今回の記事も地方自治体で働いている私の視点から行政と事業者が連携しビジネス展開するための情報についての記事を書いていきます。
今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、経営をしているの知識が増えてもらえればと思います。
今回の記事は、自治体DXについてご紹介します。自治体ビジネスを展開する上で、自治体のDX化は重要となりますので、是非参考にしてください。
自治体DXとは
自治体DXとは、現在のアナログ的な体制を改善するために自治体においてデジタル技術を用いて「住民の利便性を向上させること」「業務効率化による行政サービスの向上」を目指します。
なぜ自治体にDXが必要なのか
自治体DXが今求められているのは、住民に対するサービスの利便性向上、アナログな業務のデジタル化という課題を解決するためです。少子高齢化にともなう人口減少により、多くの地方自治体でインフラサービスや公共交通サービスの提供が難しくなってきます。また将来的には地方公務員も人手不足が懸念されています。こういった課題を解決するために、最新のデジタル技術の活用によって自治体DXを進めていくことが必要とされているのです。
自治体DXに期待されること
自治体DX推進によって、主に次の4点が期待されています。
住民の利便性の向上
自治体DX推進によって、住民の利便性を向上させることが期待できます。時間や手間のかかるアナログな行政手続きのオンライン化などが一例です。住民からの申請数が多い業務から着手するなど、住民目線で取り組むことが重要です。
業務効率化
デジタル技術やAIの活用で業務効率化をはかることができます。業務プロセスの見直しや効率化によって行政サービスの改善が進み、人口減少による労働力不足を補うことができるでしょう。
行政サービスの向上
自治体DXによって行政サービスの向上が期待できます。業務効率化が進み、限られた労働力を行政サービスの向上につながる業務に振り分けることができます。
新たな価値創出
自治体DXによって得られるデータが源泉となって、新たな価値が創出されます。データを活用して自治体間で連携をはかることで、新たな民間のデジタル・ビジネスを生み出すことにもつながります。
自治体DXの先進事例
実際にDXを取り入れている自治体の先進事例を3つご紹介します。
宮崎県都城市(LINEでの問い合わせ対応)
宮崎県都城市では、市民からの問い合わせ対応にLINEのチャット機能を導入し、業務効率化を実現しています。従来は電話での問い合わせが6割を占めていましたが、市民は開庁時間内に電話する必要があり、職員も何度もかけ直す手間がありました。
LINEを導入することで、時間にとらわれず写真やURLも簡単に共有できるように。市民と職員双方にとって利便性が大幅に向上しました。身近で使いやすいLINEを積極的に活用することで、双方が導入負担を抑えつつも、市民サービスの向上を実現した事例です。
静岡県掛川市(サテライトオフィス勤務)
静岡県掛川市では、合併で不要になった町村の会議室を有効活用し、サテライトオフィスとして整備しました。本庁舎に加え、計3か所で業務が可能となり、職員の移動時間削減や業務効率化に貢献しています。職員は申請すれば、庁内ネットワークにアクセス可能なサテライトオフィスでテレワークを行うことができ、普段と変わらない環境で仕事を進められます。既存の施設や設備を有効活用することで、コストを抑えながら自治体DX化に一歩を踏み出した事例です。
京都府(ペーパーレス化&テレワーク推進)
京都府では、感染症流行をきっかけに、紙の出勤簿を廃止し、ペーパーレス化を推進しました。テレワーク導入に伴い、職員の勤怠管理をオンライン化する必要が生じたため、システム改修を行い、勤怠を一元管理できるようになりました。ペーパーレス化はテレワークの円滑な実施に貢献するだけでなく、業務効率化や環境負荷軽減にもつながっています。
和歌山県(ワーケーション推進)
和歌山県は、仕事と休暇を両立できる「ワーケーション」を積極的に推進しています。特に白浜町の充実したネット環境、空路・陸路のアクセス、豊富な観光資源といった利点を活かし、県外企業の誘致拠点として力を入れています。
ワーケーションを促進するため、ITビジネスオフィスの整備だけでなく、地域住民との交流や農業体験など、多岐にわたる取り組みを展開しています。企業誘致だけでなく、地域活性化への貢献も期待されている取り組みです。
まとめ
今回は自治体が進めているデジタル化についてご紹介しました。デジタル化することによって行政サービスが向上し、よりビジネスにもプラスの影響があると思われます。ご自身の自治体ではどのような取り組みがされているのか確認してみるのもいいでしょう。
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