【産廃業許可の手続き】~行政書士試験合格者が解説~

行政書士業務

今回の記事も行政書士のメイン業務である許認可についていくつかご紹介していきたいと思います。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。
行政書士の行う許認可業務は多岐にわたり存在し、取り扱う書類の数も1万種類あると言われています。許認可業務の数が多いため、いくつか絞ってのご紹介となります。今回は産廃業許可についての記事を書いていきたいと思います。今回の記事では産廃廃棄処理といっても収集業務と処分業務の2種追があります。今回は収集運搬許可の手続きについてをご紹介します。

産業廃棄物収集運搬業許可とは

産業廃棄物収集運搬業許可とは、廃棄物処理法によって定められた20種の産業廃棄物を収集・運搬する事業運営を認められた際に交付される許可です。許可を取得せずに営業してしまった場合、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、または併科される恐れがあるため必ず取得してから事業を開始しましょう。また、産業廃棄物収集運搬業許可には以下の特徴があります。

注意点
・自身の事業で排出した産業廃棄物を運搬する場合は許可不要
・一般廃棄物の収集・運搬には「一般廃棄物収集運搬業許可」が必要です。
・産業廃棄物収集運搬業許可を取得して行える事業は、産業廃棄物の収集・運搬のみであり処分することはできない。
・産業廃棄物のなかには、特別管理産業廃棄物と呼ばれる品目があり「特別管理産業廃棄物収集運搬業許可」が必要。

許可を取るには要件を満たさなければならない

産業廃棄物収集運搬業許可は、申請をすればそれだけで取れるというものではなく、次の5の要件をすべて満たしていなければなりません。

1、欠格要件に該当しないこと
2、講習会を受講していること
3、運搬施設があること
4、経理的基礎を有していること
5、適切な事業計画を整えていること

申請先・申請窓口

産廃収集運搬業を営むための許可申請先は、個人法人を問わず都道府県知事です。さらに、積み込み先と持っていく処分場が都道府県をまたがる場合には、それぞれの知事に産業廃棄物収集運搬業申請をしなければいけませんので注意が必要です。

申請に必要な書類

法人であれば、一般的には次のものが必要です。

  • 申請書類一式
  • 住民票
  • 登記されていないことの証明書 
  • 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 定款のコピー
  • 講習会修了証のコピー
  • 賃借対照表(直近3年分)
  • 損益計算書(直近3年分)
  • 株主資本等変動計算書(直近3年分)
  • 法人税の納税証明書(直近3年分)
  • 車検証のコピー
  • 運搬車両の写真
  • 運搬容器の写真(使用する場合)

住民票と登記されていないことの証明書は役員全員分が必要となります。
※必要書類は都道府県によって多少異なってきます。あらかじめ確認しておきましょう。

申請に必要な費用

積替え保管なしの産業廃棄物収集運搬業許可と、積替え保管なしの特別管理産業廃棄物収集運搬業許可の取得にかかる費用は以下のとおりです。(2023年1月時点)

・産業廃棄物収集運搬業許可の新規申請手数料:81,000円
・特別管理産業廃棄物収集運搬業許可の新規申請手数料:81,000円
・産業廃棄物収集運搬業許可の受講費:31,000円(Web申請時30,500円)
・特別管理産業廃棄物収集運搬業許可の受講費;47,100円(Web申請46,600円)

ほかに、役所や税務署が発行する証明書の取得費がかかりますが、申請者の状況や申請する自治体によって枚数や証明書が異なります。基本的には、15万円を目安に申請費用を準備しておくとよいです。ただし、産業廃棄物の積み場所と降ろし場所を管轄する自治体が異なる場合は、それぞれの自治体で許可を取得しなければなりません。従って、申請に必要な費用は「申請費用×申請する自治体数」となるので注意しましょう。

審査期間

申請をして許可が下りるまでの期間は自治体によりまちまちですが、平均すると60日程度です。審査期間は自治体やその状況によっても異なってきます。3週間で終わることもあれば、4カ月かかることもあります。

許可の有効期間

産業廃棄物収集運搬業許可の有効期間は5年です。引き続き許可を持続させたい場合は、この有効期間が満了する前に更新をしなければなりません。更新については要件など(特に講習会について)いくつか気をつけなければならないことがあります。

積替え保管ありで申請する場合は事前相談が必須

積替え保管とは、産業廃棄物を積んでから処理場までの間に、別の車に積み替えたり保管したりすることです。車に積んだまま一時保管することも含まれており、処理場に直行しない場合は「積替え保管あり」に該当します。積替え保管は誰にでも許されるわけではなく、以下の条件を満たさなければなりません。

・積替え保管することを申告して産業廃棄物収集運搬業許可を申請
・積替え保管を行いたい場所を管轄する自治体から積替え保管許可を取得

積替え保管ありでの申請は、積替え保管なしでの申請と比較して複雑な申請手続きが必要です。許可条件も自治体ごとで大きく異なるといわれており、申請しても取得できない可能性があります。該当する自治体の窓口に相談しながら事業計画を立てるとよいでしょう。

まとめ

今回は産業廃棄物収集運搬業許可の手続きについてご紹介しました。実際に申請する場合は専門家に相談しながら行ってくださいね。

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