今回の記事も行政書士のメイン業務である許認可についていくつかご紹介していきたいと思います。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。
行政書士の行う許認可業務は多岐にわたり存在し、取り扱う書類の数も1万種類あると言われています。許認可業務の数が多いため、いくつか絞ってのご紹介となります。今回は産廃業許可についての記事を書いていきたいと思います。まずは今回の記事で産廃業の種類をご紹介します。
産業廃棄物とは
廃棄物とはゴミである。しかし、実は「ゴミ」の判断は難しいといえます。 たとえば、鉄スクラップを買い取る業者は、価値があるから買います。一方、趣味の収集品は、コレクターにとっては貴重品であるかもれないが、関心のない者にとってはゴミといえます。廃棄物に該当すれば規制対象となります。その点で廃棄物の定義付け(=廃棄物該当性の判断)は、産業廃棄物業の許可業務を扱う行政書士にとっては重要となります。
産業廃棄物業務を扱う際は、まずは「産業廃棄物とは何か」「顧客が運搬するのは産業廃棄物に該当するのか」ということを考える必要があります。産業廃棄物は、自治体が回収する一般廃棄物とは管理の主体や方法がまるで違っています。
【廃棄物処理法】第2条(略)この法律において「産業廃棄物」とは、次に掲げる廃棄物をいう。 – 事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥,廃油,廃酸, 廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物
法で規定しているのは7種類であり、それ以外の14種類は施行令で規定されています。
燃えがら:事業活動に伴い生ずる石炭がら、灰カス、焼却残灰、炉清掃掃出物等です。事業活動に伴い生ずる石炭がら、灰カス、焼却残灰、炉清掃掃出物等です。
汚泥:工場廃水等の処理後に残る泥状のものや各種製造業の製造工程において生ずる泥状のものです。さらに有機汚泥と無機汚泥にわけられます。有機汚泥は、下水処理場や食品工場など、有機汚濁された排水を処理する施設・設備で主に発生します。無機汚泥は、土木工事現場や金属工場等、砂や金属成分等を多く含む排水を処理する施設・設備で主に発生します。
廃油:廃油は、事業活動中に生じる、使い終わった油を意味します。鉱物性及び動植物性油脂に係るすべてが廃油になります。
廃酸:廃硫酸、廃塩酸、有機廃酸類をはじめとするすべての酸性廃液。中和処理した場合に生ずる沈でん物は汚泥として取り扱う
廃アルカリ:廃ソーダ液をはじめとするすべてのアルカリ性廃液。
廃プラスチック類:廃プラスチック類には、合成樹脂のくず、合成繊維のくず、合成ゴムのくず(廃タイヤ含む)など、すべての合成高分子系化合物が含まれます。製造過程で発生するプラスチックの破片や廃棄されるプラスチック製品も廃プラスチックとして扱われます。
ゴムくず:ゴムくずは、事業活動から生じる天然ゴムを主原料とした産業廃棄物を指します。
金属くず:金属くずは、金属を含む廃材の総称で、空き缶、研磨くず、切削くず、金属スクラップなど様々な形態があります。
ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず:ガラス、コンクリ、陶器は産業廃棄物としては一つに分類されます。建物の解体やガラス・陶磁器製造時の不良品、使用済み容器などから発生する事業活動に伴うガラス、陶磁器、コンクリート製の廃棄物を指します。
鉱さい:鉱さいは、鉄やニッケルなどの鉱物を高温で融解した際に表面に現れる不純物です。
がれき類:工作物の新築、改築又は除去に伴って生じた各種廃材を指します。
ばいじん:ばい煙発生施設・焼却施設の集じん施設で集められたもの
排出する業種が限定されるもの
紙くず:①建築業に係るもの、②パルプ、紙又は紙加工品製造業、新聞業、③出版業、④製本業及び印刷物加工業に係るもの、➄PCBが塗布され、又は染みこんだもの
木くず:木くずは、建設業での新築、改築、解体に伴って生じる木材、木材や木製品の製造業(家具製造も含む)、パルプ製造業、輸入木材の卸売業、物品賃貸業に由来する木材が含まれます。
繊維くず:「繊維くず」は、衣服やその他の繊維製品の製造業を除く繊維工業(例えば織布工場や紡績工場など)や建設業(建物の新築、改築、除去に伴って生じたものに限る)から発生する畳、木綿くず、じゅうたんなどの天然繊維くずになります。
動植物性残さ:食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業など特定の業種から排出される、動植物を原料とした固形状の廃棄物です。
動物系固形不要物:と畜場においてとさつし、又は解体した獣畜及び食鳥処理した食鳥に係る固形状の不要物を指します。
動物のふん尿:畜産農業に該当する事業活動に伴って生ずる動物のふん尿です。
動物の死体:畜産農業に該当する活動に伴って生ずる動物の死体です。
その他:以上の産業廃棄物に該当しないものが「その他」に分類されます。主に、産業廃棄物を処理するために処理したものが該当します。(法施行令第2条第13号に規定する産業廃棄物)
一般廃棄物
廃棄物処理法で定義された20種類の産業廃棄物以外は「一般廃棄物」とされます。一般廃棄物には、家庭ごみの他に事業活動によって生じる事業系一 般廃棄物があります。飲食店が排出する残飯や、造園業者が排出する剪定枝は産業廃棄物として定義されていないため、事業系一般廃棄物となります。ただし,「事実際には判断が難しい場合もあり、 業廃棄物として定義されておらず、事業系一般廃棄物と業活動に伴う」という点について、 自治体によっては考え方が異なることがあるので注意が必要といえます。
有価物(廃棄物該当性)
有価物とは一般廃棄物を含めた「廃棄物」全般への対概念です。経済的に価値のあるもの(売れるもの)は廃棄物ではないといえます。しかし、モノの引渡しに対価が発生していれば廃棄物ではないのかといえばそうとも言えません。外形上対価を支払うことで「これは有価物である」とし、廃棄物処理法の規制を免れようとする脱法行為を防ぐため、行政ではこの有価物について基準を設けています。
環廃産発第1303299号 平成25年3月29日「行政処分の指針について(通知)」を参照してください。
まとめ
今回は産業廃棄物とされる種類についてご紹介しました。産業廃棄物は事業活動による廃棄物という決まりがあります。その判断については難しいところもあり、自治体に確認が必要な場合もありますので、確認してから廃棄しましょう。
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