今回の記事も地方自治体で働いている私の視点から行政と事業者が連携しビジネス展開するための情報についての記事を書いていきます。
今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、経営をしているの知識が増えてもらえればと思います。
今回の記事は、公民連携する手法でも触れました行政契約の種類について記事を書いていきたいと思います。この記事を読むことで新たなビジネスチャンスに繋がればと思います。
行政契約とは
行政契約とは、地方自治体や国などの行政主体が他の行政主体または私人と結ぶ契約を指します。行政主体が契約の当事者であるとはいえ、契約であることに変わりはありませんから、当事者同士の自由意思による合意にもとづいて行政契約は成立します。そのため、行政契約は行政処分のように行政主体が一方的に行う権力的作用ではなく、非権力的作用です。各当事者は対等な立場で契約を締結するので、行政主体が契約の相手だからといって過度に特別視する必要はありません。
契約の種類
国や地方公共団体の契約事務では、「一般競争入札」「指名競争入札」「随意契約」のいずれかの手法により相手方を選び、契約が行われます。
一般競争入札
資格要件などを定めた上で、広く入札参加者を募り、最も有利な条件の相手方と契約する方法。(イメージしやすいのは、価格評価方式で、この方式では予定価格内で最も安い価格で入札した業者と契約することになります。)
「最も有利な条件」の判断には二通りの方法があります。ひとつは入札時に提示された価格の安さを評価する「価格競争方式」、もうひとつは価格以外の要素も合わせて判断する「総合評価落札方式」です。
①入札の参加資格を取得
一般競争入札に参加する大前提として、先ほどの項目で説明した入札参加資格を取得します。原則として資格取得に費用はかかりませんが、発注者(国や地方公共団体など)ごとにそれぞれ別の資格を取得しなければなりません。
②入札案件の情報収集
入札案件は「公告」によって周知されます。具体的な方法は、掲示、官報や新聞、Webサイトへの掲載などです。入札を希望する企業は、自力で公告をチェックするか民間企業が提供する入札情報サービスなどを利用します。
③入札説明書・仕様書の入手、入札説明会へ参加
入札したい案件が見つかったら、概要を確認したうえで「入札説明書」や「入札仕様書」を入手します。入手する方法は、官公庁での直接配布のほか、電子メールでの申請、webサイトからのダウンロードなどいろいろです。
④入札に必要な書類の準備
入札に必要な書類を揃えて提出します。
⑤入札参加資格の確認書類等の受付
入札説明書に記載された要領にのっとり、入札に参加するための必要書類を提出します。発注者側は、提出された書類を審査します。必要な書類がすべて提出され、必要要件を満たすことが確認できた企業のみ入札に参加できます。
⑥入札
入札の方法は「入札書」を郵送もしくは入札会場に持参する方法と、インターネット経由で「電子入札」を行う方法の二通りです。
⑦開札
入札会場やパソコンのシステム上で入札結果が発表(開札)されます。落札できた企業は、その後発注者との契約手続きに移ります。
指名競争入札
自治体の名簿の中から数社を選び、指名した後、最も有利な条件の相手方と契約する方法。指名競争入札とすることができる案件は、以下のとおりです。
- 契約の性質・目的が一般競争入札に適しない契約
- 入札に加わるべき者の数が一般競争入札に付する必要がないと認められる程度に少数
- 一般競争入札に付することが不利
①競争参加資格審査・有資格者名簿への掲載
指名競争入札に限らず、国や地方自治体等の競争入札に参加するには、まずは各発注者ごとに競争入札参加資格審査を申請し、有資格者名簿に掲載される必要があります。
②指名基準に基づく業者の指名
発注機関が指名競争入札の実施を決定し、業者選定委員会等を経てた後に指名基準に基づき業者を指名します。指名を受けた業者には指名通知が送付されます。指名基準は、一般的に各発注機関のホームページ等で公表されています。
③入札への参加
指名通知を受けた場合、入札に参加することができます。
入札の実施方法や落札者の決定方法は、一般競争入札と同じです。
指名競争入札と一般競争入札・随意契約との違い
官公庁の契約は一般競争入札によることが原則で、指名競争入札は一定の要件下のみで認められています。また、他の契約方法として随意契約があります。指名競争入札と一般競争入札・随意契約で異なるのは「参加できる者の範囲」です。
まとめ
今回は行政契約の種類として指名競争入札と一般競争入札について触れました。次回は随意契約について説明します。