【株式について】~行政書士試験合格者が解説~

会社設立業務

今回の記事も会社設立業務について記事を書いていきます。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。今回は株式会社に必要な株について説明します。行政書士試験でも出題される為、試験の復習にも参考にしてもらえたらと思います。

株式とは

株式とは、株式会社が出資者に発行する証明書のことです。株式の保有者は「株主」と呼ばれ、会社に出資したオーナーの1人として経営に参加したり、利益が出たときに配当を得たりする権利を持ちます。

株式の内容

株式会社は、定款で定めることにより、①株式全部の内容として特別な事項を定めること (107条)や、②内容の異なる複数の種類の株式を発行すること(種類株式: 108条)ができま す。これは、株式を通じて多様な支配関係や資金調達の機会を確保できるようにするためです。
株式全部の内容として定めることができるものは、譲渡制限 株式、取得請求権付株式、取得条項付株式の3つです。

・譲渡制限株式:譲渡による取得について会社の承認が必要な株式
・取得請求権付株式:株主の方から会社に対してその株式の取得を請求する ことができる権利が付与された株式
・取得条項付株式:会社が株主の同意なしに一定の事由が生じたことを条 件として取得できる条項が付与された株式

種類株式

種類株式についても、譲渡制限株式、取得請求権付株式、取得条項付株式の3つを定めることができます。またこれらに加えて、以下のようなものがあります。

・優先株・劣後株:剰余金の配当や残余財産の分配について異なる定めをした株式であり、優先的な取扱いをするものを優先株、劣後的な取扱いを受けるものを劣後株という
・議決権制限株式:株主総会で議決権を行使できる事項について異なる定めをした株式
・全部取得条項付株式:その種類株式の全部を株主総会の特別決議で取得でき る旨を定めた株式
・拒否権付株式:株主総会の決議事項につき、当該決議に加えて、拒否 権付株式を持っている者だけで構成される種類株主総 会の決議も必要となる株式
・取締役・監査役の選任権付株式:その種類株式を持っている株主だけで構成される種類 株主総会で取締役と監査役の選任をすることができる株式

出資単位の調整

1株の価格(出資単位)が高すぎると個人投資家は手を出し にくくなり、1株の価格が低すぎると株主の数が多くなって事務処理の費用がかさんでしまいます。そこで1株の価値をどのくらいにするかは会社にとって重要な問題となります。出資単位を調整する手段としては、①株式の併合、②株式の 分割、③株式無償割当て、④単元株制度の4種類があります。

株式の併合

株式の併合とは、数個の株式を合わせてそれよりも少数の株式とすることです(180条1項)。これにより、1株の値段を従来の倍にでき、株価をつり上げることができます。株式併合を行うためには、株主総会の特別決議が必要となります(180条2項、309条2項4号)。このように厳格な手続が必要とされているのは、例えば2株を1株にした場合に、もともと1株しか持っていない者は端数だけの株主となってしま い、不利益を生じさせるからです。

株式の分割

株式の分割とは、既存の株式を細分化して従来よりも多数の株式とすることです(183条1項)。これにより、1株の値段を従来の半額とすることができ、株価が高すぎて市場で取引され にくい場合に、流通性を高めることができます。株式の分割の場合、特に株主の利益を害しないので、株主総会の普通決議(取締役会設置会社では取締役会決議)で行うことができます(183条2項)。

株式無償割当て

株式無償割当てとは、株主に対して無償で(新たに払込みをさせないで)新株・自己株式の割当てをすることです。これにより、株式の分割をしたのと同様の効果が生じます。株式無償割当ては、株主総会の普通決議 (取締役会設置会社 では取締役会決議)で行うことができます (186条3項)。

単元株制度

単元株制度とは、株式の一定数をまとめたものを1単元とし て、その1単元につき1個の議決権を認める制度のことです。 これは、株主総会の招集通知の発送等にかかる株主管理コストを削減するための制度です。単元株制度を採用しようとする会社は、その旨を定款で定める必要があります(188条1項)。

単元未満株主の権利

単元未満株式については、議決権が認められませんから、株主提案権(303条)などの議決権を前提とする権利も認められません。ただし、剰余金配当請求権、残余財産分配請求権などの自益権は認められます (189条2項)。

単元株制度を採用・廃止

1単元の株式の数を増加する場合には、株主総会の特別決議による定款変更が必要です (466条、309条2項11号)。これに対して、1単元の株式の数を減少する場合や、単元株制度を廃止する場合には、取締役の決定(取締役会設置会社で は取締役会決議)により行うことができます(195条1項)。

まとめ

今回は株の種類や株の価値がどのように調整されるのかについて紹介しました。次回は株主になるとどんなメリット・デメリットがあるのかについて説明します。

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