今回の記事も行政書士のメイン業務である許認可についていくつかご紹介していきたいと思います。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。
行政書士の行う許認可業務は多岐にわたり存在し、取り扱う書類の数も1万種類あると言われています。許認可業務の数が多いため、いくつか絞ってのご紹介となります。今回は産廃業許可についての記事を書いていきたいと思います。まずは今回の記事で産廃業許可とはという部分から、環境法令をご紹介します。
産廃業許可とは
産業廃棄物は、事業活動に伴い排出される廃棄物の事を指しますが、その処理責任は原則、排出した事業者にあります。その為、事業者は自らの責任で産業廃棄物を適切に処分(人や環境に影響が出ないようルールに従って処理)する事が義務付けられます。
ただし、産業廃棄物の処分を法令を遵守して遂行するには、適切な施設や設備、ノウハウが必要です。その為、産業廃棄物の処分を排出事業者のみに負担させるのは、不法投棄などが起きるリスクがあります。そこで、他人が排出した産業廃棄物を運搬・処分する事を認める許可制度を設ける事で、許可業者へ産業廃棄物の処理を委託出来る仕組みにしたのがこの許可制度の背景となります。
産業廃棄物の処理業に必要な許可
産業廃棄物の処理業は「運ぶ」仕事と「処分する」仕事でそれぞれ必要な許可が異なります。
どちらも行う場合は両方の許可が必要です。
産業廃棄物を運びたい場合
・産業廃棄物収集運搬業許可
・特別管理廃棄物収集運搬業許可
産業廃棄物を処分したい場合
・産業廃棄物処分業許可
・特別管理廃棄物処分業許可
なお、産業廃棄物を排出した事業者が自ら廃棄物を運んだり、処分したりする場合は、これらの許可無しに行っても法律違反(無許可営業)にはなりません(ただし法律のルールに従って正しく運搬や処分をしなかった場合は、当然ですが廃棄物処理法違反となります)。
産廃業に関する法律
産廃業許可に関する法律をご紹介します。
環境基本法
本法は、環境政策の根幹となる法律である。第4条では、「環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築」が規定されているが、「環境への負荷」には廃棄物の問題が含まれている。
循環型社会形成推進基本法
本法は、「大量生産・大量消費・大量廃棄」 への負荷が少ない「循環型社会」 は次のような背景がある。 型の経済社会から脱却して環境を形成することを目指しているが、 それには次のような背景がある。
① 廃棄物発生量の増加
② リサイクル推進の必要性
③ 廃棄物処理施設の立地の困難性
④ 不法投棄の増大
これらを解決するため、生産・流通・消費・廃棄の過程において、物質の効率的な利用やリサイクルにより、資源の消費を抑制することが求められている。
個別リサイクル法
循環型社会形成推進基本法に関連して、現在6つの個別リサイクル法が施行されている。このうち、解体工事業者に深く関係するのは、分別解体や資源化を定めている建設リサイクル法である。
① 容器包装リサイクル法 (分別回収や事業者のコスト負担):例 びん、ペットボトル、紙製、プラスチック製容器包装等
② 家電リサイクル法 (2001年4月施行、消費者がリサイクルのコストを負担):例 エアコン、冷蔵庫、テレビ、洗濯機、衣類乾燥機
③ 食品リサイクル法 (堆肥化,飼料化促進):例 食品残さ
④ 建設リサイクル法 (分別解体と資源化)例:木材、コンクリート、アスファルト
⑤ 自動車リサイクル法 :例 自動車
⑥ 小型家電リサイクル法 :例 小型電子機器等
廃棄物処理法
本法は、産業廃棄物業務に取り組む上で最も重要な法律である。本法では 廃棄物を一般廃棄物と産業廃棄物に区分し、産業廃棄物を次のように定義した。
事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃えがら、汚でい、廃油,廃 酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物
また、事業者の産業廃棄物処理責任を明確化したことも重要である。 2010年の改正は以下の5点である。
① 廃棄物を排出する事業者による適正な処理を確保するための対策の強化
② 廃棄物処理施設の維持管理対策の強化
③ 廃棄物処理業の優良化の推進等
④ 排出抑制の徹底
⑤ 適正な循環的利用の確保
⑥ 焼却時の熱利用の促進
以上の環境法令をである。
資源有効利用促進法
事業者による製品の回収・リサイクルの実施などリサイクル対策を強化するとともに、製品の省資源化・長寿命化等による廃棄物の発生抑制(リデュース)対策や、回収した製品からの部品等の再使用(リユース)対策を新たに講じ、また産業廃棄物対策としても、副産物の発生抑制(リデュース)、リサイクルを促進することにより、循環型経済システムの構築を目指すものである。
まとめ
今回は産廃業許可とは何かという観点から、関わりのある環境法についてご紹介しました。次回も産廃業許可についての記事を書きますので是非ご覧ください。
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