設立無効と不成立の違い
設立無効は、設立登記はされ、いったん会社は成立しているのに対して会社の不成立は、そもそも設立登記まで至らず、会社は一度も成立していないことを指します。
会社の不存在
会社の不存在とは、会社の設立手続の瑕疵が著しく、そのことが外観上も明らかな場合のことです。この場合、誰でもいつでも会社の不存在を主張することがで きます。
設立関与者の責任
設立手続に関して違法・不正があった場合、発起人・設立時 取締役は一定の責任を負わされます。また、募集設立の場合、定款に発起人として署名又は記名押印はしていないものの、株式募集に関する文書等に賛助者として自己の氏名を掲げることを承諾した者(擬似発起人)も、発起人と同様の責任を負います(103条4項)。
不足額支払責任
現物出資や財産引受の対象である財産の会社成立時の価額が 定款に記載された価額に著しく不足するときは、発起人や設立 時取締役は、会社に対して、連帯してその不足額を支払う義務を負います(52条1項)。もっとも、この責任は発起人等にとって過酷な責任となりがちです。免責が認められています。
発起設立で①検査役の調査を経た場合、または、②発起人及び設立時取締役がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合には、免責となります(52条2項)。
※募集設立の場合、①のみ免責となり、②では免責とはなりません。
任務懈怠責任
会社に対する責任
発起人, 設立時取締役・設立時監査役は、株式会社の設立に ついてその任務を怠ったことにより会社に損害が発生した場合、 連帯してその賠償をする責任を負います(53条1項、54条)。この会社に対する責任は、総株主の同意があれば免除することができます(55条)。
第三者に対する責任
発起人・設立時取締役・設立時監査役がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、これによって第三者に生じた損害についても賠償する責任を負います(53条2 項)。第三者に生じた損害については株主の同意があっても免責されません。
出資の履行を仮装した場合の責任
出資の履行を仮装した発起人や設立時募集株式の引受人は、 株式会社に対し、仮装した金銭の全額の支払などをする義務を負います(52条の2第1項、102条の2第1項)。また、出資の履行を仮装することに関与した発起人・設立時 取締役も、原則として、同様の義務を負います (52条の2第2 項本文、103条2項本文)。出資の履行を仮装した場合の責任は、総株主の同意がなければ、免除することができません(55条、102条の2第2項)。
まとめ
今回は会社法にある、会社が設立無効だった場合、会社が設立しなかった場合について説明しました。会社が設立・運営できなかった場合に誰が訴え、責任は誰がどのようにとるのかについて整理してもらえたらと思います。
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