今回の記事も行政書士のメイン業務である許認可についていくつかご紹介していきたいと思います。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。
行政書士の行う許認可業務は多岐にわたり存在し、取り扱う書類の数も1万種類あると言われています。許認可業務の数が多いため、いくつか絞ってのご紹介となります。今回の記事では、道路占用許可について記事を書いていきたいと思います。
道路占用許可とは
道路に一定の施設を設置して継続して道路を使用することを道路の占用と言います。ここでいう道路とは、道路の上空や地下も含まれます。例えば、道路上に電柱や電線、道路地下の上下水道管などは道路の占用物ということです。
法律根拠
道路法
(道路の占用の許可)
第三十二条道路に次の各号のいずれかに掲げる工作物、物件又は施設を設け、継続して道路を使用しようとする場合においては、道路管理者の許可を受けなければならない。
一電柱、電線、変圧塔、郵便差出箱、公衆電話所、広告塔その他これらに類する工作物
二水管、下水道管、ガス管その他これらに類する物件
三鉄道、軌道、自動運行補助施設その他これらに類する施設
四歩廊、雪よけその他これらに類する施設
五地下街、地下室、通路、浄化槽その他これらに類する施設
六露店、商品置場その他これらに類する施設
七前各号に掲げるもののほか、道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある工作物、物件又は施設で政令で定めるもの
2前項の許可を受けようとする者は、左の各号に掲げる事項を記載した申請書を道路管理者に提出しなければならない。
一道路の占用(道路に前項各号の一に掲げる工作物、物件又は施設を設け、継続して道路を使用することをいう。以下同じ。)の目的
二道路の占用の期間
三道路の占用の場所
四工作物、物件又は施設の構造
五工事実施の方法
六工事の時期
七道路の復旧方法
道路法上の道路とは
道路法上のと道路は①高速自動車国道②一般国道③都道府県道④市町村道を指します。
道路の禁止行為
道路交通法第76条では、何人もいかなる場合にあっても、交通の妨害となるような方法で物をみだりに道路に置いたり、道路上の人や車を損傷させるおそれのある物を投げるなどの行為を行うことは禁止(絶対的禁止行為)されています。そのため、道路の占用許可や使用許可が必要となります。
道路占用許可が必要な場合
道路に一定の工作物、物件又は施設を設け、道路の空間を独占的・継続的に使用することを「占用」といいます。この道路の占用は地上に施設を設置する場合だけでなく、電気・電話・ガス・上下水道などの管路を道路の地下に埋設する場合や、道路の上空に看板を突き出して設置する場合なども含まれます。道路を占用しようとする者は、あらかじめ道路管理者の許可を受けなければなりません。
占用物件
道路を占用することができる物件等は、法令に記載されています。例えば自動販売機、置き看板、のぼり旗の設置は原則として認められていません。(道路法32条第1項)
1号物件 | 電柱、電線、変圧塔、郵便ポスト、公衆電話所、広告塔その他これらに類する工作物 |
例:交番、公衆便所、消火栓、くずかご、フラワーボックス、ベンチ、上屋、街灯など | |
2号物件 | 水管、下水道管、ガス管その他これらに類する物件 |
例:ケーブル管、石油管、熱供給管など | |
3号物件 | 鉄道、軌道その他これらに類する施設 |
例:モノレール、鉱石運搬のための索道 | |
4号物件 | 歩廊、雪よけその他これらに類する施設 |
例:日よけ、アーケードなど | |
5号物件 | 地下街、地下室、通路、浄化槽その他これらに類する施設 |
例:地下タンク貯蔵所、地下駐車場、防火用地下水槽など | |
6号物件 | 露店、商品置場その他これらに類する施設 |
例:屋台、靴磨き、売店、コインロッカー、材料置場など | |
7号物件 | 道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある工作物、物件又は施設で政令(道路法施行令第7条)で定めるもの(下記参照) |
① 看板、標識、旗ざお、パーキングメーター、幕、アーチ② 太陽光発電設備、風力発電設備③ 津波避難施設④ 工事用板囲、足場、詰所など⑤ 土石、竹木、瓦、工事用材料など⑥ 耐火建築物を建築する期間中必要となる仮設建築物⑦ 都市再開発法に基づく施設のうち一時的に必要となる施設⑧ 食事施設、購買施設など⑨ トンネルの上又は高架下に設ける店舗、倉庫、駐車場、広場など⑩ 都市計画法に基づく高度地区内の道路の上空に設ける店舗、倉庫など⑪ 応急仮設住宅など⑫ 自転車、原付、二輪車を駐車させるために必要な車輪止め装置など⑬ 高速自動車国道等に設ける休憩所、給油所及び自動車修理所 |
道路使用許可も必要なときもある
占用許可申請を受けて実施する行為が、道路使用許可(道路法第77条)が必要な場合は、別途当該道路を所管する警察署の許可が必要です。道路占用許可を得ているから、道路使用許可は必要ないと考えがちですが、実は、間違いです。忘れずに申請するようにしましょう。
まとめ
今回は道路法を含めて道路占用許可についてご紹介しました。次回は道路占用許可手続きについてご紹介します。
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