【商法とは】~行政書士試験合格者が解説~

商法

今回の記事も会社設立業務について記事を書いていきます。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。今回は行政書士試験にも出てくる商法についての記事となります。商法を意識せずに事業を行っている方も多いとは思いますが、商業をする上では知っておくべき法律となります。一度目を通してみてください。

商法とは

商法とは、商人の営業や商行為、その他商事について定めた法律です。ここでいう「商行為」とは、利益を得ることを目的に反復継続的に取引をする行為であり、「商人」とは自己の名をもって「商行為」をすることを業とする者のことをいうため企業(法人)であるか個人であるかは問わないません。つまり、自己の名をもって利益を得ることを目的に反復継続的に取引を行う場合は、自営業者やフリーランスなども対象となり、遵守しなければならない法律です。

商号

商法では商人が使用する商号個人事業主や会社が営業を行うに当たって用いる名称)について定めています。

商号とは、商人がその営業上自己を表すために用いる名称のことです。商号はその商人を表す名称ですから、文字で記載することができ、かつ、呼称できるものでなければなりません。したがっ て、記号や図形を商号とすることはできません。

商号の個数
①会社の商号は、会社の人格を表す名称ですから、会社が複数 の営業を行う場合であっても、その商号は1個に限られます。
②個人商人の場合、数個の営業を営むときには、各営業につき それぞれ別個の商号を使用することができます。
ただし、1個の営業につき、商号は1個に限られます(これを商号単一の原則といいます)。1個の営業につき数個の商号 の使用を認めると、営業の同一性につき誤認されるおそれがあるからです。

商人は、原則として、商号を自由に選ぶことができます(こ れを商号選定自由の原則といいます)。しかし、例外的に、以 下のような制限があります。

【商号選定の制限】
・営業の主体を 誤認させる 商号選定の禁止:不正の目的をもって、他の商人であると誤認させるお それのある名称又は商号を用いてはならない(12条1 項)
・会社の商号に 関する制限:①会社は、株式会社・合名会社・合資会社・合同会社 の種類に従い、それぞれの商号中に株式会社・合 名会社・合資会社・合同会社という文字を用いなければならない (会社法6条2項) ②会社は、他の種類の会社であると誤認させるおそれのある文字を用いてはならない(会社法6条3項)
・個人商人の商号 に関する制限:会社でない者は、その名称又は商号中に、会社であると誤認させるおそれのある名称又は商号を使用しては ならない(会社法7条)

何人も不正の目的をもって、他の商人であると誤認されるおそれのある名称・商号を使用してはなりません(商法12条1項)。このような名称・商号の使用によって営業上の利益を侵害された商人、または侵害されるおそれのある商人は、その侵害の停止・予防を請求できます(同条2項)。
その他、自己の商号を使用して営業・事業を行うことを他人に許諾した商人は、当該商人が営業・事業を行うものと誤認して取引をした者に対し、許諾先と連帯して債務を弁済する責任を負います(商法14条)。
また、商号の譲渡(商法15条)や、営業の譲渡(商法16条~18条)に関するルールが定められています。

従業員について

商法では従業員の立場を支配人使用人として以下の事項を定めています。

①支配人

支配人は、商人に代わって営業に関する一切の裁判上・裁判外の行為をする権限を有します(商法21条1項)。使用人の選任・解任も可能です(同条2項)。支配人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗できません(同条3項)。
商人が支配人を選任したとき、または支配人の代理権が消滅したときは、その旨を登記する必要があります(商法22条)。そのほか支配人の競業避止義務(商法23条)、および表見支配人(商法24条)について定められています。

②使用人

商人の営業について、特定の種類・事項の委任を受けた使用人は、当該事項に関して一切の裁判外の行為をする権限を有します(商法25条)。
物品の販売等を目的とする店舗の使用人(店員など)は、原則としてその店舗にある物品の販売等をする権限を有するものとみなされます(商法26条)。

代理商(業者)

代理商とは、商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理・媒介をする者で、その商人の使用人ではないものをいいます(商法27条)
代理商には、取引成立時の商人に対する通知義務(商法27条)および競業避止義務(商法28条)が課されています。
しかし、代理商の権限・権利として通知を受ける権限(商法29条)契約解除権(商法30条)留置権(商法31条)が定められています。

まとめ

今回は商法の中から商業に必要な部分を一部抜粋して紹介しました。次回は民法との違いを含めて説明します。

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