【会社の種類について・営利法人/非営利法人】~行政書士試験合格者が解説~

会社設立業務

今回の記事から福祉事業開設にも関わる、会社設立業務について記事を書いていきます。今回からの記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。今回は会社の種類について説明していきたいと思います。この記事を読むことで会社の種類を整理することが出来ます。

営利法人と非営利法人

営利法人と非営利法人の違い

営利と非営利の違いについては「利益を求めるかどうか」「儲けを出すかどうか」といったイメージをされていることもあります。しかし、正しくは「構成員に利益が還元されるかどうか」です。
株式会社なら構成員である株主に利益が還元されるのはよく知られていることで、その性質上、営利法人に該当します。合同会社や合資会社、合名会社も同様です。一方、構成員に利益分配を行わない非営利法人には一般社団法人、一般財団法人などがあります。一般社団法人などは非営利法人ですが、収益事業を遂行することに問題はありません。

事業内容の違い

法人の種類によってはできる事業内容に制限がかかっています。
株式会社や合同会社であれば制限なく様々な事業を営むことが可能ですが、公益社団法人や公益財団法人のような公益法人については公益性のある特定の事業(学術研究、社会福祉事業、環境保全事業、教育事業など)を主として営む必要があります。また、「特定非営利活動法人」であるNPO法人も当然特定の活動しか行うことが認められていません。

課税方法の違い

法人は法人の種類に応じてルールが異なります。特に公益性のある法人については、特定の事業から得られる所得が非課税になることもあり、税負担に差が出るケースもあります。

営利法人

営利法人には、株式会社・合同会社・合資会社・合名会社の4種類があります。これらの大きな違いは、責任の範囲が有限責任であるか無限責任であるかということです。
有限責任とは、会社の倒産等によって負債が生じた際、出資者が負う責任は出資額を限度とした範囲になることを指します。一方で無限責任とは、会社に生じた負債等の支払いは、出資額に関係なくすべて出資者が責任を負うということです。
有限会社は、新会社法の施行後設立することができなくなりました。現在見られる有限会社は、2006年以前に設立されたものになります。「特例有限会社」、「有限会社」と称することが可能ですが、株式会社として扱われています。

株式会社

会社の中で最も一般的なものは株式会社であり、会社を経営する人と出資する人が分かれています。
出資した人は、会社のオーナーである株主となります。
株主は株主の間で行われる株主総会に参加することができ、経営者を選ぶことができます。
株式会社での出資の責任範囲は有限責任のため、出資者にとって有利に働きます。そのため、株式を発行し、会社の投資資金を集めやすくなります。
株式会社の義務としては、決算の公示があります。その目的は、会社の経営や財務状況を株主や債権者に明確にし、予測していない事態を避けたり、信用を確保したりすることに役立っています。
株式会社は社会的な信用度が高く、融資や助成金の面で優遇されることがメリットです。
一方デメリットは、経営が赤字になっても最低でも7万円程度の法人税が課されること、会計処理の難易度が高いことです。

合同会社

新会社法施行により、有限会社に変わる新たな会社形態として登場したのが合同会社です。出資した者が有限責任社員として会社の経営にも関わるため、会社の決定権も所有します。
会社の意思決定や利益配分なども、株主総会がない分スムーズで自由に規定でき、経営の自由度が高いというメリットがあります。また、会社設立にかかる初期費用が6万円程度と安く抑えられ、会社設立も定款認証が不要で簡単です。株式会社では義務となっている決算公示は不要で、役員の任期も無制限です。
デメリットは、株式会社に比べて社会的信用度が低いため、資金調達で不利になる傾向があります。

合資会社

合資会社は無限責任社員と有限責任社員が各1名以上、合計で2名以上の出資者からなる会社です。
合同会社は一人でも設立することができますが、合資会社の場合は2名以上必要となります。
メリットは合同会社と同じく、設立費用が安く、手続きも簡便なことです。
デメリットとして、会社が倒産した際に無限責任社員の負担が大きく、個人の資産にまで責任が及ぶ可能性があります。

合名会社

会社が無限責任社員のみで構成される会社形態が、合名会社です。
無限責任社員1名から設立することができ、合同・合資会社同様に会社設立費用が安く、設立のハードルは高くありません。
デメリットは、経営責任は設立者個人が全て負うため、会社経営に失敗した際のリスクが大きくなります。

非営利法人

営利法人は利益を職員や寄付者に配分するのではなく、社会貢献をはじめとする団体の目的を達成するために活動する法人です。非営利法人の種類としては、一般社団法人、一般財団法人、NPO法人(特定非営利活動法人)、公益社団法人・公益財団法人、社会福祉法人、学校法人などが挙げられます。今回は、一般社団法人とNPO法人を紹介します。

一般社団法人/一般財団法人について(非営利法人)

非営利法人には一般社団法人と一般財団法人があります。

  • 一般社団法人:人の集まりが基礎となり成立する法人
  • 一般財団法人:財産の集まりが基礎となり成立する法人

どちらも社員に利益分配ができませんが、公益性のない事業ができないわけでもありません。課税方法についても両社ともに共通しており、株式会社等とは異なる性質を持っています。非営利の事業から得た所得については非課税。その他収益事業から生じた所得については原則通りの法人税が課税されます。
なお、一般社団法人や一般財団法人は、公益認定申請を行うことで「公益社団法人」や「公益財団法人」になることができます。公益性を持たせることなど厳しい認定基準を満たし、その状態を維持することが求められますが、より手厚い税制上の優遇措置を受けることが可能となります。

NPO法人について(非営利法人)

NPO法人は非営利法人であって、社会貢献に資する特定の活動のみが認められている法人です。学術研究や文化・芸術・スポーツに関する事業、他にも、社会教育・観光・まちづくり・災害救援などに関する事業、全20種のどれかに限って活動することができます。これらの事業から生じた所得については法人税が非課税です。制限はあるものの、税金の面では大きく優遇されている法人です。

まとめ

今回は会社の種類を営利法人と非営利法人の観点から種類分けをしました。今後は一般的に多い株式会社を中心に説明していきます。

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