今回の記事も会社設立業務について記事を書いていきます。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。今回もNPO法人についての記事を書いていきます。NPO法人が設立した後は、事業を行っていくことになりますが、事業の展開によっては各種届出が必要となります。この記事を読むことでNPO法人設立後の業務について説明します。
各種届出
収益事業を行なう場合の税務署への届出
株式会社は営利法人なので、設立する場合には、事務所を管轄する税務署に「法人設立届出書」を提出します。これに対して、NPO法人は非営利法人なので、設立するときに収益事業を行なっていなければ、税務署への届出は不要です。
NPO法人が、税法で定めている34種類の収益事業を行なう場合には、「収益事業開始届出書」を、 収益事業を開始した日以後2か月以内に納税地を管轄する税務署に提出します。
1 | 物品販売業 | 10 | 請負業 | 19 | 仲立業 | 28 | 遊覧所業 |
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2 | 不動産販売業 | 11 | 印刷業 | 20 | 問屋業 | 29 | 医療保健業 |
3 | 金銭貸付業 | 12 | 出版業 | 21 | 鉱業 | 30 | 技芸教授業 |
4 | 物品貸付業 | 13 | 写真業 | 22 | 土石採取業 | 31 | 駐車場業 |
5 | 不動産貸付業 | 14 | 席貸業 | 23 | 浴場業 | 32 | 信用保証業 |
6 | 製造業 | 15 | 旅館業 | 24 | 理容業 | 33 | 無体財産権提供業 |
7 | 通信業 | 16 | 飲食業 | 25 | 美容業 | 34 | 労働者派遣業 |
8 | 運送業 | 17 | 斡旋業 | 26 | 興行業 | ||
9 | 倉庫業 | 18 | 代理業 | 27 | 遊技所業 |
収益事業を行なう場合には、以下の書類なども税務署への提出が必要になります。
・棚卸資産の評価方法の届出書
・減価償却資産の償却方法の届出書
・給与支払事務所等の開設届出書(給与や報酬を受ける者がい る場合は、税務署に給与支払事務所等の開設届出書を設立か ら2か月以内に提出する必要があります。次ページ参照)
・登記簿謄本
・定款のコピー
・職員名簿
都道府県税事務所へ届出書類
NPO法人を設立したら、その法人の事業所を管轄する都道府県税事務所に次の書類を提出します。
・法人設立届出書
・登記簿謄本
・定款のコピー
また、上記書類は、NPO法人の事業所を管轄する市区町村役場にも、それぞれの市区町村で定める期限までに提出します。
労働保険関係の届出
NPO法人を設立して従業員を1人でも雇う場合は、その法人には労災保険に加入する義務が生じます。労災保険は労働基準監督署へ届出を出します。従業員を雇い入れると、その事業は「適用事業」に該当することになるので、「適用事業報告」を労働基準監督署へ提出します。
また、NPO法人を設立した場合、原則として、保険関係設立の日(労働者を1人でも採用した日)から10日以内に、「労働保険関係設立届」を設立したNPO法人の所在地を管轄する労働基準監督署(長)に提出します。
さらに、従業員を1人でも雇う場合は、労災保険と同様に原則として雇用保険への加入義務が生じます。雇用保険の手続きは事務所を管轄する公共職業安定所(ハ ローワーク)に「雇用保険適用事業所設置届」を提出します。この適用事業所設置届の提出期限は、NPO法人を設立して、雇用保険の加入義務のある労働者を雇った日の翌日から10日以内です。また、 従業員を雇った月の翌月10日までには、「雇用保険被保険者資格取得届」も提出しなければなりません。
【労働基準監督署への提出書類】
・労働保険料申告書
・労働保険関係成立届
・適用事業報告
・登記簿謄本
【公共職業安定所への提出書類】
・雇用保険適用事業所設置届
・被保険者資格取得届
・労働保険関係成立届
・労働者名簿
・登記簿謄本
社会保険関係の届出
NPO法人は法人なので、1人でも従業員を雇うと社会保険に加入する義務が生じます。加入の手続きをするときは、「健康保険・厚生年金保険新規適用届」 と「保険料納入告知書送付依頼書」(口座振替依頼書)を所轄の年 金事務所に提出します。
また、社会保険の加入者(加入後は「被保険者」と呼びます)に ついての「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」も同時に 提出します。被保険者に配偶者や子などの被扶養者がいる場合は、 「健康保険被扶養者(異動)届」を提出します。
【年金事務所への提出書類】
・新規適用届
・被保険者資格取得届
・保険料納入告知書送付依頼書
・新規適用事業所現況書
・被扶養者(異動)届
・登記簿謄本
まとめ
今回はNPO法人設立後の必要となる各種届出についてまとめました。忘れずに届出を行わなければなりません。事業によっては税金が発生する場合もありますし、法人として人を雇えば労働基準監督署・ハローワーク、年金事務所に届出を行い給料の支払いが発生します。その際に各種社会保障に支払いが必要となります。
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