今回の記事も会社設立業務について記事を書いていきます。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。今回は株式会社の取締役や監査役などの機関と呼ばれる機能について説明します。行政書士試験でも出題される為、試験の復習にも参考にしてもらえたらと思います。
株式会社の機関とは
会社法では、株式会社の機関として、株主総会、取締役、取締役会、監査役、監査役会、会計監査人、会計参与、委員会及び執行役が定められています。
株主総会
株主総会は、株主が会社の運営に関する重要事項を決定するための会議で、会社法によりすべての株式会社は、株主総会を設置する必要があります。 株主総会は株式会社の最高意思決定機関であり、会社の基本方針や決算報告、役員の選任・解任などを決議します。
株式総会には決算期ごとに提示開催される「定時総会」と必要があるときに臨時に開催される「臨時総会」の2つの種類があります。原則として、取締役が株主総会を招集することになっています。株主に出席の機会と議決権行使に関する準備期間が必要であるという観点から、少なくとも開催日の2週間前までに、召集通知を発しなければなりません。
議事の方法は、新会社法で詳細に定められていませんので、定款や慣習に基づいて進められます。議決権は原則、1株について1つ(1株1議決の原則)で、株式数に応じた影響力を行使できるようになっています。株主の決議には以下のようなものがあり、それぞれの用件が異なっています。
普通決議
議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、その出席株主の議決権の過半数を思って行う決議です(309条 1項)。法令、定款に別の定めが無い限りこの方法が原則となっています。
特別決議
議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、その出席株主の議決権の3分の2以上の多数で決する決議です(309条 2項)。重要事項について行われます。
特殊決議
特別決議よりさらに厳重な要件が必要となる決議です(309条 3項・4項)。特別決議の対象事項よりも重要とされる事項について行います。
決議事項
株主総会で決めるのは主に
- 定款の変更、解散や合併などの会社組織そのものに関する事項
- 計算書類の承認や株主の利益に直結する事項
- 取締役などの役員の選任や解任事項
- 役員報酬について
- 法律を逸脱しないようにするための取り決めについて
があります。
取締役会
取締役会は、株式会社の業務執行に関する決定機関です。取締役とは、会社法により定められている役職であり、会社の業務遂行に関する意思決定を行う役職です。 株式会社は、必ず少なくとも1名以上の取締役を設ける必要がありますが、取締役会を置くためには、取締役を3名以上設ける必要があります。 非公開会社は、 取締役会の設置は任意です。 取締役会を設置する場合は、3人以上の取締役が必要になります。
取締役会の権限は以下の3つです。
・会社の業務執行の決定
・取締役の職務の執行の監督
・代表取締役の選定および解職
取締役
業務執行に関する意思決定(取締役会設置会社)、業務執行(取締役会設置会社においては業務執行権限を付与された場合)などを行う。
代表取締役
株式会社の意思決定機関である株主総会や取締役会の決議に基づき、単独で会社を代表して契約などの対外的な行為を行うことができる。また代表取締役は会社の業務を執行する。
監査役会
監査役会は、3名以上の監査役から構成される機関であり、監査方針の決定や監査報告の作成を担っています。 監査役とは、取締役や会計参与の職務遂行を監査する役職であり、株主総会により選任されます。監査役は、企業の健全で適正な経営を保証する役割を担います。
監査役会の権限は以下の3つです(会390)。
・監査報告の作成
・常勤の監査役の選定及び解職
・監査の方針、監査役会設置会社の業務及び財産の状況の調査の方法その他の監査役の職務の執行に関する事項の決定
会計監査・会計監査人
会計監査は、会計監査人によって株式会社の財務諸表などが適切に作成されているか監査する機関です。会計監査人は公認会計士または監査法人が務めます。
監査委員会
監査委員会とは、取締役会の一部であり、取締役を監査する機関です。 監査委員会は、会計監査人の選任・解任の決定や、株式会社の職務遂行の監査・報告などの役割を担います。
まとめ
今回は株式会社に必要となる機関について説明しました。株式会社には多数の人が関わるため、法に決められた通りの運用が必要になります。
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