行政契約の種類【随意契約】~行政書士試験合格者が解説~

官民連携

今回の記事も地方自治体で働いている私の視点から行政と事業者が連携しビジネス展開するための情報についての記事を書いていきます。
今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、経営をしているの知識が増えてもらえればと思います。
今回の記事は、公民連携する手法でも触れました行政契約の種類について記事を書いていきたいと思います。この記事を読むことで新たなビジネスチャンスに繋がればと思います。

行政契約とは

行政契約とは、地方自治体や国などの行政主体が他の行政主体または私人と結ぶ契約を指します。行政主体が契約の当事者であるとはいえ、契約であることに変わりはありませんから、当事者同士の自由意思による合意にもとづいて行政契約は成立します。そのため、行政契約は行政処分のように行政主体が一方的に行う権力的作用ではなく、非権力的作用です。各当事者は対等な立場で契約を締結するので、行政主体が契約の相手だからといって過度に特別視する必要はありません。

随意契約

任意の相手方と契約締結する方法。随契(ずいけい)と呼ばれている。相応の理由が必要。随意契約ができるのは地方自治法施行令第167条の2第1項に規定されています。具体的には以下の場合です。

  1. 売買、貸借、請負その他の契約で予定価格が契約の種類に応じて一定の額の範囲内で地方自治体の規則で定める額を超えない場合
  2. 性質または目的が競争入札に適しない場合
  3. 障害者支援施設、地域活動支援センター、障害福祉サービス事業を行う施設、小規模作業所などから地方自治体の規則で定める手続きで契約する場合
  4. 新商品の生産により新たな事業分野の開拓を図る者として認定を受けた者が新商品を地方自治体の規則で定める手続により契約する場合
  5. 緊急の必要により競争入札をすることができないとき
  6. 競争入札によることが不利な場合
  7. 時価よりも著しく有利な価格で契約締結できる見込みがある場合
  8. 競争入札で入札者がいないとき、または再度の入札に落札者がいないとき
  9. 落札者が契約を締結しないとき

随意契約には、4つの種類があります。それぞれの特徴を解説します。

 プロポーザル方式

プロポーザル方式は、特定のテーマに沿った企画を事業者が提出し、提案内容を評価して事業者を決める発注形式です。高い技術や専門的な知識が必要であるときに利用されます。特定の1社のみ事業に対応できる際は、随意契約を結びます。

 特命随意契約

特命随意契約は、発注する側の事情により事業者を指定する契約です。一般的な随意契約は、特命随意契約を意味します。競争入札が適当ではない場合や、急ぎの案件の際に、特命随意契約が結ばれます。たとえば、災害時をはじめとする緊急事態があげられるでしょう。
ただし、特命随意契約は例外的な措置です。特命随意契約のガイドラインを明確にして、透明性を高めている自治体が多いといえます。特命随意契約の利用では、契約内容が明確になる工夫が重要です。

 少額随意契約

少額随意契約は、予算の少ない事業で簡素的に事業者を選ぶ契約です。2社以上の業者から見積もりの提出をうけ、より適した方を事業者に決めます。
少額随意契約を行うメリットに、時間や事務作業の短縮があげられます。一般競争契約や指名競争契約は時間がかかり、複数の事務作業が発生するかもしれません。少額随意契約であれば、よりスピード感を持って事業を進められます。
2社以上から選ぶため、特命随意契約よりも公平性が期待できるでしょう。

 不落随意契約

不落随意契約は、競争入札で落札者が決まらなかった場合に行われる契約です。入札で立候補者がいない、もしくは落札者が契約をしなかったときに、不落随意契約を結びます。たとえば、災害復旧事業で時間がないときや3回ほど公告入札をしても入札者が決まらない場合があげられます。不落随意契約は、事前に決めた価格や条件での契約を目指します。

随意契約の流れ

国または地方公共団体との間で随意契約を締結する際の流れは、大まかに説明します。

①見積書の作成・提出・見積もり合わせ

国または地方公共団体が随意契約を締結するに当たっては、受注者が提示する対価が適正であるかどうかチェックします。随意契約の受注者候補である事業者は、相手方となる国または地方公共団体に対して見積書を提出しなければなりません。見積書の作成に当たっては、発注者である国または地方公共団体が公表する仕様書に従い、必要な情報を正確に記載しなければなりません。

②」国・地方公共団体による発注先の決定

随意契約は入札(一般競争入札・指名競争入札)と異なり、安い価格で見積もりを出した事業者が自動的に選定されるわけではありません。発注者である国または地方公共団体が、総合的な観点から随意契約の受注者を選定します。

③随意契約の締結

随意契約の受注者に選定されたら、国または地方公共団体との間で随意契約を締結します。契約締結の手続きについては、通常の企業間における契約と基本的に同じです。

まとめ

今回は前回に引き続き、行政契約の随意契約について説明しました。随意契約は特殊な契約方法ですので、条件が細かくなっています。その契約する際にも価格競争はあるので注意が必要です。

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