今回の記事も会社設立業務について記事を書いていきます。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。今回もNPO法人についての記事を書いていきます。前回の記事でNPO法人の登記が終わり、NPO法人が設立されました。法人が設立した後は、事業を行っていくことになりますが、事業には決算という業務が必要となります。この決算を行い、所轄庁に提出する必要があります。この記事を読むことでNPO法人設立後の業務について説明します。
毎事業年度、事業報告
非営利法人であるNPO法人も、 定款に定めた事業年度ごとに決算を行ない、所轄庁に決算書を提出しなければなりません。提出するのは決算に関する書類だけでなく、 事業年度中に行なった事業について記載した「事業報告書」も提出します。
適正な運営をするために、事業年度ごとに書類を所轄庁に提出し、主たる事務所と従たる事務所がある場合には、従たる事務所にも3年間備え置く義務がありま す。また、その提出した書類については、広く一般に公開されること になっています。
この事業報告などを行なわないと処罰の対象となり、たとえば3年間、事業報告を行なわないままのNPO法人は、 NPO法人の認証を取り消されます。
(事業報告書等の備置き等及び閲覧)
第二十八条 特定非営利活動法人は、毎事業年度初めの三月以内に、都道府県又は指定都市の条例で定めるところにより、前事業年度の事業報告書、計算書類及び財産目録並びに年間役員名簿(前事業年度において役員であったことがある者全員の氏名及び住所又は居所並びにこれらの者についての前事業年度における報酬の有無を記載した名簿をいう。)並びに前事業年度の末日における社員のうち十人以上の者の氏名(法人にあっては、その名称及び代表者の氏名)及び住所又は居所を記載した書面(以下「事業報告書等」という。)を作成し、これらを、その作成の日から起算して五年が経過した日を含む事業年度の末日までの間、その事務所に備え置かなければならない。
2 特定非営利活動法人は、都道府県又は指定都市の条例で定めるところにより、役員名簿及び定款等(定款並びにその認証及び登記に関する書類の写しをいう。以下同じ。)を、その事務所に備え置かなければならない。
3 特定非営利活動法人は、その社員その他の利害関係人から次に掲げる書類の閲覧の請求があった場合には、正当な理由がある場合を除いて、これを閲覧させなければならない。
一 事業報告書等(設立後当該書類が作成されるまでの間は第十条第一項第七号の事業計画書、同項第八号の活動予算書及び第十四条の財産目録、合併後当該書類が作成されるまでの間は第三十四条第五項において準用する第十条第一項第七号の事業計画書、第三十四条第五項において準用する第十条第一項第八号の活動予算書及び第三十五条第一項の財産目録。第三十条及び第四十五条第一項第五号イにおいて同じ。)
二 役員名簿
三 定款等特定非営利活動促進法 | e-Gov法令検索より引用
毎事業年度、所轄庁に提出する書類
①事業報告書
「事業報告書」とは、事業計画書にもとづいて前事業年度に実施 した事業の成果・内容を報告するものです。具体的には、事業名や事業内容、実施日時や従事者の人数などを記載します。
②財産目録
「財産目録」とは、前事業年度における法人の資産と負債の各科目ごとの内容・数量などを示したものです。定款上、「その他の事業」もある場合、所轄庁によっては「特定非営利に係る事業(本来事業)」と別々に作成する必要があります。
③貸借対照表
「貸借対照表」とは、前事業年度末日におけるNPO法人の資産、 負債および純資産の各科目ごとの残高を示したものです。定款上 「その他の事業」もある場合は「特定非営利に係る事業(本来事業)」 と別々に作成します。
④活動計算書
「活動計算書」とは、前事業年度中の収入・支出の額を勘定科目 ごとに集計し、当期の純資産と次期繰越純資産を示したものです。定款上、「その他の事業」もある場合は「特定非営利に係 る事業(本来事業)」と別々に作成します 。
⑤役員名簿
前事業年度において役員(理事・監事)であったことがある者全員の氏名および住所または居所ならびに各役員について前事業年度中の報酬の有無を記載したものです。
⑥社員のうち10人以上の者の名簿
前事業年度の末日現在の社員のうち10人以上の氏名・住所を記載 したものです。10人以上であれば社員全員を記載する必要はありま せん。社員が、法人および任意団体などの場合は、その名称および代表者の氏名を記載します。役員名簿に記載のある役員については、住民票と同一の文字・表記で記載します。
まとめ
今回はNPO法人が行わなければならない事業報告書をご紹介しました。事業をどのようにしているかしっかりと報告する必要があるのはNPO法人特有ですね。