【深夜酒類提供飲食店営業開始届とは】~行政書士試験合格者が解説~

行政書士業務

今回の記事も行政書士のメイン業務である許認可についていくつかご紹介していきたいと思います。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。
行政書士の行う許認可業務は多岐にわたり存在し、取り扱う書類の数も1万種類あると言われています。許認可業務の数が多いため、いくつか絞ってのご紹介となります。今回は深夜飲食店を営業する際に必要となる深夜酒類提供飲食店営業開始届についての記事を書いていきたいと思います。

深夜酒類提供飲食店営業開始届が必要な店

深夜酒類提供飲食店営業開始届が必要な飲食店の業態は居酒屋、焼き鳥・焼きとん屋、立ち飲み屋、ダイニングバーなどの主にお酒を提供することを目的とした業態(アルコールがメインの業態で常態として通常主食と認められる食事を提供して営むものを除く)がこれに該当します。ただし、これらの業態に該当するとしても、深夜0時から午前6時までの深夜時簡帯にそもそも同業態にて営業をしないのであれば、深夜酒類提供飲食店営業届は必要なく飲食店営業許可で営業することができます。以下に該当する店舗は、深夜酒類提供飲食店営業開始届の届出は必要ありません。

  • 深夜0時以降は営業しない店舗
  • 主食がお酒以外を提供している店舗

用途地域を調べる

次にやることは、「お店がある所在地は深夜営業が可能な地域か?」を調べることです。飲食店の深夜営業は限られた地域でしか営業することは出来ません。そのため、お店の所在地が深夜営業を営業出来る地域でなければ、そもそも書類を作成しても警察は受理してくれません。

場所的要件

各自治体の条例によっては要件が異なりますが、おおむね、以下の用途地域においては営業禁止区域(深夜酒類飲食店営業ができない用途地域)となっています。
・第一種低層住居専用地域
・第二種低層住居専用地域
・第一種中高層住居専用地域
・第二種中高層住居専用地域
・第一種住居地域
・第二種住居地域
・準住居地域
・田園住居地域
※上記の例外として、住居地域および準住居地域については、商業地域の周囲30m以内にあれば営業することができます。なお、工業専用地域においては、そもそも飲食店の営業ができないので、当然、深夜酒類飲食店営業ができない用途地域ということになります。

設備要件

深夜酒類提供飲食店営業をするためには、風営法施行規則に則り、以下の要件を満たす必要があります。もし満たしていない状態で営業をすると、風営法違反となってしまいます。
・営業所内(客室内)の照度を20ルクス以下とならないような構造または設備であること。
・客室の床面積は9.5㎡以上とすること。ただし、客室の数が1室のみの場合は、特に制限はありません。
・客室内に見通しを妨げる設備(おおむね1m以上のもの)がないこと。
・善良の風俗または清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。
・客室の入口に施錠設備を設けないこと。ただし、営業所以外の直接通ずる客室への出入口については特に制限がありません。
・ショーを見せるなど、深夜において客に遊興させないこと。
・営業所周辺における騒音または振動の数値が、各都道府県の条例で定める数値に満たないように維持されるために必要な構造または設備を有すること。
・営業所周辺において、各都道府県の施行条例で定める数値以上の騒音または振動(人声その他の営業活動にともなう騒音または振動に限る。)が生じないように、その深夜における営業を営まなければならないこと。

人的要件

風俗営業許可とは異なり、人的要件については要求されません。ただし、飲食店を開業するにあたって食品衛生責任者を店舗に置かなくてはならないのですが、食品衛生法にはそれになれない人が規定されています。

保健所の営業許可を申請する

これからお店を開業する場合は、先に保健所の営業許可を申請しときましょう。深夜酒類提供飲食店営業開始届の届出書類には原則的に保健所の営業許可証を添付する必要があるからです。保健所の営業許可を申請するためには、以下の基準をクリアしていなければなりません。

  • 食品衛生法を違反し2年経過していない人
  • 食品営業許可を取り消されたから2年経過していない人

また、食品衛生責任者が必要です。
営業者は自ら食品衛生責任者になるか、食品衛生責任者の資格を持った従業員を雇う必要があります。

接待行為がある場合は風俗営業許可が必要

なお、女性がお客さんの隣に座って談笑するなどの接待行為がある場合は、深夜酒類提供飲食店営業開始届でなく「風俗営業許可」が必要になります。

1号営業:料理店、社交飲食店
キャバレーなどの設備を設けて客の接待をして客に遊興または飲食させる営業をする飲食店
例)キャバレー、キャバクラ、パブ、スナック
2号営業:低照度飲食店
喫茶店、バーなどの設備を設けて客に飲食をさせる営業で、客席の照度を10ルクス以下として営む飲食店(ただし、1号に該当するものを除く)
3号営業:区画席飲食店
喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食させる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5平方メートル以下である客席を設けて営む飲食店

まとめ

今回は深夜酒類提供飲食店営業開始届についてご紹介しました。飲食店の許可でも複数の許可が必要になる場合があります。

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