【生活保護法ってどんな制度??】原則や権利・義務について~現役福祉職公務員が分かりやすく解説~

救済処置支援

前回に引き続き生活保護法について説明していきます。皆さんは生活保護と聞くとどのようなイメージを持たれるでしょうか?「社会的弱者、楽をしている、生活保護の人の方が優遇されている、不正に受けている人が多い」といったイメージがあるかもしれません。この記事で生活保護法について説明します。生活保護を受けている方のイメージが少しでも変わるきっかけになるかもしれません

生活保護の原則

生活保護法の法律を元に生活保護の原則についてご紹介していきます。

【第七条】保護は、要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基いて開始するものとする。但し、要保護者が急迫した状況にあるときは、保護の申請がなくても、必要な保護を行うことができる。

申請保護の原則と呼ばれます。生活保護の申請は本人又は三親等以内の親族に限られます。代理申請は認められていませんが、成年後見人は特別に申請可能です。また、もし急迫した状況と判断されれば職権で保護されることもあります。例えば入院中で意識不明で保護する必要がある時などです。

【第八条】保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。
 前項の基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない。

基準及び保護の原則と呼ばれます。生活保護費は厚生労働省で決められています。住んでいる地域、家族構成、年齢などで細かく受け取れる金額が変わります。保護費は5年に一度見直されます。保護費の計算は毎年調査を行い統計をもとに算出されています。

【第九条】保護は、要保護者の年齢別、性別、健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行うものとする。

必要即応の原則と呼ばれます。定期的に家庭訪問等調査を行い、必要な保護を行います。

【第十条】保護は、世帯を単位としてその要否及び程度を定めるものとする。但し、これによりがたいときは、個人を単位として定めることができる。

世帯単位の原則と呼ばれます。これは生計同一かどうか等様々な生活状況を確認します。なお生活保護は住民票では判断せずに実際に誰と生活しているのかによって判断されます。自分は保護を受けたくないけど、一緒に住んでいる親だけ保護をしてほしいとは出来ないので注意が必要です。

生活保護の権利

【第五十六条】被保護者は、正当な理由がなければ、既に決定された保護を、不利益に変更されることがない。

公的権力で勝手に生活費を減らされたら困りますよね。そこで法律上にも不利益変更の原則が明記されています。

【第五十七条】被保護者は、保護金品及び進学準備給付金を標準として租税その他の公課を課せられることがない。

生活保護では最低生活状況になっているため固定資産税や国民年金保険料、NHKの受診料も免除されます。しかし、消費税や自動車税はかかるので注意してください

【第五十八条】被保護者は、既に給与を受けた保護金品及び進学準備給付金又はこれらを受ける権利を差し押さえられることがない。

過去に滞納があり、差し押さえがあったとしても生活保護から支給された金品には差し押さえされません。生活費を保障されているのに差し押さえられてしまえば生活が出来なくなるからです。

第六十四条】~略~処分についての審査請求は、都道府県知事に対してするものとする。

生活保護で行われた処分、例えば保護を止められたり保護費の返還を求められた場合に納得がいかなければ都道府県知事に不服を申し立てることができます。そこで調査を行い正当だったのかを判断してもらえます。また、不服審査を経てなお結果に納得がいかない時には、「再審査請求」も行えます。

生活保護の義務

くまくまさん
くまくまさん

権利があれば義務もありますよね。

第五十九条】 保護又は就労自立給付金若しくは進学準備給付金の支給を受ける権利は、譲り渡すことができない。

譲渡禁止と呼ばれます。最低生活のお金しかもらっていないので、それを人に渡すと生活が出来なくなりますよね。

第六十条】 被保護者は、常に、能力に応じて勤労に励み、自ら、健康の保持及び増進に努め、収入、支出その他生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図り、その他生活の維持及び向上に努めなければならない。

生活保護法の目的は健康の保持増進と自立することです。そのため生活保護を受ける方がその意識を持っておかなければなりません。また生活費は最低生活を送るための金額であるため計画的な金銭管理が必要です。

第六十一条】 被保護者は、収入、支出その他生計の状況について変動があつたとき、又は居住地若しくは世帯の構成に異動があつたときは、すみやかに、保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を届け出なければならない。

届け出の義務と呼ばれます。これは最低生活に必要な費用を計算しているため住んでいる場所や世帯員の構成が変われば計算の内容が変わるからです。また、収入が変わればその分の支給されている金額も変わります。

【第二十七条】保護の実施機関は、被保護者に対して、生活の維持、向上その他保護の目的達成に必要な指導又は指示をすることができる。

生活保護を受けている方に対して自立するための指導が行わています。

第六十二条】 ~略~被保護者に対し、必要な指導又は指示をしたときは、これに従わなければならない。

生活保護を受けた時には指導指示に従う必要があります。ただし強制出来るものではありません。

生活保護費の返還

【第六十三条】被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。

費用返還義務と呼ばれます。生活が今困窮しているけど、車や株を持っていたり、相続が決定していない土地や建物があるけどすぐにお金にはならないため、明日食べるものもない状態の時は生活保護を受けることが出来ます。しかし、保護を受けた後で車や株を売却しお金が入った時には、すぐにお金にならなかっただけで資産としては持っていたものだったので、生活保護で支払われたお金を返還しなければなりません。

【第七十八条】不実の申請その他不正な手段により保護を受け、又は他人をして受けさせた者があるときは、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の額の全部又は一部を、その者から徴収するほか、その徴収する額に百分の四十を乗じて得た額以下の金額を徴収することができる。

費用徴収と呼ばれます。ニュースなどで見かける不正受給した場合に行われるものです。保護費を不正に受け取っていた場合は強制的に徴収されると法律に明記されています。

まとめ

この記事では生活保護の概要についてご紹介してきました。生活保護といっても様々な決まりがあります。次回からは生活保護でどんなお金がもらえるのかなど、扶助の種類についてご紹介していこうと思います。

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