今回の記事も地方自治体で働いている私の視点から行政と事業者が連携しビジネス展開するための情報についての記事を書いていきます。
今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、経営をしているの知識が増えてもらえればと思います。
今回の記事は、近年デジタル化に伴い自治体手続きが変化しているためいくつかご紹介します。自治体ビジネスを展開する上で、自治体の手続きの変化は重要となりますので、是非参考にしてください。
自治体DXとは
自治体DXとは、現在のアナログ的な体制を改善するために自治体においてデジタル技術を用いて「住民の利便性を向上させること」「業務効率化による行政サービスの向上」を目指します。デジタル技術やAIの活用で業務効率化をはかり、業務プロセスの見直しや効率化によって行政サービスの改善が進みます。今回はDXによって変化した行政手続きについてご紹介します。
脱印鑑化
行政では長らく、書面・押印・対面を原則として手続きが進んでいました。しかし、デジタル化の推進やテレワーク普及の妨げになるとの見方から、2020年9月に行政手続きにおける押印事務の見直しが行われました。
例えば、福岡市はいち早く印鑑廃止に着手しています。2020年9月までに市が単独で見直しのできる約3,800種類の書類のすべてで押印を廃止しました。
また山形県は、2021年3月に『Yamagata 幸せデジタル化構想』を策定し、行政手続きのオンライン化、オープンデータ、テレワークWeb会議、AI/RPAの活用などのデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みを強力に推進。2021年度3月から半年間かけて実施された取り組みでは、98.6%の押印を廃止しました。
現在、政府は、日本におけるデジタル化の共通指針である『構造改革のためのデジタル原則(デジタル原則)』のなかで「紙の介在(書面、原本等)を見直し、申請・通知のデジタル化を基本とする」と掲げています。今後、この原則に基づき、行政手続きにおける脱ハンコはますます進んでいくと見込まれます。
広域交付制度(戸籍取得)
従来、戸籍謄本等を取得するには本籍地の自治体窓口へ出向くか、郵送により取得するしかありませんでしたが、令和6年3月1日から、遠くの本籍地に行かなくても、最寄りの市町村の窓口で戸籍等を発行してもらえるようになりました。請求できるのは、本人、配偶者、父母・祖父母などの直系尊属、子・孫などの直系卑属です。
※請求することができる「戸籍謄本等」とは、戸籍謄本と除籍謄本を指します。抄本や戸籍記載事項証明書、戸籍の附票は対象外となっています。
保険証の廃止
現行の保険証については、令和6年12月2日に廃止されます。廃止日以降は、保険証の発行ができなくなりますが、それまでに発行した保険証は有効期限まで使用できます。
過去に処方されたお薬や特定健診等の情報を、医師・歯科医師・薬剤師に口頭で正しく伝えることは大変ですが、受診時・調剤時にマイナンバーカードを用いて受付し、情報提供に同意することで、過去に処方されたお薬や特定健診などの情報を医師・薬剤師にスムーズに共有することができます。また、「限度額適用認定証」がなくても、公的医療保険が適用される診療に対しては限度額を超える分を支払う必要がなくなったり、マイナポータルからe-Taxに連携することで、確定申告時の医療費控除申請がカンタンになるなどのメリットがあります。
コンビニで住民票取得
ご存じの方も多いと思いますが、マイナンバーカードを利用して、コンビニ等に設置のマルチコピー機から各種証明書を取得できるサービスが開始されています。休日や夜間など市役所が開庁していないときでも取得できる便利なサービスです。
- 住民票の写し
- 住民票記載事項証明書
- 印鑑登録証明書
- 各種税証明書
- 戸籍証明書(全部事項証明書、個人事項証明書)
- 戸籍の附票の写し
引越しや就職、転職など、市区町村が発行する証明書が必要な際は、いつでも簡単に取得することができます。
コンビニ交付で住民票の写しを取得する手順
- コンビニのマルチコピー機画面に表示されている「行政サービス」ボタンを押します
- 「証明書交付サービス」を選択します
- 所定の場所にマイナンバーカードを置いて読み取ります
- 証明書を交付する市区町村を選択します
- 暗証番号を入力します
- マイナンバーカードを取り外します。カードを忘れないように注意しましょう
- 証明書の種別選択画面になったら「住民票の写し」を選びます
- 証明書の交付種別を選択します
- 証明書に記載する項目を選択します
- 必要部数を入力します
- 最終確認画面で問題がなければ「確認する」を押して手数料を支払います
- 証明書が印刷されたら取り出します
- 領収書が発行されます
証明書類の発行が終わったら、マイナンバーカードや証明書の取り忘れがないかどうかを改めて確認しましょう。
まとめ
今回は変化する自治体手続きについてご紹介しました。今後も手続きが便利になっていくと思います。
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