【行政施策:ルールメイキング】~行政書士試験合格者が解説~

官民連携

今回の記事も地方自治体で働いている私の視点から行政と事業者が連携しビジネス展開するための情報についての記事を書いていきます。
今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、経営をしているの知識が増えてもらえればと思います。
今回の記事は、行政施策の機能についてご紹介します。自治体ビジネスを展開する上で、行政の施策は重要となりますので、是非参考にしてください。

行政施策とは

行政機関が一定の行政目的を実現するために企画・立案する方針や政策のことを指します。また、施策は行政機関などが計画を実行すること、またその計画を指します。

行政施策の基本はトラブル予防

行政が作る法は「権利利益の保護と社会の秩序や安定・維持の実現」という目的があります。
社会を維持・発展させている事業者(ビジネス)の視点で見れば、「イノベーション実現による経済発展」というアクセルと「新しいサービスやテクノロジーにより生み出される不公正や権利侵害」に対するブレーキのバランスが必要となります。
人によっては「法規制(制限) なんか、不必要だ。何でも自由にさせてくれたほうが発展するという意見もあるかもしれません。 しかし、誰しもが好きなスピードで、自分の好きな走り方であちこち自動車を運転し始めたら、 自分たちの裁量で好きに建物を建てたり、食事を提供するというサービスを提供し始めたらどうなるでしょうか。 おそらく、交通事故の数は増加し、金額と釣り合わない質の低い建物が増え、食中毒もあちこちで散見されるでしょう。 このように、結果的に私人間でトラブルが生じないようにするのが行政法の目指す法規制の基本です。
国会での法律立案で、細かく文言・数値化して規制をすることは難しいので、どうしても行政の判断 ( 裁量)に 委ねる必要も生じます。それが行政立法です。しかし、裁量権の逸脱や濫用といったトラブルがあるため、行政手続法により規制をかけています。

ルールメイキング

行政の作成する法律も社会の変化にあわせて、私たちを取り巻く法規制が柔軟に変わっていくべきです。また、近年、移動手段、通信手段、科学技術をはじめ、国際化や産業構造など変化の激しい時代においては私人や事業者からの適切な問題提起や法規制に対する要望を伝えていくことが 重要です。
このような時代に伴って行政法の見直しの活動の一つとして、日本の「規制」の背景を理解したうえで、自由な事業活動を行うために行政との対話などをとおして調整を行う「ルールメイキング」です。 「ルールメイキング」は直訳すると、 現存の法規制あるいは、これから社会の変化にあわせて生み出されうる法規制に対して、事業現場の実情を正確に届けて、法律や政策を「国(地方公共団体)」と「国民(市民)」で共創 しようというのが「ルールメイキング」の概念です。

ルールメイキングの例

新しい技術やビジネスモデルによってイノベーションや社会課題の解決に取り組む企業にとって、法規制がビジネスの障壁となることがしばしばあります。既存のビジネスを想定した法令が新規事業に対してどのように解釈・適用されるのか不明確であったり、そもそも現在の法規制や行政解釈の下では事業展開が困難であったりといったことが考えられます。そのため、現実に対応した法解釈を確立したり、法令や通達の変更を実現したりすることが、新たな市場を切り開くことにつながるといえます。

規制のサンドボックス制度

規制のサンドボックス制度は、新たな技術・ビジネスモデルの実装に関して法規制が障害となっている場合に、事業者単位で国の認定を受けて実証を実施し、実証結果を活用して規制の見直しにつなげていくものです。活用事例としては、

・現行の法規制の下では事業を行うことができず、法律・政省令や通達などの規定の変更が必要となる場合
・ 事業の実施のためには行政による法規制の解釈・運用の変更や確認が必要だが、グレーゾーン解消制度の利用等によって直ちに期待する回答を得ることが難しいと考えられる場合

内閣官房を窓口とする事前相談を通して実証計画の内容を固めた上で、主務大臣に対して申請を行います。実証計画の認定後は、計画に基づいて実証を行い、結果を報告します。報告を受けた規制所管官庁は、規制の見直しについて検討をしなければならないとされています。

注意点
① 実証実験は原則として現行の法規制の枠内で行う必要があること
②〈実証計画の認定=規制の見直し〉ではないこと

常に期待どおりの結果が得られるというわけではないので注意が必要です。

まとめ

今回は行政施策とはトラブル予防のための規制をメインとしていることが前提としているが、時代とともにルールを変えていく必要があるためルールメイキングという概念が始まっており、その一例として規制のサウンドボックスという取り組みについてご紹介しました。参考に去れば幸いです。

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