今回の記事も行政書士のメイン業務である許認可についていくつかご紹介していきたいと思います。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。
行政書士の行う許認可業務は多岐にわたり存在し、取り扱う書類の数も1万種類あると言われています。許認可業務の数が多いため、いくつか絞ってのご紹介となります。今回の記事では、許認可とは少しズレますが、行政書士が行う自動車関係の記事を書いていきたいと思います。今回は車庫証明書の申請についてご紹介します。
車庫証明とは
車庫証明書は、正式には自動車保管場所証明書といいます。
その名のとおり、自動車の保管場所があることを証明する書類です。自動車を購入し、ご自身の車として登録する(ナンバーを取得する)際に必要で、新車・中古車どちらでも必要です。なぜ車庫証明という手続きが必要なのか。大きく分けて2つの理由が挙げられます。
① 道路以外の場所を自動車の保管場所として確保することで、道路交通が円滑にいくようにするため② 運輸支局で自動車登録申請を行う際に、車庫証明書を添付する必要があるため
車庫法
自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法)第1条の条文中には、「自動車の保有者等に自動車の保管場所を確保し、道路を自動車の保管場所として使用しないよう義務づける」という規定があります。
第1条(目的)
この法律は、自動車の保有者等に自動車の保管場所を確保し、道路を自動車の保管場所として使用しないよう義務づけるとともに、自動車の駐車に関する規制を強化することにより、道路使用の適正化、道路における危険の防止及び道路交通の円滑化を図ることを目的とする。
第2条(定義)
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 自動車 道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第2条第2項に規定する自動車(二輪の小型自動車、二輪の軽自動車及び二輪の小型特殊自動車を除く。)をいう。
二 保有者 自動車損害賠償保障法(昭和30年法律第97号)第2条第3項に規定する保有者をいう。
三 保管場所 車庫、空地その他自動車を通常保管するための場所をいう。
四 道路 道路法(昭和27年法律第180号)第2条第1項に規定する道路及び一般交通の用に供するその他の場所をいう。
五 駐車 道路交通法(昭和35年法律第105号)第2条第1項第18号に規定する駐車をいう。
第3条の条文中には、「自動車の保有者は、道路上の場所以外の場所において、自動車の保管場所を確保しなければならない。」という規定があります。また、第11条には「道路上は自動車の保管場所としてはならない」とされています。
第3条(保管場所の確保)
自動車の保有者は、道路上の場所以外の場所において、当該自動車の保管場所(自動車の使用の本拠の位置との間の距離その他の事項について政令で定める要件を備えるものに限る。第11条第1項を除き、以下同じ。)を確保しなければならない。
第11条(保管場所としての道路の使用の禁止等)
何人も、道路上の場所を自動車の保管場所として使用してはならない。
2 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
一 自動車が道路上の同一の場所に引き続き12時間以上駐車することとなるような行為
二 自動車が夜間(日没時から日出時までの時間をいう。)に道路上の同一の場所に引き続き8時間以上駐車することとなるような行為
3 前二項の規定は、政令で定める特別の用務を遂行するため必要がある場合その他政令で定める場合については、適用しない。
上記条文の通り、自動車の保有者は、道路上を自動車の保管場所としてはならないため、道路以外の場所に自動車の保管場所を確保する必要があるということになります。保管場所を自分で所有しているか、あるいは月極駐車場などを契約し、駐車場所を借りていることが必要です。
車庫証明を取らなければ原則として運輸支局で自動車登録を行えない。
車庫法第4条2項では、警察署で車庫証明をとらなければ、運輸支局における自動車の登録手続きを行うことができないと規定されています。
第4条(保管場所の確保を証する書面の提出等)
道路運送車両法第4条に規定する処分、同法第12条に規定する処分(使用の本拠の位置の変更に係るものに限る。以下同じ。)又は同法第13条に規定する処分(使用の本拠の位置の変更を伴う場合に限る。以下同じ。)を受けようとする者は、当該行政庁に対して、警察署長の交付する道路上の場所以外の場所に当該自動車の保管場所を確保していることを証する書面で政令で定めるものを提出しなければならない。ただし、その者が、警察署長に対して、当該書面に相当するものとして政令で定める通知を当該行政庁に対して行うべきことを申請したときは、この限りでない。
2 当該行政庁は、前項の政令で定める書面の提出又は同項ただし書の政令で定める通知がないときは、同項の処分をしないものとする。
※道路運送車両法4項は自動車登録についての項目です。
登録手続きを行うことができないということは、ナンバープレートや車検証などの交付を受けることができないことを意味します。車庫証明申請を行い、数日後に警察署から交付される車庫証明書は、自動車登録手続きを行う際に運輸支局へ提出しなければなりません。
そのため車庫証明申請は、「運輸支局で自動車登録手続きを行うための過程となる手続き」と言えます。
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