今回の記事も行政書士のメイン業務である許認可についていくつかご紹介していきたいと思います。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。
行政書士の行う許認可業務は多岐にわたり存在し、取り扱う書類の数も1万種類あると言われています。許認可業務の数が多いため、いくつか絞ってのご紹介となります。今回の記事では、道路使用許可について記事を書いていきたいと思います。前回の記事で道路使用許可の概要を説明したため、今回の記事は実際の手続き方法となります。
道路使用許可の申請手続
道路使用許可が必要な行為を行う場所を管轄する警察署長の許可(道路使用の許可行為に係る場所が同一の公安委員会の管理に属する2以上の警察署長の管轄にわたるときは、そのいずれかの警察署長の許可)を受けなければなりません。
誰がどこに申請するの?
公共工事の場合、申請は道路において工事を請け負ったもの、つまり元請業者が行うことが一般的です。申請先は、当該道路を所管する警察署になります。所管警察署を知りたい場合は、各都道府県警のHPに管轄図などが載っていますので確認してください。ただし、発注者が道路管理者であって、自らが管理する道路を使用する場合は、道路交通法第80条により道路管理者が所轄警察署と協議をする必要があります。
【申請に必要な書類】(道路交通法施行規則第10条)
道路使用許可申請書および添付書類(2部)を提出します。
申請に際しては、次の書類を提出します。
・道路使用許可申請書(2通)
・道路を使用する場所及び付近の見取図(位置図)
・交通安全対策図
・工程表、設置する物件の仕様書等、工事や作業の内容が分かる資料
道路使用許可申請書に記載する内容
- 申請者の住所および氏名(申請者が法人の場合は、その名称および代表者の氏名)
- 道路使用の目的
- 道路使用の場所または区間
- 道路使用の期間
- 道路使用の方法または形態
- 現場責任者の住所および氏名
添付書類に記載する内容
- 道路使用の場所又は区間の付近の見取図
- 路上工事の内容(保安図など)
- その他、申請書に記載する事項を補足するために公安委員会が必要と認めて定めた書類
手数料
都道府県によって異なりますが、概ね二千〜三千円です。
申請上の注意点
道路使用許可申請では、いくつかの注意すべき事柄があります。
(1)道路占用許可が必要なことがある
ほとんどの道路使用許可では、合わせて道路占用許可が必要になります。 道路占用許可は、地方自治体が窓口になりますが、どちらか一方の窓口を 経由して行うことができます(道路法33条4項、道路交通法16条2項)。 道路占用許可は道路を継続して占用する場合に許可を要します。たとえば店舗名を表示した看板を道路に突出して設置する場合や工事用の外部足場が道路に突出する場合に道路占用許可を要します。
ただし、高所作業車による電柱工事のように、一時的な作業であることが 明らかな場合は道路占用許可の対象にはならず、道路使用許可のみを要します。
(2)事前協議が必要
継続的な案件ではなく、新規の案件は、事前協議が必要です。協議が整った後に申請という流れになりますので、行為着手日二週間以上前に事前協議を始めてください。 協議対象となるのは、人や車の通行に支障がでないかという点です。一時的に交通止めになるような案件は、協議に時間を要します。
(3)許可条件が付される
道路使用許可は許可条件が付されることがあります。たとえば、工事による道路使用許可であれば、作業時間に関することや作業時間外の現場の状態、車両通行幅員の確保、交通誘導員の配置などが許可書に添付されて交付されま す。また口頭でも指導、指示事項があります。失念しないようメモをして、依 頼人に伝達してください。
たとえ許可を取得した行為であっても、道路使用が原因で想定以上の交通 渋滞が発生した場合には、「作業時間の短縮する」などの新たな条件が付されることがあります。
道路占用許可が必要な場合
道路占用許可と道路使用許可の申請は、どちらか一方の窓口を経由して行うことが出来ます。(道路法第32条4項、道路交通法78条2項)
まとめ
今回は道路使用許可の手続きについてご紹介しました。道路使用許可は警察署で行いますが、初回の場合は事前協議が必要となるため注意が必要です。事前にどういったことで道路を使用したいのかを明確に説明できるようにしておきましょう。
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