【定款:手続きと費用は?】~行政書士試験合格者が解説~

会社設立業務

今回の記事も会社設立業務について記事を書いていきます。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。今回も会社設立時に必要な定款ついて説明していきたいと思います。今回は定款の費用などを中心に説明します。この記事を読むことで定款作成の知識を得ることが出来ます。

定款の認証の必要な書類

株式会社を設立する場合、発起人が作成した定款について公証人による認証を受ける必要があります。公証人による定款認証なくしては、株式会社の設立登記手続きを進められません。ここでは、定款の認証手続きで必要な書類や費用について具体的に解説していきます。

認証に必要な書類

定款の認証手続きには、原則として次の書類が必要です。

  • 定款原本:合計で原本を3通作成し、公証人へ提出します。認証後、公証人は3通の内1通を公証役場で保管し、残りの2通を依頼者へ返却します。返却された2通の内1通は登記手続きに利用し、もう1通は会社で保管するのが通常です。
  • 発起人の印鑑証明書:発起人の本人確認のため、印鑑証明書を提出します。定款に記載した発起人全員の印鑑証明書が必要です。法人が発起人である場合は、法人の代表者の印鑑証明書を用意します。
  • 代表者事項証明書、現在事項全部証明書、履歴事項全部証明書、法人登記簿謄本の内のいずれか一つ:発起人が法人の場合にのみ、必要になります。
  • 実質的支配者となるべき者の申告書:設立する会社の実質的支配者が暴力団員である場合、公証人は定款を認証できません。そのため、実質的支配者が暴力団員でない旨の申告書を提出する必要があります。株式会社の実質的支配者の定義については、「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則」に記載があります。

定款にかかる費用

認証にかかる費用

株式会社の定款について公証人による認証を受ける費用は、設立する株式会社の資本金の額によって異なります。紙の定款認証と同様、電子定款の認証にも資本金額に応じて以下の手数料がかかります。

  • 100万円未満:3万円
  • 100万円以上・300万円未満:4万円
  • その他:5万円

電磁的記録の保存手数料

電子定款では、紙の定款認証にかかる収入印紙代はかかりません。その代わりに、CD-R・DVD-R・USBメモリといった媒体に対する「電磁的記録の保存手数料」が発生します。電磁的記録の保存手数料は、一回につき300円です。

謄本の請求手数料

紙の定款は謄本が必要で、1枚につき250円の手数料がかかります。この1枚とは「1通」ではなく「1ページ」を指しており、認証書の1ページも含まれます。よって、手数料は250円 ×(定款のページ数 + 認定書)となります。定款のページ数により料金は変動しますが、2,000円前後が一般的です。

収入印紙代

紙の定款は印紙税法の規定により課税文書となり、収入印紙代(印紙税)として4万円が必要です。
定款の認証手続きのプロセスにおいて、印刷・製本された定款に4万円の収入印紙を貼付します。

認証手続き

定款を作成後、公証役場で認証を受けるという手続きが必要です。定款の認証とは、正当な手続きによって定款が作成されたことを、公の機関である公証役場(公証人)に証明してもらうための手続きのことです。
認証された定款は、登記申請の際、必要な書類と共に法務局に提出します。

定款作成後の変更

定款の事業目的は、作成時におおよそ予定のある事業について記載する必要があります。しかし状況によっては、事業内容を変更する必要が生じるかもしれません。そのような場合に定款の変更が必要となります。

変更には株主総会の決議

定款に記載済みの事業目的の変更は可能ですが、株主総会の決議がなされたうえで初めて手続きができます。一般的な株式会社では、定款の変更には株主総会による決議が必要であり、会社で勝手に変更を加えることは許されていません。そのため、以下のプロセスに沿って行う必要があります。

事業目的の変更手順

  1. 株主総会を開催(議決権を持つ過半数の出席が必要)
  2. 特別決議により2/3以上の賛成を得る、議事録を作成する
  3. 付随する手続きを行う

株主総会での議決を得てから、手続きとなります。なお、手続きについて目的変更登記が必要です。

目的変更登記

定款の変更にあたっては、目的変更登記の手続きが必要です。期限が定められているので迅速に行動しましょう。具体的には定款を変更した日から2週間以内に変更登記申請をする必要があり、これを過ぎると罰則として過料が課されてしまいます。なお、目的変更登記の際に新しい事業目的を記載する場合は、変更しないものもあわせて載せます。目的変更登記で記入した内容はそのまま上書きされる仕様です。変更したものだけを載せると、それが唯一の事業目的になってしまいますので注意してください。

まとめ

今回は定款作成にかかる手続きについての記事となりました。この記事を確認しながら必要な費用など概算して作成していきましょう。

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