【株主について】~行政書士試験合格者が解説~

会社設立業務

今回の記事も会社設立業務について記事を書いていきます。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。今回は株式会社に必要な株について説明します。行政書士試験でも出題される為、試験の復習にも参考にしてもらえたらと思います

株主とは

「株主」とは、株式会社の株式保有する者のことです。株主は会社の実質的な所有者として、会社に関する重要な事項を決定し、会社が得た利益の分配を受ける権利を持っています。会社の経営を担う取締役やその他の役員は、すべて株主の信頼・委任に基づいて選任されます。

株主ができること・主な権利

自益権と共益権

株主権は、「自益権」と「共益権」の2つに大別されます。

自益権」とは、行使の結果が株主個人の利益のみに影響する権利です。剰余金配当請求権や残余財産分配請求権など、経済的利益に関する株主権の多くが自益権に該当します。

共益権」とは、行使の結果が株主全体の利益に影響する権利です。株主総会における議決権をはじめとして、会社の経営参加に関する権利の多くが共益権に該当します。

株主総会における議決権

株主総会では、株主は1株当たり1票の議決権を行使できます(会社法105条1項3号)。たくさん株式を保有していれば、その分だけ株主総会における議決に大きな影響を与えることが可能です。株主総会決議は原則として、出席株主の議決権(株式数)の過半数によって行われます(会社法309条1項)。
ただし、会社にとって重要な事項については、出席株主の議決権の3分の2以上による特別決議(同条2項)や、さらに要件が加重された特殊決議(同条3項・4項)が必要とされています。

株主総会とは取締役または株主が提案した議題(テーマ)について議論し、必要に応じて決議を行います。また、取締役から株主への報告が行われることもあります。この株主総会は毎年1回定時株主総会を招集しなければなりません(会社法296条1項)。また、必要がある場合にはいつでも臨時株主総会を招集できます(同条2項)。

利益の分配(配当金)を受ける権利|剰余金配当請求権

株主には、事業を通じて会社が得た利益の分配(配当金)を受ける権利があります(会社法105条1項1号)。これを「剰余金配当請求権」といいます。
剰余金の配当については、株主総会決議または取締役会決議で金額などが定められます(会社法454条)。日本の上場会社の場合、年2回の配当が行われることが多いですが、全く配当を行わない場合や、年4回の配当を行う場合などもあります。

会社清算時に残った財産の分配を受ける権利|残余財産分配請求権

会社が解散・清算によって消滅する場合、株主は、債務を弁済した後に残った会社財産の分配を受ける権利を有します(会社法105条1項2号)。これを「残余財産分配請求権」といいます。残余財産の分配は、会社の解散後に取締役などが就任する清算人が行います(会社法481条3号)。

株主総会における議題提出権、議案提出権

株主総会で議論するテーマ(議題)や、テーマに対する具体的な提案(議案)を提出する権利です。いずれも単独株主権ですが、取締役会設置会社では、議題提出権が少数株主権とされています。

会社に対して訴訟を提起する権利

会社による組織行為・新株発行の無効確認、株主総会決議の不存在・無効確認・取消し、会社の解散について訴訟を提起する権利です。原則として単独株主権ですが、解散の訴えについては少数株主権(10%以上保有)とされています。

会計帳簿閲覧請求権

会計帳簿や関連資料の閲覧・謄写を請求する権利です。原則として少数株主権(3%以上保有)ですが、計算書類の閲覧請求権については単独株主権とされています。

株式会社は、以下の事項を記載・記録した株主名簿を作成することが義務付けられています(会社法121条)。

株主総会招集請求権

取締役に対して、株主総会の招集を請求する権利です。少数株主権(3%以上保有)とされています。

株主が引き受けるリスク・責任

株主は会社に対して様々な権利を有する一方で、会社の経営状況が悪化すれば、株式が無価値になるリスクを負っています。ただし株式会社の場合、株主は間接有限責任を負うにとどまります。仮に会社が債権者に対して債務を支払えなくなっても、株主が債務を代わりに支払う必要はありません。株主が負うリスクは、出資額の範囲に限定されています。

まとめ

今回は株主の権利についてご紹介しました。株主にはさまざまな権利があります。その分、会社の利益が無い場合には出資した部分の価値が減ることになるため注意が必要です。

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