今回の記事も会社設立業務について記事を書いていきます。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。今回から特殊なNPO法人についての記事を書いていきます。前回はNPO法人の設立条件の中に出てきた理事や社員について確認していこうと思います。
NPO法人に必要な組織
NPO法人では、社員または社員以外の者のなかから、「理事」「監 事」などの役員を選任することになっています。
①理事
理事とはNPO法人の業務を執行する役員です。最低3人必要で、理事それぞれに代表権 (NPO法人を代表して取引などを締結できる権限) があります。ただし、定款により代表権を制限することが可能で、 理事は社員や職員を兼ねることができます。任期は2年以内で、定款に定める期間となります。
NPO法人の代表者の呼び方(名称)は、多くの場合「理事長」 ですが、「理事長」以外にも、「代表理事」「会長」といった呼び方 にすることも可能です。
NPO法人の代表者は、必ず理事のなかから選任しますが、代表者の呼び方については、法人の定款で「理事長(または代表理事) は、この法人を代表し、業務を総理する」というような形で規定します。
理事会
NPO法人では、法律で必ず理事会を設置しなくてはいけないわけではありませんが、一般的にはNPO法人の業務は定款に特別の規定がなければ、理事の過半数をもって決めるとされていますので、実務上理事会を設置します。NPO法人の業務に関する事項について決定します。また、定款で理事会にどんな事を決めさせるかを細かく決めることができます。
理事会の表決については法律で決まったものはありませんが、決議の賛否は、理事の過半数として作成した方が無難です。表決の方法に関しては、法律の制限がありませんので、電磁的方法などを利用することもできます。理事会の内容を第三者が後から確認ができるように議事録を作成しましょう。
②監事
監事とは理事を監督したり、法人の財産の状況を監査しますので、理事等の執行機関からの独立性が要求されます。そのため、法人の業務を執行する理事や職員を兼務することができません。監事の任期は2年以内で2年以内であれば、もっと短い任期とすることも可能です。
監事は法人の業務や財産に関し、不正の行為や法令(定款)違反を発見した場合には、所轄庁や社員総会に報告又は理事に意見を述べる義務がありますし、監事には社員総会を招集するなど、強い権限が与えられています。
また、監事も理事と同様に、法令に違反して、登記することや書類の提出を怠ったときなどに、過料に処せられる場合があります。
③社員
社員とは、法人の目的や趣旨に賛同した人のうち、総会で議決権を有する正会員などのことです。
いわゆる従業員や職員のことではありません。
総会で議決権を持たない賛助会員などは社員には当たりません。また、法人でも社員になることができますし、外国人や未成年も社員になることができます。なお、社員には、役員(理事・監事)のような親族規定はありません。NPO法人の設立にあたっては、社員が10人以上必要で、NPO法人設立の申請にあたっては、社員が10人以上いることを示す名簿を作成して提出します。
社員総会
社員総会は、理事やその他の役員に委任した以外の全ての事項を議決することになっていて、社員総会で議決しなければならない内容は、法人が決めるべき主要事項のうち、定款の変更、解散、合併の3つの事項が法律で記載されていて、それ以外のことは、各団体の運営方針や活動内容、会員構成などを考慮してどの内容を社員総会で決める事項にするのかを考えます。
どの内容を社員総会で決めるか理事会で決めるかは、法律に記載のない場合は、各NPO法人で自由に決めることなります。
通常総会
通常総会は、最低年1回以上開催することが決められています。
通常総会は毎事業年度終了後〇か月以内に開催するという規定を定めて記載をします。事業年度には税務署への確定申告書の提出、所轄庁への事業報告書の提出があります。
所轄庁に提出をする事業報告書の提出は毎事業年度3か月以内に、事業報告をしなくてはなりません。
そのため、最低でも上記の期間を計算にいれて総会を開催しなくてはなりません。
臨時社員総会
理事は、必要があると認めるときは、いつでも臨時社員総会を招集することができます。また、監事も特定非営利活動法人の業務又は財産に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見した場合には、これを社員総会に報告するため必要がある場合には、社員総会を招集することができます。
総社員の五分の一以上から社員総会の目的である事項を示して請求があったときは、理事は、臨時社員総会を招集しなければならない。ただし、総社員の五分の一の割合については、定款でこれと異なる割合を定めることができるとされています。臨時社員総会を開催するには定数の5分の1の出席が必要ですが定款で増減させることができます。
まとめ
今回はNPO法人の必要となる組織について説明しました。以前の株式会社と違った組織になっていますね。