【行政の仕組み:指定管理者制度】~行政書士試験合格者が解説~

官民連携

今回の記事も地方自治体で働いている私の視点から行政と事業者が連携しビジネス展開するための情報についての記事を書いていきます。
今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、経営をしているの知識が増えてもらえればと思います。
今回の記事は、官民連携の手法でご紹介した指定管理者制度について地方自治法を含めながら解説したいと思います。この記事を読むことで新たなビジネスチャンスに繋がればと思います。

指定管理者制度とは?

指定管理者制度とは、平成15年6月の地方自治法の改正により創設された制度です。従来、地方自治体の「公の施設」の管理は、地方自治体が直接行うほかは、地方自治体の出資法人や公共的団体のみが行うことができました。しかし、この制度の創設により、民間事業者などの団体でも公の施設の管理を行うことができるようになりました。

制度の目的

指定管理者制度の主な目的は、公共施設の効率性とサービス品質の向上です。民間の知識や技術を活用することで、公共サービスの提供方法を革新し、その品質と効率を向上させることを目指しています。

地方自治法の要点

総務省のホームページに指定管理者の要点がまとめられていますのでご紹介します。

①条例の制定(第244条の2第3項・第4項)

公の施設の目的を効果的に達成するため必要がある場合は、条例の定めるところにより、法人その他の団体を指定管理者とし、公の施設の管理を行わせることができる。
公の施設において指定管理者制度を導入することとした場合に条例で定めるべき事項

・指定の手続(申請、選定、事業計画の提出等)
・管理の基準(休館日、開館時間、使用制限の要件)
・業務の具体的範囲(施設・設備の維持管理、使用許可)

②指定の方法(第244条の2第5項・第6項)

①の条例に従い、指定の期間等を定め、議会の議決を経て、指定管理者を指定。

③利用料金制(第244条の2第8項・第9項)

公の施設の利用に係る料金を指定管理者が自らの収入として収受することができる。

④事業報告書の提出(第244条の2第7項)

指定管理者に指定された団体は、毎年度終了後、事業報告書を提出。
これにより、管理業務の実施状況や利用状況、管理経費等の収支状況等、管理の実態を把握。

⑤地方公共団体の長による指示、指定の取消し、業務の停止命令(第244条の2第10項・第11項)

地方公共団体の長は、指定管理者に対し必要な指示を行うことができる。
指定管理者が指示に従わない場合等指定の継続が不適当な場合には、指定を取消し、又は管理業務の
全部又は一部の停止を命令

制度の流れ

地方自治体は公共施設の運営に適した民間企業やNPOを「指定管理者」として選出し、指定された管理者は、定められた期間のあいだ公共施設の運営と管理を行い、自治体との間で締結される契約に基づいて報酬を受け取ります。

指定管理者制度の流れは次の通りです。

公募

公募は指定管理者制度の最初のステップです。自治体は指定管理者となりうる民間企業を公募します。公募要項には、事業の内容、選定基準、提出書類などが明記されます。応募企業は、これらの要件を満たす提案を作成し、自治体に提出します。

審査

次に、自治体は提出された提案を審査します。審査は一般的に、提案の内容、民間企業の経営能力、事業計画の信頼性などを基に行われます。この段階で最も適切と判断された提案が選ばれ、その企業が指定管理者となります。

指定運営・管理

選ばれた民間企業(指定管理者)は、自治体から指定された公共施設やサービスの運営・管理を行います。指定期間は通常数年で、その間、指定管理者は施設の運営やサービスの提供を担当します。

評価・改善

指定期間の終了に向けて、自治体は指定管理者の業績を評価します。評価基準は事前に設定され、サービスの品質、利用者の満足度、運営の効率性などを考慮に入れることが一般的です。評価結果に基づいて、次回の公募や運営方法の改善点を見つけることができます。

指定管理者制度における利用料金制

地方自治法上、指定管理者制度における利用料金制に関しては、下記の通り、定められています(244条の2)。

-地方自治法-
第二百四十四条の二
(略)
8  普通地方公共団体は、適当と認めるときは、指定管理者にその管理する公の施設の利用に係る料金(次項において「利用料金」という。)を当該指定管理者の収入として収受させることができる。
9  前項の場合における利用料金は、公益上必要があると認める場合を除くほか、条例の定めるところにより、指定管理者が定めるものとする。この場合において、指定管理者は、あらかじめ当該利用料金について当該普通地方公共団体の承認を受けなければならない。

まとめ

今回は地方自治法に定められている指定管理者についてご紹介しました。指定管理者は公の施設を管理する業務を民間が行うこととなります。料金などの収益は企業が勝手に決めるわけにはいかないところが難しい所とも言えます。

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