今回の記事も行政書士のメイン業務である許認可についていくつかご紹介していきたいと思います。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。
行政書士の行う許認可業務は多岐にわたり存在し、取り扱う書類の数も1万種類あると言われています。許認可業務の数が多いため、いくつか絞ってのご紹介となります。今回は飲食店を営業する際に必要となる飲食店営業許可についての手続きについて記事を書いていきたいと思います。
飲食店営業許可とは
飲食店営業許可証は、飲食を提供するお店の開業時に必要となる許可証です。飲食店の営業許可は業務形態や提供する料理の内容によって申請内容が異なります。「飲食店営業」は、一般的な食堂や料理店、旅館や仕出し屋、弁当屋、カフェといったお店です。食品を調理して、または設備を設けてお客様に飲食させる形態を指します。
保健所に事前相談をする
まずは管轄の保健所へ相談しましょう。検査を受ける前に、どのような要件を満たすべきなのかを正確に把握しなくてはなりません。保健所へ相談すれば、条例などに定められた地域特有のルールなども併せて教えてもらえます。
基本的に、保健所がチェックするのは施設の設備面です。内装や設備工事がすべて完了したあとで検査に不合格となると、指摘された箇所を工事し直す必要が生じ、オープンに間に合わなくなるかもしれません。 このようなことにならないよう、着工前に図面を携えて保健所へ訪れ、予定している設備で営業に問題がないかを確認しておきましょう。
営業許可の申請を行う
営業許可の申請は、その地域が管轄する保健所で行います。検査に合格できなかった場合には、是正措置を行ったうえで、再度保健所へ検査を依頼する必要がありますので開業予定日の2~3週間前ほどの余裕をもって申請をしておきましょう。 申請時には手続きの手数料を支払います。自治体によって支払い方法に違いがあるため、保健所への相談時に確認しておきましょう。
オンライン申請も可能に
食品衛生申請等システムを利用すれば、オンラインで営業許可の申請が可能です。わざわざ保健所へ足を運ぶ必要がないため、忙しくて保健所へ行けないといった方におすすめです。
食品衛生申請等システムは、厚生労働省が提供するサービスです。公式ページにアクセスしてアカウントを作成すれば、必要事項の入力や必要書類の登録をWeb上で行えます。申請手数料に関しては保健所へ確認のうえ、指定された方法で支払いましょう。
必要な書類
- 営業許可申請書
- 営業設備の大要・配置図
- 食品衛生責任者の資格を示すもの
- 水質検査成績書(物件による)
- 登記事項証明書(法人の場合のみ)
営業許可申請書
営業許可申請書は、営業の許可を取得するにあたり申請に用いる書類です。管轄の保健所の窓口や、各自治体のWebサイトでダウンロードして入手できます。申請書に記入する内容は、氏名や営業所の所在地、営業の種類、食品衛生責任者氏名、資格などです。不明点については、保健所へ提出する際に窓口で記入しても問題ありません。
営業施設及び設備の図面
店内設備の概要や配置をリスト化した営業設備の大要・配置図が必要です。書式は保健所の窓口や自治体のWebサイトからダウンロードできます。
内装の配置の平面図も用意しましょう。厨房とホールの位置関係などを示した図面です。自作が難しいのなら内装工事に携わった業者へ依頼するのも良いでしょう。 保健所への事前相談なども含めて、内装業者が取り組んでくれることも多いです。内装工事を事業者へ依頼する場合は、依頼する前に営業許可申請までフォローしてくれるのかを確認しておくと良いでしょう。
店舗の所在地を示す場所の見取り図も必要です。詳細に記載する必要はなく、ネット上の地図をプリントアウトし、場所がわかるよう示せれば問題ありません。
食品衛生責任者の資格を証明するもの
食品衛生責任者について、氏名を申請書許可に記載するだけでなく、その資格を証明できる書類が求められます。 調理師や栄養士であれば、その資格証を証明書として用意します。食品衛生責任者の養成講座を受講し修了したのなら、発行された修了証書で証明できます。
なお、食品衛生責任者養成講習会をすぐに受講できないといったケースでは、のちに養成講習会を受講する誓約書で代用できます。誓約書を提出したあとは、所定の日数以内に講習を受講し、改めて修了証書を提示しなくてはなりません。
水質検査成績書
貯水槽の水や井戸水などを店内で使用する際には、水質検査成績書の提出が必要です。商業ビルでは、共用の貯水槽を利用していることがあり、該当する水道を使う場合には書類を用意しましょう。 水質検査を自分で行う必要はなく、基本的には建物を管理している会社やオーナーなどが検査結果を所持しているため、問い合わせすれば入手可能です。
登記事項証明書
登記事項証明書とは、法務局へ登記された情報を証明する書類です。法人として飲食店を経営する場合には、登記事項証明書を取得しなくてはなりません。 法務局の窓口や、オンライン申請、郵送申請で取得できます。郵送の場合、1週間程度かかるため、できるだけ早めに申請しましょう。
施設検査日程の調整
施設検査では、提出した図面通りに設備が設置されているか、施設基準を満たしているか現地で確認がおこなわれます。施設検査は必ず営業者が立ち会ってください。
以下は、気をつけるべきポイントを抜粋したものです。
【検査のポイント】
・食品の保管と衛生管理
食品の保管場所が清潔で、適切な温度か
交差汚染を防ぐために異なる食品が分離されているか
・厨房内の衛生管理
厨房が清潔に保たれ、定期的に清掃されているか
冷蔵庫・冷凍庫に温度計がついているか
最低2槽以上のシンクがあるか
・従業員の衛生管理と訓練
消毒設備がついた手洗用のシンクが厨房内にあり、必従業員が手洗いや手指消毒を適切に行っているか
食品衛生の基本的な知識を持っているか
・食品の調理と加熱
食中毒を引き起こす可能性のある菌が除去されるよう、適切な加熱がされているか
・客席とトイレの衛生状態
客席やトイレが清潔に保たれ、必要なアイテムが揃っているか
4.営業許可書が交付される
施設検査で合格していれば、許可期限や許可条件を附して営業許可証が発行されます。交付予定日は検査の時に伝えられます。
交付方法や窓口や郵送が一般的ですが、各保健所によって違うので事前相談や検査の時に確認してください。
まとめ
今回は飲食店営業許可について紹介しました。申請する場合は、管轄の保健所に相談の上すすめていきましょう。
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