今回の記事は行政書士のメイン業務である許認可に必要な行政行為についての知識をご紹介します。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、許認可業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。
行政行為とは
行政行為とは、行政が法に基づき一方的に国民に働き掛ける ことで、国民の権利義務に変動を生じさせ、それによって行政目 的を実現する行為をいいます。
行政行為の種類
法律行為的行政行為と準法律行為的行政行為に分けられます。
法律行為的行政行為とは、行政庁が意思表示により望んだことと同様の法律効果が発生する行為をいいます。
準法律行為的行政行為とは、単に行政庁が判断したことや認識したことを表示した場合に、法律が一定の法的効果を与える行為をいいます。意思ではなく、行為を捉えて直接法律の規定に基づき効果が発生する点が法律行為的行政行為とは異なります。
法律行為的行政行為
命令的行為とは行政庁が、国民に対して義務を命じ、また 逆に義務を除去する行政行為の総称です。 この命令的行為は、 下命,禁止,許可,免除の4つに分けることができま す。
下命
下命とは、国民に一定の行為をする義務を課す行為をい います。
禁止
禁止とは、国民に一定の行為をしてはならない義務を課 す行為をいいます
許可
許可とは,禁止を解除する行為をいいます。例として、 自動車の運転免許の付与、飲食店営業の許可があります。
免除
免除とは、下命を解除する行為をいいます。
形成的行為とは、 国民が本来有していない特別の権利や法的地位などを与えたり奪ったりする行為をいいます。命令的行為が人の自由を規律する行為であるのに対し、 形成的行為は国民に対して新たに権利、 能力を付与する等の行為です。 この形成 的行為は、特許(剥権), 認可,代理の3つに分けることができます。
特許(及び剥権)
特許とは、国民に対して特定の権利、又は法律関係を設定する行為をいいます。特許は行政庁の自由裁量行為です。例えば、内容の両立しない特許申請が重なった場合には、 行政庁が裁量で選ぶことができます。一方,剥権とは、特許によって設定された権利又は法律 関係を消滅させる行為をいいます。
認可
認可とは、第三者の行為を補充してその法律上の効果を完成させる行為をいいます。
代理
代理とは、行政主体が他の法的主体がなすべき行為を代わりに行い、その結果として他の法的主体が行ったのと同じ効果をもたらす行為をいいます。
準法律行為的行政行為の分類
準法律行為的行政行為は、 確認,公証,通知、受理の4つに分けることができます。 準法律的行政行為は,行政の意思ではなく法律の規定によってその効果が生じます。
確認
確認とは、特定の事実や法律関係の存否又は真否を確定する行為をいいます。判断の表示とも表現されます。
公証
公証とは、特定の事実や法律関係の存否を公に証明する行為 をいいます。認識の表示とも表現されます。
通知
相手方に特定の事項を知らせる行為をいいます。
受理
受理とは、相手方の行為を有効な行為として受領する行為をいいます。
行政行為の附款
行政行為の附款とは、行政行為の効果を制限したり、特別な義務を課すために行政行為の主たる内容に付される、付随的な定めをいいます。附款は、行政行為の目的を達成するために付けられます。
附款は、行政庁の裁量が認められる行為の場合には、明文の規定がなくても行政庁の裁量の範囲内で付けることができます。これに対し、行政庁の裁量が認められない行為には付けることができません。つまり、 準法律行為的行政行為には付けることができません。
附款には、条件,期限,負担,取消(撤回)権の留保,法律効果の一部除外の5種類があります。
条件
条件とは、行政行為の効力の発生、消滅を、発生不確実な将来の事実にかからせる意思表示をいいます。条件のうち、事実の発生によって行政行為の効果が生ずるものを停止条件, 行為の効果が消滅するものを解除条件といいます。
期限
期限とは、行政行為の効力の発生、消滅を、将来発生することの確実な事実にかからせる意思表示をいいます。
負担
負担とは、許認可等の行政行為に付加される意思表示で,相 手方に特別の義務を課すものをいいます相手方が負担に従わなくても、本体たる行政行為の効力は消滅しません。
取消(撤回)権の留保
取消(撤回)権の留保とは、許認可などの行政行為をするにあたって、許認可を取り消す(撤回する) 権利を留保する旨の意思表示を付加することをいいます。
法律効果の一部除外
法律効果の一部除外とは、行政行為をする際に法令がその 行政行為に認めている効果の一部を発生させないこととする意 思表示のことをいいます。
まとめ
行政書士試験で勉強する行政行為ですが、許認可業務で必要となる知識ですので再度確認しておきましょう。