今回の記事も地方自治体で働いている私の視点から行政と事業者が連携しビジネス展開するための情報についての記事を書いていきます。
今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、経営をしているの知識が増えてもらえればと思います。
今回の記事も、予算の種類についての記事となります。自治体ビジネスを展開する上で、自治体予算の仕組みを理解することはとても重要です。自治体予算の仕組みは民間企業と異なり、わかりにくいところがあります。しかし、その仕組みを理解すると、自治体ビジネスをスムーズに展開することができます。
予算の種類
地方自治法では予算とは下記のように定められています。
第二百十五条 予算は、次の各号に掲げる事項に関する定めから成るものとする。
一 歳入歳出予算
二 継続費
三 繰越明許費
四 債務負担行為
五 地方債
六 一時借入金
七 歳出予算の各項の経費の金額の流用
順に説明します。
歳入歳出予算
歳入歳出予算とは、1会計年度ごとに編成される予算のことを指します。単年度予算という呼び方があるように、ひとつの会計年度内のみ有効な予算です。
一会計年度における一切の収入及び支出は、すべてこれを歳入歳出予算に編入しなければならない。(地方自治法第210条)
(2)継続費
予算は原則単年度分しか計上できませんが、例外として、2年度以上かかる事業を実施する場合、総額、期間および年度割についてあらかじめ一括した予算として議会の議決を得たものが継続費です。議会で議決されると、当該事業の全予算が有効となり、支出権限も付与されます。
普通地方公共団体の経費をもつて支弁する事件でその履行に数年度を要するものについては、予算の定めるところにより、その経費の総額及び年割額を定め、数年度にわたつて支出することができる。(地方自治法第212条)
(3)繰越明許費
予算は当該年度中に執行する必要がありますが、諸々の理由により、翌年度に執行しなければならない場合は、翌年度に予算の繰り越しを行うことができます。繰り越した予算は、翌年度中に執行しなければなりません。
歳出予算の経費のうちその性質上又は予算成立後の事由に基づき年度内にその支出を終わらない見込みのあるものについては、予算の定めるところにより、翌年度に繰り越して使用することができる。(地方自治法第213条)
(4)債務負担行為
債務負担行為は、将来に渡る債務を負うことを言います。 議会の議決を必要としますが、歳出予算は含まれず、必要となった年度に予算を計上します。債務負担行為は、議会の議決を経て翌年度以降の債務の範囲(限度額)を定めるものです。支出の権限まで保障されるものではなく、各年度に予算を計上しなければならない点で継続費と大きく違います。
歳出予算の金額、継続費の総額又は繰越明許費の金額の範囲内におけるものを除くほか、普通地方公共団体が債務を負担する行為をするには、予算で債務負担行為として定めておかなければならない。(地方自治法第214条)
(5)地方債・一時借入金
地方債および一時借入金は、地方公共団体の予算の収入にあたる項目です。
地方債
普通地方公共団体は、別に法律で定める場合において、予算の定めるところにより、地方債を起こすことができる。(地方自治法第230条第1項)
一時借入金
普通地方公共団体の長は、歳出予算内の支出をするため、一時借入金を借り入れることができる。(地方自治法第235条の3第1項)
(6)予算の流用
年度内に支出が必要な経費が発生し、それらを予算計上していなかった場合、他の項・目などから予算を流用し、執行することができます。ただし、これは例外的な取り扱いであり、予算は原則、議会で承認されたうえで執行すべきものであるという考えから、やむを得ない事情がある場合に適用されます。
歳出予算の経費の金額は、各款の間又は各項の間において相互にこれを流用することができない。ただし、歳出予算の各項の経費の金額は、予算の執行上必要がある場合に限り、予算の定めるところにより、これを流用することができる。(地方自治法第220条第2項)
「予備費」というものがあります。
予備費は、緊急であったり、予期せぬ重大な案件が発生した場合に、特別に使用することができる予算を計上しておきなさい、というのが予備費です。予備費は、議会で否決した案件に対して支出することはできません。
予算外の支出又は予算超過の支出に充てるため、歳入歳出予算に予備費を計上しなければならない。ただし、特別会計にあつては、予備費を計上しないことができる。(地方自治法第217条第1項)
まとめ
今回は予算の種類についてご紹介しました。予算はその年に使い切るものだけではなく、長期間予想されるものや、繰越するものなどさまざまな使い方があります。民間とは少し違った用語もありややこしいですね。
コメント