【風俗営業許可手続き】~行政書士試験合格者が解説~

行政書士業務

今回の記事も行政書士のメイン業務である許認可についていくつかご紹介していきたいと思います。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。
行政書士の行う許認可業務は多岐にわたり存在し、取り扱う書類の数も1万種類あると言われています。許認可業務の数が多いため、いくつか絞ってのご紹介となります。今回は風俗事業を営業する際に必要となる風俗営業許可手続きについての記事を書いていきたいと思います。

風俗営業許可の流れ

  1. 3つの要件(人・場所・構造設備)の調査
  2. 風俗営業許可申請書の必要書類の準備、作成
  3. 営業所を管轄している警察署(生活安全課)へ申請
  4. 風俗環境浄化協会、所轄警察署警察官の検査
  5. 風俗営業許可証の交付

許可申請の翌日から、約55日を目安に許可証の交付となります。

人的要件

風俗営業許可では、風俗営業を営むにはふさわしくないとする者を定めています。以下の不適格者に該当する場合には許可を受けることができません。

  1. 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産手続き開始の決定を受けて復権を得ていない者
  2. 1年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、又は風営法、刑法などの一定の法律に違反して1年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられて、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
  3. 集団的に、又は常習的に暴力的行為を行うおそれのある者
  4. アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
  5. 精神機能の障害により風俗営業の業務を適正に実施するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
  6. 風俗営業の許可を取り消されて5年を経過しない者
  7. 営業に関して成年者と同一の能力を有しない未成年者
  8. 法人の役員、法定代理人が上記1から6までに掲げる事項に該当するとき

場所的要件

風俗営業許可では、「用途地域」で営業所の出店を制限しています。
用途地域とは都市計画法で定められた8つの住居系地域、2つの商業系地域、3つの工業系地域のことをいいます。
風俗営業許可は、住居系地域では一部の例外をのぞいて許可が取れません。


許可の取れる用途地域:商業地域、近隣商業地域準工業地域、工業地域、工業専用地域無指定地域

・商業地域:商業などの業務をメインとする地域で、市街地の中心部が指定されています。飲食店が建ち並ぶ歓楽街はもちろん、百貨店などの商業施設が建ち並ぶエリアやオフィス街なども商業地域に指定されています。
・近隣商業地域:周りの住民が日用品の買物などをするための地域です。
・工業地域:大規模な工場が立地していて、工業を中心とした用途の地域です。
・工業専用地域無指定地域:コンビナートや工業団地の建築を想定した地域です。

許可の取れない用途地域:第一種、第二種低層住居専用地域第一種、第二種中高層住居専用地域第一種、第二種住居地域準住居地域及び田園住居地域

設備基準

風俗営業の種別ごとに、客室の面積や、明るさの基準など細かく規定されています。

面積基準
1号営業客室1室が16.5㎡以上、和室の場合は一室9.5㎡以上
(客室の数が1室のみの場合を除く)
2号営業客室1室5㎡以上
(客に遊興させる態様の営業の場合には33㎡以上)
3号営業客室1室5㎡以下
4号営業面積基準なし
5号営業面積基準なし
営業所内の照度基準
1号営業5ルクス
2号営業5ルクス
3号営業10ルクス
4号営業10ルクス
5号営業10ルクス

風俗営業1号営業を例に解説すると、図の1から5の基準に、照度、防音設備など7つの基準があります。

  1. 客室の面積(和室9.5㎡、洋室16.5㎡以上)
  2. 客室の内部が営業所の外から容易に見通すことができないようにする。
  3. 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないようにする。
    (仕切りや背の高い椅子など、おおむね高さが1メートル以上のもの)
  4. 善良な風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないようにする。
  5. 客室の出入口に施錠の設備を設けないようにする。ただし営業所の外に直接通ずる客室の出入口の場合を除く。
  6. 営業所内の照度が5ルクス以下にならないような構造、設備を設けること。
  7. 営業所の外に漏れる騒音・振動の数値が、条例の基準を超えないような構造、設備を設けること。(防音設備の基準)

まとめ

今回は風俗営業許可を得るための設備面についてご紹介しました。次回は書面手続きについてご紹介します。

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