今回の記事から行政書士のメイン業務である許認可についていくつかご紹介していきたいと思います。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。
行政書士の行う許認可業務は多岐にわたり存在し、取り扱う書類の数も1万種類あると言われています。許認可業務の数が多いため、いくつか絞ってのご紹介となります。今回の記事では、古物商許可について記事を書いていきたいと思います。
古物商許可とは
古物商許可とはビジネスとして「古物」を売買または交換する場合に必要な免許です。
古物とは、古物営業法で以下の定義されています。
・一度使用された物品
・使用されない物品で使用のために取引されたもの
・これらの物品に幾分の手入れをしたもの
「中古品」だったり、「新品だけど使うために買われたもの」、「上記2つをきれいにしたり、修理したもの」と定義されています。
「古物営業」にあたる取引をする場合は、個人でも、法人でも古物商許可が必要となります。例えば、法人でいうとリサイクルショップや中古車屋などが挙げられます。また、個人で行っているメルカリやヤフオクなどで「古物」をビジネス目的で取引するには古物商許可が必要となります。つまり、古物商許可とはビジネス目的で「古物」を扱うための免許と言えます。
古物営業法
古物商許可に関わってくる法律は「古物営業法」となります。
(目的)
第一条この法律は、盗品等の売買の防止、速やかな発見等を図るため、古物営業に係る業務について必要な規制等を行い、もつて窃盗その他の犯罪の防止を図り、及びその被害の迅速な回復に資することを目的とする。
古物商の許可が必要理由は盗品等の売買の防止、速やかな発見等を図り、被害の迅速な回復することです。そのため、許可の申請先は警察署となります。
(定義)
第二条この法律において「古物」とは、一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類(船舶、航空機、工作機械その他これらに類する物をいう。)で政令で定めるものを除く。以下同じ。)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。
2この法律において「古物営業」とは、次に掲げる営業をいう。
一古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの
二古物市場(古物商間の古物の売買又は交換のための市場をいう。以下同じ。)を経営する営業
三古物の売買をしようとする者のあつせんを競りの方法(政令で定める電子情報処理組織を使用する競りの方法その他の政令で定めるものに限る。)により行う営業(前号に掲げるものを除く。以下「古物競りあつせん業」という。)
3この法律において「古物商」とは、次条の規定による許可を受けて前項第一号に掲げる営業を営む者をいう。
4この法律において「古物市場主」とは、次条の規定による許可を受けて第二項第二号に掲げる営業を営む者をいう。
5この法律において「古物競りあつせん業者」とは、古物競りあつせん業を営む者をいう。
古物商許可が必要ない場合とは?
「古物」を取引する場合でも、ビジネス目的でなければ古物商許可は必要ありません。例えば、一般人が自身の不用品をリサイクルショップやメルカリで売る場合です。この場合、古物商許可は必要ありません。
しかし、転売する目的で「古物」を仕入れた場合は、「古物営業」にあたり、古物商許可が必要です。判断基準としては、客観的に見て「繰り返し続けている」状態が認められる場合は古物商許可が必要です。
古物商許可の種類・品目
古物商許可は、古物営業法施行規則で以下13品目に区分されています。
- 美術品類
- 衣類
- 時計・宝飾品類
- 自動車
- 自動二輪車及び原動機付自転車
- 自転車類
- 写真機類
- 事務機器類
- 機械工具類
- 道具類
- 皮革・ゴム製品類
- 書籍
- 金券類
古物営業法では、自身が取得している「品目」以外の古物を取り扱うことはできないことになっています。例えば美術品類のみで許可が出ている場合は、衣類や自動車の取り扱いが出来ないため注意が必要です。
まとめ
今回は古物商許可の概要について説明しました。古物商許可が必要な理由としては古物商の許可が必要理由は盗品等の売買の防止、速やかな発見であり、ビジネスとして「古物」を売買または交換する場合に必要な免許となります。
次回は実際の古物商許可の手続きをご紹介します。
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