今回の記事も地方自治体で働いている私の視点から行政と事業者が連携しビジネス展開するための情報についての記事を書いていきます。
今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、経営をしているの知識が増えてもらえればと思います。
今回の記事は、ビジネスで知っておくと役立つかもしれない行政作用について紹介します。この記事を読むことで新たなビジネスチャンスに繋がればと思います。
行政作用とは
行政機関とは、国や地方公共団体、独立行政法人など、法律に基づいて公的な任務を遂行する組織のことです。その行政が行う行政作用とは、一言でいうと、行政機関が行う活動のことを指します。行政作用には行政立法、行政計画、行政契約、行政指導、行政調査などあります。今回ご紹介するのは行政立法と行政計画についてです。
行政立法
「行政立法」とは、行政機関が、法文のような形式で一般的、抽象的な定めをすることをいいます。
憲法第41条では、「国会は国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。」と規定されており、法律は国会が制定することになっています。
しかしながら、法律は、最低限のルールを規定するのみで、細かいルールを定めるものではありません。それでは、具体的な問題が起こった場合に、国民に混乱が生じてしまうおそれがあるため、このような法律を補足するものとして、政令や省令、府令、規則等が存在します。
例えば、厚生労働省が食品衛生法に基づいて、「食品、添加物等の規格基準」という省令を定めるといったケースが該当し、強制力を発揮します。
立法というと、最高機関である国会が行うのが通常ですが、実情という面では、行政機関の方が把握しているという観点から行政立法という形で認められています。
行政立法の種類
行政立法の種類には、大別して①法規命令と②行政規則があります。①法規命令にはさらに、(1)委任命令と(2)執行命令、②行政規則には(1)訓令、(2)通達、(3)告示に分けられます。今回は大枠を知ってもらうため①法規命令と②行政規則のみ紹介します。
①法規命令
「法規命令」とは、国民の権利義務に直接関わる命令のことをいいます。法規命令には、内閣が制定する政令や、内閣総理大臣が制定する内閣府令、各省大臣が制定する省令、各庁の長官や委員会などが制定する規則等が挙げられます。
②行政規則
「行政規則」とは、国民の権利義務に直接関わらない命令のことをいいます。「行政命令」や「行政規程」とも呼ばれています。行政規則は、国民に対する法的拘束力を持たないため、たとえ行政機関が自ら定めた行政規則に違反したとしても、原則、違法とはなりません。
行政計画とは | 行政の将来の目標を定める
「行政計画」とは、行政機関が行政活動について定める計画、または計画を定める行為のことを指します。現代の行政は、ただ単純に法律に従って行動するだけでは役割不足です。
すなわち、計画を定めることによって具体的な目標を設定し、その実現に向けて長期的な行政活動をする必要があります。そこで、行政には、円滑で矛盾のない行政活動が合理的に行われるように、将来に向かって長期的・継続的な視点から計画を立てる必要があります。
例えば、国が策定する方針や、地方自治体が策定する都市計画などが該当します。
拘束的計画と非拘束的計画
拘束的計画とは、特定の個人に対して、一定の権利を制限してしまう計画です。例えば、土地区画整理事業計画です。この計画内の土地所有者は、区画整理事業を行うため、一定期間、自分の土地であっても、使うことができなくなってしまいます。つまり、「自分の土地を使用できる権利」に制限がかかってしまうので、拘束的計画と言えます。このように、国民の権利を制限してしまうため、行政機関が勝手に計画することはできません。拘束的計画の策定には、法律の根拠が必要です。つまり、法律に従って、拘束的計画を策定しないといけないです。
一方、非拘束的計画とは、国民の権利を制限しない計画です。非拘束的計画は、国民の権利を制限しないので、法律の根拠は不要です。
行政の裁量権
今回ご紹介した行政が法律を作ったり、計画を立てることは行政に大きな裁量権を与えてしまいます。法律による行政の原理を徹底する場合には、すべての行為は羈束行為であることが望ましいと考えられていますが、もし、全く行政活動に自由な裁量が認められないとすると、硬直的な対応しかできない可能性があり、現実性に欠けることから、行政裁量が認められています。行政庁に裁量が認められた場合、その裁量行為にはさらに「自由裁量」と「羈束裁量」の2種類に分けられます。
自由裁量
「自由裁量」とは、行政権に与えられた裁量権の趣旨を純粋に行政権に委ねられたものと解釈して、この自由裁量に属する場合には行政庁の判断を尊重し、原則として司法審査は及ばないと考えます。自由裁量は、「便宜裁量」とも呼ばれています。
羈束裁量
「羈束裁量」とは、行政権の裁量を全くの自由裁量ではなくて、法律が予定している基準がある裁量であると考え、その法律が予定している基準に抵触するような裁量には司法審査が及ぶと考えます。
まとめ
今回は行政が行える行政立法や行政計画など普段の生活を始め、ビジネスにも影響を与えかねない行政の行為についてご紹介しました。また、その行政行為には行政に裁量権があるかないかなども法律を解釈するとみえてくるものなので、いざという時の知識になればと思います。
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