【廃棄物処理法とは】~行政書士試験合格者が解説~

行政書士業務

今回の記事も行政書士のメイン業務である許認可についていくつかご紹介していきたいと思います。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。
行政書士の行う許認可業務は多岐にわたり存在し、取り扱う書類の数も1万種類あると言われています。許認可業務の数が多いため、いくつか絞ってのご紹介となります。今回は産廃業許可についての記事を書いていきたいと思います。今回の記事では産廃業務の重要な法律「廃棄物処理法」をご紹介します。

廃棄物処理法とは

廃棄物処理法は、正式名称を廃棄物の処理及び清掃に関する法律と言い、廃棄物の排出を抑制しつつ、発生した廃棄物をリサイクル等の適正な処理を行うことで、人々の生活環境を守ることを目的に作られました。廃棄物処理法は、廃棄物の排出抑制と処理の適正化による生活環境保全を目的として、昭和45年に制定されました。大まかな内容としては、「法律の目的」「廃棄物の定義」「処理・保管等の方法」「責任の所在と罰則」などが記載されています。産業廃棄物の排出事業者や処理事業者は、基本的にはこの法律に則りながら、その事業を進めていかなければなりません。

第1条(目的) この法律は、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。

業者は、排出したごみや廃棄物を、自分の責任において適正に処理しなければなりません。(廃棄物処理法第3条)ただし、廃棄物を自分で処理するのが難しい場合は、廃棄物の種類に応じて、処理事業者に委託することができます。一般廃棄物の処理を請け負う事業者を「一般廃棄物処理業」、産業廃棄物の処理を請け負う事業者を「産業廃棄物処理業」と呼びます。

廃棄物処理法の対象者

廃棄物処理法の主な対象者は、ごみや廃棄物を出す「排出事業者」と、ごみや廃棄物を回収・運搬・処理する「処理事業者」の2つに分かれます。

排出業者の責任

排出事業者は、廃棄物処理法第1条によって、排出したごみや廃棄物を自分で処理する義務を負っています。事業者が自ら産業廃棄物の運搬・処分を行う場合は、「産業廃棄物処理基準」に従わなければなりません(廃掃法12条1項)。産業廃棄物処理基準は、廃掃法施行令6条に定められています。
さらに、産業廃棄物が運搬されるまでの間、事業者は「産業廃棄物保管基準」に従って、生活環境の保全上支障のないように保管しなければなりません(廃掃法12条2項)。産業廃棄物保管基準は、廃掃法施行規則8条に定められています。
産業廃棄物の中でも、特別管理産業廃棄物については、さらに厳しい「特別管理産業廃棄物処理基準」と「特別管理産業廃棄物保管基準」が設けられており、事業者はそれぞれを遵守しなければなりません(廃掃法12条の2第1項・第2項)。
産業廃棄物の処理を委託する場合は、事業者にマニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付する義務があります。廃棄物の種類によっては、紙のマニフェストではなく、電子マニフェストの交付が必要です。

産廃委託契約

排出事業者が産業廃棄物の運搬や処理を他の業者に委託する場合、その業者と書面による委託契約書を締結しなければなりません。これを産廃委託契約と言い、委託先の業者は、産業廃棄物処理業の許可を持っている業者である必要があります。また産廃委託契約は2社契約の原則があり、運搬と処理を別の業者に委託する場合、それぞれと直接委託契約を結ばなければなりません。

マニフェスト制度

産業廃棄物の排出事業者は、運搬や処理を委託する場合、マニフェストを交付して、その処理が適切に行われているかを確認・管理しなければなりません。これをマニフェスト制度と言い、交付したマニフェストは5年間保存しなければならないとされています。

実施状況の報告

廃棄物処理法では、マニフェストを交付した排出事業者は、年一回、前年度のマニフェスト交付等の状況について、都道府県知事等へ報告しなければならないとされています。

処理事業者の責任

産業廃棄物の運搬や処理を行う処理事業者は、処理を行おうとする場所等の都道府県知事等から産業廃棄物処理業の許可を得ておく必要があり、また処理についても、処理基準に従って適正に処理しなければなりません。さらに、マニフェストを交付された場合には、必要事項を記入して排出事業者へと返送しつつ、処理実績を正しく把握するための帳簿の作成等が義務付けられています。
廃棄物処理法は違反すると厳しい罰則が科せられる法律です。行政指導や行政処分、刑事処分といった罰則があるため、違反しないよう十分に注意して運用する必要があります。

廃棄物処理法に違反したときの罰則

廃棄物処理法に違反すると、行政指導や行政処分だけでなく、刑事罰が科される可能性があります。廃棄物処理法の主な罰則は、無許可営業、委託基準違反、廃棄物の投棄禁止違反、排出者管理票交付義務違反などです。

無許可営業

無許可営業は、都道府県や市町村の許可を得ず、無断で廃棄物の運搬・処理を行うことです。もし無許可営業が発覚したら、廃棄物処理法25条により、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金(または両方)が科される可能性があります。廃棄物の運搬・処理を営む事業者は、自治体の許可を申請しましょう。

委託基準違反

ごみや廃棄物を出す「排出事業者」も、廃棄物処理法違反に問われ、重い罰則を科される場合があります。その罰則の一つが、廃棄物処理法第26条などで定められた「委託基準違反」です。
委託基準違反とは、正式な資格を持たない事業者に対し、廃棄物の処理を委託する行為を意味します。例えば、産業廃棄物処理業者でない事業者に産業廃棄物の処理を委託した場合、委託基準違反に問われる可能性があります。委託基準違反の罰則は、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金(または両方)です。排出事業者であっても、処理事業者と同等の重さの罰則を受けるケースがあることを知っておきましょう。

廃棄物の投棄禁止違反

廃棄物の投棄禁止違反とは、いわゆる「不法投棄」のことです。廃棄物を不法に投棄した場合、廃棄物の投棄禁止違反に問われ、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金(または両方)の罰則を科される可能性があります。また、法人の投棄禁止違反に対しては、3億円以下の罰金が科されるケースも考えられます。(廃棄物処理法第32条)
廃棄物の投棄禁止違反は、未遂であっても罰せられる点に注意しましょう。なお、廃棄物の不法投棄ではなく、違法な焼却(不法焼却)を行った場合は、廃棄物の焼却禁止違反に問われます。(廃棄物処理法第16条の2)

排出者管理票交付義務違反

産業廃棄物の処理を事業者に委託する場合、排出事業者はマニフェストを交付する義務があります。もし交付義務を怠った場合、排出者管理票交付義務違反に問われ、1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科される可能性があります。(廃棄物処理法第27条の2)
マニフェストの交付に関連して、交付義務違反の他にも、記載事項を正しく記載しない「記載義務違反」や、虚偽の情報を記載する「虚偽記載」などの罰則にも注意が必要です。ト等を取り扱う情報処理センターの職員等が、秘密保持義務に違反すること。

まとめ

今回は廃棄物処理法についてご紹介しました。この記事の内容のみでは概要しか分からないため、実際に法律等を読んでみてくださいね。

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