【国家賠償法とは】~行政書士試験合格者が解説~

行政法

今回の記事も地方自治体で働いている私の視点から行政と事業者が連携しビジネス展開するための情報についての記事を書いていきます。
今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、経営をしているの知識が増えてもらえればと思います。
今回の記事は、行政書士試験にも出題される国家賠償法について説明します。自治体ビジネスを展開する上で、損害が生じたときにどのように解決するのかが重要となります。そのため国家賠償法に当てはまるのかということを検討するために必要な知識ですので参考にしてください。

国家賠償法とは

国家賠償制度は、公務員の不法行為によって国民が損害を受けた場合に、国又は地方公共団体が代わって賠償する制度です。

第一条

第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
○2 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

第二条

第二条 道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
2 前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。

第三条

第三条 前二条の規定によつて国又は公共団体が損害を賠償する責に任ずる場合において、公務員の選任若しくは監督又は公の営造物の設置若しくは管理に当る者と公務員の俸給、給与その他の費用又は公の営造物の設置若しくは管理の費用を負担する者とが異なるときは、費用を負担する者もまた、その損害を賠償する責に任ずる。
2 前項の場合において、損害を賠償した者は、内部関係でその損害を賠償する責任ある者に対して求償権を有する。

第四条

第四条 国又は公共団体の損害賠償の責任については、前三条の規定によるの外、民法の規定による。

第五条

第五条 国又は公共団体の損害賠償の責任について民法以外の他の法律に別段の定があるときは、その定めるところによる。

第六条

第六条 この法律は、外国人が被害者である場合には、相互の保証があるときに限り、これを適用する。

国家賠償法を要約

上記条文を要約することで賠償出来る条件がわかります。国家賠償法は大きく分けて2つあり、公務員の不法行為と施設の欠陥による損害の賠償があります。

1条責任:公務員の不法行為が原因の場合

公務員とは、一般職の公務員を指しだけでなく、特別職の公務員や、委託業者までもが含まれます。公務員が職務を行うについてとは、行為の外形において職務執行を認めるべきもののされており、客観的に職務執行の外形を備えた行為であれば該当します。
公務員が故意又は過失によって損害を負った場合に被害者は、当該国又は地方公共団体に損害賠償請求することができます。
なお、選任・監督している団体と費用負担している団体が異なる場合には、どちらに対しても損害賠償請求することができます。

2条責任:施設の欠陥が原因の場合

公の営造物とは、公の目的に供されている物・施設・設備等のことで、動産か不動産の両方が適用されます。また、自然公物(河川、海、池、沼等)と人工公物(道路、建物、公用車等)のどちらも該当します。
設置又は道路に瑕疵があったためにとは、通常有すべき安全性を欠く状態であるかどうかが問われるのであって、設置や管理に過失があったかどうかは問われません。これを、無過失責任と呼びます。ただし、不可抗力によって発生した場合は、責任を負いません。
なお、設置・管理団体と費用負担している団体が異なる場合には、どちらに対しても損害賠償請求することができます。

国家賠償請求訴訟の手続きの流れ

国家賠償請求訴訟の大まかな流れは、以下のとおりです。訴訟手続きは専門性が高く弁護士に相談しながら対応することをおすすめします。

裁判所に訴状を提出

国家賠償請求権が発生する根拠となる事実(国の行為または不作為による損害の発生、国の故意または過失)を記載した訴状を、裁判所に提出します。

(2)口頭弁論期日での主張・立証

公開の法廷で行われる「口頭弁論期日」において、国家賠償責任を基礎づける事実を主張し、各事実を証拠によって立証します。期日の都度「準備書面」に主張をまとめて裁判所に提出し、準備書面の内容に基づいて審理が進められるのが一般的です。また口頭弁論期日では、必要に応じて証人尋問なども行われます。

(3)和解または判決

国家賠償請求訴訟の途中で、原告と国の間で裁判上の和解が成立した場合、その時点で訴訟は終了します。和解が成立しない場合には、最終的に裁判所が判決を言い渡します。

(4)上訴・判決確定

判決に対して不服がある当事者は、上級裁判所へ控訴または上告をすることができます(民事訴訟法第281条第1項、第311条第1項)。控訴・上告期間は、いずれも判決書等の送達を受けた日から2週間です(同法第285条、第313条)。期間内に控訴・上告が行われなかった場合、または上告審の判決が言い渡された場合には、判決が確定します。

まとめ

今回は行政が故意または過失によって損害を生じさせた場合に賠償させる法律である国家賠償法について解説しました。裁判となった場合は専門の弁護士に相談しましょう。

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