今回の記事も行政書士のメイン業務である許認可についていくつかご紹介していきたいと思います。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。
行政書士の行う許認可業務は多岐にわたり存在し、取り扱う書類の数も1万種類あると言われています。許認可業務の数が多いため、いくつか絞ってのご紹介となります。今回の記事も、許認可とは少しズレますが、行政書士が行う自動車関係の記事を書いていきたいと思います。今回の記事では自動車登録の種類をご紹介します。
行政書士の自動車登録業務とは?
自動車登録業務とは、自動車を所有する際や、使用者に関して変更があった際などに、陸運支局などへ登録申請や変更申請を行う業務を指します。
また、自動車を廃車する際に、登録を抹消する場合の手続きについても、自動車登録業務にあたります。
自動車登録の種類
自動車登録には大きく分けて6つの登録があります。
新規登録
新規登録は、登録していない(ナンバープレートが付いていない)状態から、登録を行いナンバープレートを付けて公道を走れるようにするタイミングで行う申請です。新規登録は、その車が生産されてから初めて登録する新車新規登録と、一度登録抹消済みの車を再度新規登録する中古新規登録で、必要書類が異なります。
変更登録
変更登録は、登録内容に変更があった場合に行います。所有者の住所や氏名、車の使用場所の変更、車の使用者が別人に変わったなどの場合には変更登録となります。車自体の改造(構造変更)でも、変更登録になる場合があります。車を改造する時には、変更登録が必要な場合や安全性の再確認のために車検を取り直す必要があるケースもあるので注意が必要です。なお、車の売買で名義変更をするとよく言 いますが、その場合は変更登録ではなく移転登録になるのでご注意ください。
移転登録
車の持ち主が別人になる登録を移転登録といいます。法律的には、所有権が移転するので移転登録と呼ばれます。住所移転は移転登録でなく変更登録になります。 なお、住所変更を行い忘れて車検証の住所が古い住所のままで車を売却する場合は、 変更登録を省くことができます。所有者が別人になる原因としては売買、贈与、合併、 会社分割、相続など様々なものがありますが、売買や贈与については譲渡証明書という定形書式の書類を発行して、車を譲渡したことを証明することになります。合併、 会社分割、相続はそれぞれ必要書類が異なります。
抹消登録
抹消登録は、一時的にナンバープレートを外す「一時抹消登録」と、二度と車を使用できない状態(主に解体処理済みの車)で行う「永久抹消登録」と、車を輸出する前段階として「輸出抹消仮登録」という手続きがあります。解体処理済みの車両は国のシステムで情報連携がされるので、解体処理の通知がなされると一時抹消登録できなくなります。月内に一時抹消したい場合などは、車両の解体を先行させて一時抹消ができなくなるようなことがないように注意してください。
更正登録
登録内容が間違っていた場合に修正するのが更正登録です。氏名や住所についての間違いが原因で申請することが多いです。登録後時間がかかっていなければ申請 先に資料が残っているので特に申請なく正しい車検証と交換してもらうことができます。資料が残っていない場合は、間違えたことが分かる資料を付けて更正登録の 申請をする必要があります。
抵当権登録
抵当権は、登録自動車を借金や未払金の担保にする時に行います。しかし、抵当権を設定していても移転登録はできるため車がどこにいったのか分からなくなることもあります。そのためあまり利用されていません。自動車を担保にする時には所有権留保という形が主に使われます。
その他の申請
登録以外にも登録自動車には抹消中の所有者を変更する所有者変更記録、抹消中に輸出する場合の輸出届出、抹消後に解体した場合の解体届、ナンバープレートが破損し、判別不能になった場合に登録番号を変更する番号変更、ナンバープレートの種類(ペイントや字光式、図柄ナンバー)を変更する番号交換、各種紛失毀損に対応する再交付の申請があります。
行政書士が行う封印業務
封印は、車両が運輸支局等にて正式に登録された証明であるとともに、文字通り固定ボルトを封印することにより、ナンバープレートの取り外しや車両の盗難を防止する目的があります。
通常、ナンバープレートを交換する場合は、運輸支局等に車両を持ち込んで封印の施封をしてもらう必要があります。車両を運輸支局等に持ち込んで封印の施封をしてもらうにしても、平日の日中と限られた時間内でなければならず、申請者には大きな負担となってしまいます。
この負担を軽減するために、行政書士がお客様のご自宅や駐車場等へ出張して封印を施封することができるのが、出張封印(丁種出張封印)という制度です。丁種出張封印は、行政書士なら誰でもできるわけではなく、各都道府県の行政書士会において、丁種会員として認められ、丁種会員名簿に登載された行政書士だけとなります。なお、封印の施封が他県などの遠隔地においても、全国の丁種会員の行政書士に再々委託することにより、現地の行政書士に封印の施封を代行してもらうことができ、全国での対応が可能となります。
※軽自動車については、登録制度では無いため、封印はされていません。
まとめ
今回は行政書士が行う自動車登録業務の種類についてご紹介しました。自動車の業務だけでも種類があり、また封印業務や車庫証明などさまざまな業務にも関連してきます。次回から今回ご紹介した業務内容について触れていきます。
コメント