今回の記事も会社設立業務について記事を書いていきます。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。今回から特殊なNPO法人についての記事を書いていきます。前回はNPO法人の特徴を紹介しましたが、今回はNPO法人の設立条件を確認していこうと思います。
- NPO法人設立の要件
- ①特定非営利活動を行なうことを主な目的とすること。
- ②宗教活動や政治活動を主目的にしないこと
- ③特定の公職の候補者もしくは公職にある者または政党を推薦、支 持、反対することを目的としないこと
- ④営利を目的としないこと
- ⑤特定の政党のために利用しないこと
- ⑥特定非営利活動にかかる事業に支障が生じるほど、その他の事業 を行なわないこと。その他の事業による収益は、特定非営利活動にかかる事業に充てること
- ⑦ 暴力団もしくはその構成員もしくは暴力団の構成員でなくなった 日から5年を経過しない者の統制下にある団体でないこと
- ⑧社員(正会員など総会で議決権を有する者)の加入や脱退につい て、不当な条件をつけないこと
- ⑨10人以上の社員を有すること
- ⑩報酬を受ける役員数が役員総数の3分の1以下であること
- ⑪役員として理事3人以上、監事1人以上を置くこと
- ⑫役員は、成年被後見人または被保佐人など、NPO法20条に規定 る欠格事由に該当しないこと
- ⑬各役員について、その配偶者もしくは三親等以内の親族が2人以上いないこと。また、当該役員ならびにその配偶者および三親等 以内の親族が、役員総数の3分の1を超えて含まれていないこと
- ⑭理事または監事は、それぞれの定数の3分の2以上いること。設 立当初の理事または監事は、それぞれの定数を満たしていること
- ⑮会計は、NPO法27条に規定する会計の原則に従って行なうこと
NPO法人設立の要件
15の設立要件を満たすことが必要です。
①特定非営利活動を行なうことを主な目的とすること。
NPO法人を設立するには20分野の非営利事業 の1つあるいは複数に当てはまる必要があります。ただし、あくまでも主たる活動が当てはまればよく、すべての活動が当てはまる必要はありません。
1.保険、医療または福祉の増進を図る活動
2.社会教育の推進を図る活動
3.まちづくりの推進を図る活動
4.観光の振興を図る活動 (追加)
5.農山漁村または中山間地域の振興を図る活動(追加)
6.学術、文化、芸術またはスポーツの振興を図る活動
7.環境の保全を図る活動
8.災害救援活動
9.地域安全活動
10.人権の擁護または平和の推進を図る活動
11.国際協力の活動
12.男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
13.子どもの健全育成を図る活動
14.情報化社会の発展を図る活動
15.科学技術の振興を図る活動
16.経済活動の活性化を図る活動
17.職業能力の開発または雇用機会の拡充を支援する活動
18.消費者の保護を図る活動
19.前各号に掲げる活動を行なう団体の運営または活動に関す る連絡、助言または援助の活動
20.前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県または指 定都市が条例で定める活動(追加)
②宗教活動や政治活動を主目的にしないこと
③特定の公職の候補者もしくは公職にある者または政党を推薦、支 持、反対することを目的としないこと
④営利を目的としないこと
「非営利」とは、活動に伴い利益が生まれたとしても、構成員(役員・社員)に分配しないことをいいます。また、解散時にはその財産を国等に寄付することも必要です。寄付金・補助金・助成金などだけでは法人運営の基盤が弱くなってしまうので、特定非営利活動にかかる事業以外の事業(「その他の事業」といいます)として収益を上げることもできます。しかしその場合、収益を生じたときは、本来事業である特定非営利活動にかかる事業のために使用しなければなりません。
⑤特定の政党のために利用しないこと
⑥特定非営利活動にかかる事業に支障が生じるほど、その他の事業 を行なわないこと。その他の事業による収益は、特定非営利活動にかかる事業に充てること
⑦ 暴力団もしくはその構成員もしくは暴力団の構成員でなくなった 日から5年を経過しない者の統制下にある団体でないこと
⑧社員(正会員など総会で議決権を有する者)の加入や脱退につい て、不当な条件をつけないこと
⑨10人以上の社員を有すること
「社員」とは、総会で議決権を有する者(会員)のことです。職員や従業員のことではありません。社員は、個人または法人、人格のない社団(いわゆる任意団体)であればよく、国籍、住所地等の制限はありません。また、社員は役員(理事・監事)を兼ねることができます。
⑩報酬を受ける役員数が役員総数の3分の1以下であること
「役員の報酬」とは、役員としての労働の対価のことです。役員が事務局職員などを兼務している場合に、これについての給与を受けることは可能です。また、会議に出席するための交通費などは報酬ではないので、受け取ることができます。
⑪役員として理事3人以上、監事1人以上を置くこと
役員とは、理事および監事のことをいいます。理事は、社員や職 員を兼ねることができます。監事は、社員を兼ねることはできますが、理事や職員を兼ねることはできません。
⑫役員は、成年被後見人または被保佐人など、NPO法20条に規定 る欠格事由に該当しないこと
「欠格事由」に該当する者とは、次にあげる人をいいます。
●成年被後見人または被保佐人
●破産者で復権を得ない者
●禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わった日またはその執行 を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
●NPO法もしくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法 律の規定に違反したことにより、または刑法の一定の罪もしくは 暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑 に処せられ、その執行を終わった日または執行を受けることがな くなった日から2年を経過しない者
●暴力団または暴力団の構成員(暴力団の構成団体の構成員を含む) もしくは暴力団の構成員でなくなった日から5年を経過しない者
●NPO法人の設立の認証を取り消された特定非営利活動法人の解 散当時の役員で、設立の認証を取り消された日から2年を経過し ない者
⑬各役員について、その配偶者もしくは三親等以内の親族が2人以上いないこと。また、当該役員ならびにその配偶者および三親等 以内の親族が、役員総数の3分の1を超えて含まれていないこと
「親族」とは三親等以内の親族をいいます。 役員総数が5名以下の場合は、配偶者・親族は1名も含めることはできません。役員総数が6名以上になった場合に、理事・監事につ いてそれぞれ1名だけ配偶者・親族を含めることができます。つまり、夫婦がともに理事になるには、役員総数は6名以上が必要ということになります。
⑭理事または監事は、それぞれの定数の3分の2以上いること。設 立当初の理事または監事は、それぞれの定数を満たしていること
⑮会計は、NPO法27条に規定する会計の原則に従って行なうこと
以上の条件を満たす必要があります。
まとめ
今回はNPO法人の条件を説明しました。任意団体ではなく、法人化するためには組織としての要件を満たす必要があるため、人員的要件等が必要になってきます。
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