今回の記事も行政書士のメイン業務である許認可についていくつかご紹介していきたいと思います。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。
行政書士の行う許認可業務は多岐にわたり存在し、取り扱う書類の数も1万種類あると言われています。許認可業務の数が多いため、いくつか絞ってのご紹介となります。今回の記事も、許認可とは少しズレますが、行政書士が行う自動車関係の記事を書いていきたいと思います。今回の記事では自動車の廃車時に必要な抹消登録についてご紹介します。
封印業務
新しいナンバープレートを車につける際には、自動車を運輸支局や自動車検査登録事務所に持ち込まなければいけません。運輸支局の窓口が開いているのは、当然平日の日中のみです。その日中でも、昼休み中は対応してくれません。また、ナンバーがついていないので、自走することができずキャリアなどの車両に積載して持ち込むには、費用がかかります。
そこで、車を運輸支局に持ち込むのではなく、車を駐車しているところに行政書士が封印とナンバーを持って取り付けに行くことができる制度。それが出張封印です。丁種(ていしゅ)封印とも言われます。
行政書士が誰でもできるわけではありません。丁種会員になる必要があります。研修を受けた自動車に精通した行政書士が、国から委託を受けてナンバー交換に伴う封印作業を行うことができるようになります。
封印とは
封印とは、後ろナンバープレートを固定する左側のボルトに被せてあるアルミ製のキャップのことを指します。この封印が外れていたり、破損している場合は、取り締まりの対象となります。封印の役割は、運輸支局で正式に登録がなされ、然るべき検査を受けた後にナンバーを取得したという証であることと、車両盗難防止、ナンバーの取り外し対策という役割を担います。破損や紛失をした場合は、登録を受けた運輸支局にて再封印の手続きを行います。
国土交通大臣から封印作業を委託されている者(受託者)は、次のようになります。
・甲種ナンバープレートの交付代行者(運輸局)
・乙種型式指定車の新車販売業者
・丙種各都道府県の中古車販売協会
・丁種各都道府県の行政書士会
利用可能なケース
個人間で車を売買した場合
新車や中古車の販売業者は、自社で販売した車両への封印が許可されています。しかし個人間で車のっ売買を行った場合は封印を行う必要があります。
ナンバープレートを変更した場合
ナンバープレートを変更する場合も新たに封印が必須です。「希望する番号を取得した」などのケースが挙げられます。
転居や移転などで登録住所を変更した場合
個人の場合は、引っ越しなどで住民票に記載される住所が変わると、移転先で新たに封印を行わなければなりません。
利用できないケース
・盗難防止やいたずら防止などで特殊ネジの場合(専用工具があれば出来る場合あり)
・ペイント⇔字光式への変更
・車台番号が読み取れない(腐食や輸入車など)
・ネジなどが錆びており取り外しできない
・不正改造車やその他条件により封印できない場合あり
封印業務(出張封印)のメリット
- 車両を運輸支局まで持ちこむ手間を省くことができます。
- 移動しないので、交通事故や移動中のトラブルを心配する必要がありません。
- 事前に打ち合わせしておくことで、時間に自由がききます。
- 運輸支局は開始終了時間が決まっていますが、出張サービスは夜間でも可能です。
報酬の相場
エリアや各事務所によってバラバラですが、おおよそ「8,000円~15,000円」ほどとなります。金額の内訳としては、代行手数料と合わせて施封地までの所要時間や施封時刻(早朝や深夜帯は割高)によって異なります。これらの合計が上記金額内で収まるイメージです。
丁種会員とは
丁種封印を行う為には、丁種会員にならなければなりません。その方法としては、行政書士会所定の業務研修を受講後、効果測定の基準点をクリアし、実地研修を終える必要があります。その後、損害賠償保険に加入することで各行政書士会から丁種会員名簿に登載され、丁種封印に関する業務が行えるようになります。
まとめ
2017年から行政書士が封印業務をできることになり、2024年7月より「行政書士(丁種会員)が行うことのできる封印受託」の範囲が変更(拡大)されることとなったそうです。乙種や丙種をお持ちの自動車販売店様からのご依頼は原則としてお受けすることができませんでしたが、「車両の販売事業者においても、感染症等による社員の一時的な不足から、自身が施封をすることができない場合や、業務形態や繁忙期等の季節的なことなどから、販売に専念する際、手続き全般を行政書士に依頼することができる」よう、丁種会員である行政書士への委託が可能とさたことにより、行政書士の業務が増えるかもしれませんね。
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